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私達の最良の時/私達は幸いなる少数  作者: MV E.Satow maru
第1章 私達の最良の時
19/79

シネマ・コンサート神戸公演台本 B PART

B PART「始まり」

<図書室>

陽一:

 (A PARTとは別の日)

 (環境音)チャイム

 玲佳れいかはおらず他の図書委員に図書室を追い出されてバイク置き場に向かう。


<バイク置き場>

 閉鎖されているはずの旧部活センター棟に何故か目が引きつけられた。

 (光が陽一に一瞬当たった)

 (環境音)耳がくぐもり、高周波音C/O

 (環境音)バンドのギターやベース、ドラムの練習するバラバラな音

 しばらくして演奏のメロディーが聞こえた。


<旧部活センター棟>

 思わず棟の玄関のドアを押してみると鍵が掛かっていなかった。

 足を踏み入れて階段を上がっていく。


 (効果音)響く足音

 (効果音)ベースやドラムセット、キーボードの練習音

 (効果音)別の小さな足音・ドアがガシャンと開いて閉まる音


 紺のTシャツに制服スカート姿で色白の黒髪ポニテ女子学生が上の階段から見下ろしていた。


<旧部活センター棟 階段踊り場>

 (MUSIC)OST:KAGUYA,PRINCESS,I

陽一:

 「俺、君を見た事はないけど他の高校の人?」


蘆谷香久耶あしたにかぐや

 「そりゃあ、私の台詞よ。なんて言うの、名前?」


陽一:

 「伊那澤陽一。この学校の2年1組だけど」


香久耶かぐや

 「ふーん。私は蘆谷香久耶あしたにかぐや。3年8組」


陽一:

 疑問が頭をかすめたが香久耶かぐやという子の目付きが怖い。

 香久耶かぐやの主張を何故か断定できないなと思ったから口にしない。


香久耶かぐや

 「ちょうどいいや、寄ってって」


陽一:

 (って飲み屋かよ!)手を捕まれて強引に部屋に引き込まれてしまう。

 (MUSIC)C/O


<音楽スタジオ>

陽一:

 ドラム、ベース、キーボードの女子たちが見えて手を挙げて陽一にすまなそうに挨拶している。


香久耶かぐや

 「陽一くんとか言ったよね。そこにパイプ椅子あるから座って。そして私達の歌を聞け!」


 (MUSIC)「Casual Encounter」

 (MUSIC)「Finest hour in my life」

 シネマ・コンサート Vo.&Gt.茶屋智絵美ちえみ蘆谷香久耶あしたにかぐや


陽一:

 (MUSIC)OST:KAGUYA,PRINCESS,II

 (心から褒めている)

 「俺、この歌は好きだな。どこかで聞いた事があるような懐かしい感じがする」


香久耶かぐや

 (わざとらしく血相を変えて)

 「って褒め言葉?オリジナル曲に言う事じゃないよ!」


陽一:

 「あ、勿論悪い意味で言ってはないよ」


香久耶かぐや

 (陽一をからかって)

 「ふーん。本当のところどうだかねえ」


バンド一同:

 (爆笑)

 (MUSIC)C/O


香久耶かぐや

 (MUSIC)OST:SEED,DOUBT,I


 (部屋の時計は20時前)

 「あ、もうこんな時間か。片付けるけど先生が多分怒鳴り込んでくるから先に帰ってなよ。また聞きに来てね」


陽一:

 「分かった。ほんと好きな音楽だからまた来る。今日はありがとう」

 部屋を出てスマフォのロック画面を見た。まだ19時過ぎだった。

 香久耶かぐやの時計が狂ってるのでは?と思った陽一。


女子生徒:

 物陰から陽一を見守って立っている足下だけ写り込む(=玲佳れいか)。

 (MUSIC)C/O

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