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私達の最良の時/私達は幸いなる少数  作者: MV E.Satow maru
第1章 私達の最良の時
18/79

2020年4月(3)

チセ


 神戸・三ノ宮のライブハウス。夕方まだ観客があまり来てない時間帯で前座がてらの出演だ。MCで摩耶まーやがマイクの前に立った。


「ティエンフェイ摩耶まーやです。私、喉がちょっと調子悪いので学内で癖のある原石見つけました。いい声持っているので応援して下さい。……というわけでヴォーカルはチセことチーちゃんです。拍手!」


 幸い客は20名ぐらいでそんなに聞いている人はいなかった。

この日はティエンフェイの歌を3曲とアニソン『Around the World』を歌った。そしてその場にいた人たちからは結構熱の入った拍手を一人してそのうちみんなが結構拍手してくれたのだった。

こうして私はなんとかヴォーカル・デビューを果たした。


 楽屋に引き揚げた所でみんなから「デビューおめでとう」と言ってもらえた。

今日の仕掛け人、中谷ちゅうやちゃんはタオルで汗を拭きながら言った。


「チーちゃん、これで自信ついたでしょ」


 私はちょっと顔色が悪かったかも。気付いたのが最後の最後で良かったけどね……。


「いや、それが大きな拍手してくれた子がちょっと」


 ドアがノックされた。近くにいた北見きたみ先輩がドアを開けながら「なんです?」と聞いた。何か会話したかと思ったら先輩は私の方を見た。


古城こじょうさん、あなたの知り合いって子がお祝いを言いたいって」


そういう北見きたみ先輩の隣に女子大学生らしい子がサッと入ってきた。


「やっぱり冬ちゃんじゃない。すごいじゃん。ところでバイトってこれかな?」


 大井おおいマミちゃんだった。どうやら誘ってくれていたのはこのライブを見に来るという事だったらしい。なんという巡り合わせやら。


「ははは。みたいなものかな。バレちゃった」


 マミちゃん、どうやら何故隠しているのか理解しかねたようだった。


「おかしいとは思ってたけどまさかバンドデビューだなんて。何恥ずかしがってるのよ、もう」


にじり寄ってくるマミちゃん。


「いやあ、バンドのみんなに頼まれちゃって。私って歌、上手くないしさ。知り合いには知られたくはないよ、あんまり」

「ふーん。あれだけ歌えてるのにねえ」


そんな秘密いつまで守れるのかなあと言われている感じはした。

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