表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私達の最良の時/私達は幸いなる少数  作者: MV E.Satow maru
第1章 私達の最良の時
2/79

2020年1月(1) 事の起こり

 神戸総合大学深江キャンパス軽音楽部のガールズ・バンド「ティエンフェイ」唯一のヴォーカル西田摩耶にしだまやが喉の不調を訴えた。バンド内は上へ下へ大騒ぎ。メンバーは摩耶まーやを病院に連行して検査を受けさせた。


「大げさだよ」


逃れようと摩耶まーやは抵抗していた。病院って好きになれないんだよなあ。そう彼女は思っていた。


「抵抗は無駄。あんたの声は私達の声なんだから言う事聞きなさい」


 先輩メンバーの北見朱里きたみあかりから諭されて諦めて検査を受けたのだったが、医師の診断では大した事はないけど歌を歌い続けるなら手術はした方がいいだろうねと言われていた。

 西田摩耶にしだまやを含め海事科学部学生で船乗りを目指している学生は航海実習があるし手術は早めにやった方が良いだろうと春休みに受ける事になったが,その後3ヶ月は喉を酷使しないようにと言われていた。


 女子学生寮の食堂で行われた緊急ミーティングは紛糾した。プロデュース担当、キーボードの比嘉ひがふみよが言った。


摩耶まーやの喉、手術を3月にしたら歌は5月いっぱいダメって学祭ライブが不味いよ」


そう、神戸総合大学深江キャンパスの大学祭は5月下旬の土曜日・日曜日、2020年の場合、5月23日・24日に行われるのだ。


「ヴォーカルの代役を探すしかないよね。六甲キャンパスの連中に頼む?」


 そう言ってみたのはメンバー唯一の2回生、北見朱里きたみあかりだった。

あの子が文句言いそうだけどなと朱理あかりは予想した。


「そ・れ・は・い・や・で・す」


 案の定、ギター&ヴォーカル担当の西田摩耶にしだまやが却下した。

ライバル意識はあるし、大学音楽クラブ・サークル対抗戦とかあるから借りは作りたくない。看板のヴォーカルで連中の協力を得るのは絶対に嫌だ。


「はい、はい。そうだよねえ。そうなると寮内で出来る子がいないかな。素人でも練習すれば即戦力」


 なんて無謀な事を言い出したのはドラム担当、中谷皆美なかたにみなみだった。筋肉&明るい前向きバカを自認している。

北見きたみ先輩が言い出した事は本当は考えた方がいいと思ったけど、摩耶まーやが受けるはずがないからねえ。困ったなあ。


 早々ヴォーカル候補なんて出てくる訳もなくこの日のミーティングはお開きになった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ