1章1話 生まれる世界が違ったようです
「・・・どこだろうここは」
目が覚めるとそこは優が住んでいた都会には無いようなとてつもなく広い草原だった
草木が生い茂り、とても心地よいそよ風が吹いていた
「確か遅刻しそうになって玄関を飛び出た所まで覚えてるんだけど・・・」
優が持っていた荷物も無くなっていた
持っているものは優が着ている制服だけである
「カバンもスマホも無くなってるし・・・とりあえずこれからどうするか・・・」
「これからの話はわしからさせて貰おうかの」
「・・・!誰だ!」
後ろに振り返ると長いヒゲを生やした爺さんがいた
髪は長く、色は白い、服は大きな布1枚に穴を開けて被った様な物だった
「ふぉふぉふぉ、すまん驚かせてしまったのぉ、
一応遅れたが知らせには行ったんじゃがの・・・覚えてるかの?」
((ん?この爺さんどこかで・・・・・・あっ!))
「今日の夢で出てきた爺さん?」
「そうじゃそうじゃ、それだったら話は早いのぉ、」
「話?確か迎えが来るとか何とかの話の事か?」
「それじゃ、そして本題を言うと・・・おぬしをこの世界、元々おぬしが住んでいた日本がある世界とは違う世界に転送した・・・」
((え?今なんて・・・))
「おぬしが生まれる時にわしの・・・神のわしの手違いで生まれる世界がズレたんじゃ、そしてそのズレを正さない限りわしが退神・・・つまりは神を引退出来んのじゃよ・・・すまんのぉわしの都合で転送してしまって・・・」
「え、爺さんが神様で、俺の生まれる世界を間違えた・・・?」
((てか神様って世襲政なのかよ!))
「そして言い難いのじゃが・・・おぬしは元の世界には帰れないんじゃ・・・」
「・・・そうなのか、」
「以外に冷静なんじゃの・・・」
「いや、驚き過ぎて言葉が出ないだけです・・」
「・・・・・・おぬしのいた世界ではおぬしに関する情報は全て消えとる・・・元々いなかった事になっている、本当はこんな事したくは無かったんじゃが神が変わらんと全ての世界が機能しなくなる・・・それだけは回避しなければならんかった、回避するにはズレを全て正す必要があったんじゃ・・・」
「・・・俺がいなかったことにか・・・」
「わしら神は命を奪うことは出来ん・・・だからこうして元々生まれるはずだった世界に転送するしか無かったんじゃ、そして全てを正したんじゃが一つ問題が出てきた・・・」
「問題?それは?」
「この世界には魔法があり、モンスターがいておぬしをいた世界とは全く違う・・・つまりおぬしはこの世界で生き抜く術が無い・・・つまりこの世界では今おぬしは年七つの子供より弱かった事じゃ・・・」
((ファンタジーかよ・・・でも7歳の子供より俺が弱いなんて・・・確かにそれは笑えねぇ)
「・・・そ、それじゃどうやって」
「だからわしが来たんじゃ、ある程度の能力や戦う術、それら諸々を授けるためにのぉ」
「そ、そうなんですか・・・」
「とりあえず時間がかかるからそこに座ってくれるかのぉ?」
「・・・はい」
「まず希望する能力を聞いていくぞい、おぬしはこの世界でどう暮らしたい、モンスターを狩るのもいいし、商業をするのもいい、わしはお詫びと言っては何なんじゃがそれに適した能力や魔法を渡そうと思う・・・」
「じゃあ俺は・・・」
((モンスターと戦うなんて冗談じゃない・・それなら・・・俺は))
「安全第一!それと気に入った街で嫁さん作って幸せに暮らしたい!」
この時優は思いもしなかった・・・
爺さん(神)による能力獲得にとんでもないチートスキルが混じっているのを・・・