2020年5月23日土曜日(3)
(承前)
古城ミアキ
深江キャンパスに着くとまずは大学練習船のいる岸壁に行った。今日、明日と体験航海をやっている事は大学祭のページで確認済み。二人を引き連れてタラップを上がると船長が客を出迎えていた。私の事を昨年の大学祭でお姉ちゃんが紹介してくれたんだけど覚えてくれていた。
「古城さんの妹さんやな。遠くからよく来たなあ。歓迎するよ。お姉ちゃんは一緒じゃないのかい?」
「姉の高校時代の友人の人達と一緒に来ました」
そういうと私は陽子お姉ちゃんと肇お兄ちゃんを船長に紹介した。
「はじめまして。古城さんの高校時代の同級生だった日向肇です」
「同じく三重陽子です」
「お二人も東京の方か。遠くからよく来て下さった。短い体験航海だけど楽しんで行って下さい」
『はい』
私は船長さんにお願い事をした。
「お姉ちゃんは大学祭中止だからっていわれてるので校内でお姉ちゃんと会っても私達の事は内密にお願いします」
「中止?言わんのはいいけどな。なんでそんな事に……まあ、おっちゃんもそういう秘密の頼みは守る事にしとるから、分かった。秘密は厳守する」
そう言ってニヤリとする深江丸船長だった。
深江丸が1時間ほどの体験航海を終えて戻ると大学正門へ向かった。大井マミさんと待ち合わせしていたのだ。
「ミアキちゃん、ひさしぶり。……はじめまして。大井マミです。冬ちゃんとはここの受験した時に一緒でした。私は大阪の方の大学に行ったので」
陽子さん、肇さんも自己紹介した。
「日向肇です。古城とは同級生で生徒自治会長やった時、手伝ってました」
「三重陽子です。彼女とは選択科目で一緒でやっぱり生徒自治会で彼女の手助けしてました。よろしく」
「冬ちゃんから二人の名前は何回も聞いてます。うわあ、本当に美男美女カップルなんだ」
マミさんにハイテンションにこんな事を言われて二人ともちょっと返答に困っていた。
こうして四人で体育館のライブ会場へ向かった。深江キャンパス音楽祭と銘打って六甲キャンパスの音楽クラブサークルも交えたライブが始まるのだ。




