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あの約束はまだ有効ですか?  作者: 朝麦 遊
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2人の約束。1人の誓い

朝麦 遊です。

幼馴染み恋愛っていいと思いませんか?

私は大好物です。


「ぬわ〜まだ肌寒いよ〜!マフラー巻けばよかった…ね、叶?」

まだ4月になりたてで日によっては肌寒くなる日もあるようだ。そんな寒がる私をよそに隣を歩く幼馴染みは紺色のマフラーを巻いて私の問いかけには応えようとせずただ学校へと向かう。

「ねぇ、叶?聞いてる?ちょっとは会話しようという努力しようよ。」

「独り言かと思ったから無視してたんだけど」

「コイツ…!!!!いつから君はこんなに生意気になったんだ?昔は優しい男の子だったのに」

「うるさいな。そんなに寒いならこれ貸すから黙ってろ。」

と言い自分が巻いていた紺色のマフラーを取り私の首に巻き始めた。

「なっ、待っていいってば!」

「なんだよ、お前が大好きだった"昔のオレ"ならこういう時こうするんだろ?」と勝ち誇った顔でこちらを見てくる叶に苛立つ。

少し引っかかる所はあるがそんなに言われるならここは大人しく感謝しておこうと思う。

「そうよ。"昔の叶"なら優しくマフラー巻いてくれたはずよ。でも…ありがと」

しかし目の前の叶を見て感謝の気持ちより苛立ちの方が勝った言葉を言ってしまった。

「ホント素直じゃねー」そこからはお互い、少しの会話をした。

とうとう私達が3年間通う学校が見えてくる。

富士美高校(ふじみこうこう)これが私達の通う学校の名前。学力はそこそこ高く、制服も可愛いと話題の人気な高校だ。

「は〜何回も思うけど、叶、ホントよくこの高校受かったよね。」

叶は勉強ができない。私が自分の受験勉強ほっぽいて教えてあげた回数は数え切れない。

「まぁな、受験勉強の時はマジで助かった」

「でもさ、なんで叶はそこまでしてここ受けたがったの?アンタ、バスケでスポーツ推薦何校か来てたよね?」

実際、叶はバスケで全国大会に行っているし、

ほかのスポーツもなかなかに出来る。

バスケの強豪として有名な蓮見高校(はすみこうこう)からもスポーツ推薦が来ていたのに推薦を蹴ってまでこの富士美高校を受験しようとした。

「なんでって、そりゃお前がここ受けるって言ったからだろ。」

「…は?」

一瞬、時が止まったのかと思った。

頭の中で先ほどの叶の言葉を反芻(はんすう)する。全く理解できない。

「いや。「は?」じゃなくて、お前、俺がいないと道に迷うし、何にもできねーだろ?一学期終わっても自分の教室どこ?とか言ってそうだしな。」

全部図星なのがまたムカつくがそんなことより

「ってことは私が蓮見高校に行くって言ってたらアンタも蓮見高校だったわけ?」

「まぁそうなるな。」

あぁ。分かった。完全に"思い出した"

「アンタ…本物のバカね」

「ブーメランだ。今気づいたのか」

私の幼馴染みはあの時のことを言っているんだ。

〜あれは私が小学校の時。クラスのいじめっ子に目をつけられていた私はベタに体育館裏に呼び出された。いつもの様に罵倒、暴力を受けていた。いつの間にか止まる罵倒と暴力、その代わりに現れる叶。

叶は私を庇うように前に立ち、いじめっ子に向けていつもこう言う。

「こいつはオレの"およめさん"になるんだ。だからイジメたらオレがお前らを許さないからな。」と、こう言い放ちいじめっ子を追い払った私のヒーローは少し悲しそうな顔をしながら私の方を向き私を優しく抱き寄せる。そして

「ごめんな…痛い思いさせて。オレはずっとお前と一緒にいるから。絶対守ってみせるから……」

と弱々しく小さく呟く

しばらく私を抱きしめた後、ゆっくりと離れ次の瞬間パッと安堵の表情になった。そしてポケットから茶色の小さな紙袋を出すと

「大丈夫か?…さっき言ったことはホントだから…だから…これ。"こんやくゆびわ"の代わり。」

と言い半ば無理矢理に紙袋を私に押し付ける。

「開けてもいい?」

「勝手しろよ」少し照れた叶は私の隣に座りそっぽを向く、

紙袋を開けると中からは星の飾りが付いた髪ゴムが入っていた。

「わぁ…可愛い」

「!…そっか。よかった」

嬉しそうにこっちを見て笑う叶と目が合ってしまいお互い勢いよくそっぽを向く。

数分沈黙が続いたが私の前に立った叶が「一緒に帰ろう。」と手を差し出してくれた。〜

かなり昔の話だが多分叶はこの時の約束を今でも守っているのだろう。

「叶、もしかして"あの時"の約束の事?」

私は少し踏み込んで見ることにした

「あの時の約束?なんだそれ。忘れたな。」とだけいい校門をくぐった。

次々と校門に吸い込まれていく同じ制服を着た人達に叶が溶けてしまう。と思い急いで追いかけた。


叶は「忘れた。」と言ったが"あの時の約束"を覚えているし守っている。

なぜなら、嘘をつく時のくせが出ていたから。

叶は嘘をつくとズボンのポケットに手を入れる。

生まれた時から隣にいる私には見破るなんて朝飯前なんだぞ!と少し勝った気分になったのは内緒にしておく。





やっと本作品の冒頭部分のセリフはいつで誰のことなのか判明しました。

小学生のくせにお嫁さん やら、婚約指輪やら。マセガキです。

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