長編小説完結への道
私がお気に入り登録している、ないしは逆お気に入り登録している作家さんで、長編小説を書いていらっしゃる方は多い。
だが、何話か書いた後、展開に悩んだりポイントの伸び悩みを気にして更新が停止してしまう事が多いようだ。
このエッセイは、どうにかして書いている長編小説を完結させられないものか、と考えた私なりのやり方を開示したものになる。
1・短編小説を書く
2・中編小説を書く
3・長編小説を書く
1・短編小説を書く
小説家になろうには、現在たくさんの長編小説が溢れている。
多くの小説は現在も絶賛連載中であり、中には完結に向けて物語を畳んでいるものも多いかもしれない。
だが、一見して作者がさらりと書いてポイントを稼いでいるように見える長編小説。
今まで長い物語を書いたことがない作者が、おいそれと手を出して完結させられるものではない。
小説家になろうは、様々な人々に広く門戸を開いたサイトである。
誰だって小説を書くことができるし、自由にアップできる。
たくさんの人々に見てもらえるかもしれないチャンスが平等に与えられている。
例えば、初めて物語を書く人だって、手習いに書いた物語をアップし、誰かに見てもらって評価してもらえるかもしれない権利が与えられている。
だが、だ。
物語というのは、さっと書いてさっと展開してさっと完結させて、みんなから評価される……というものではない。
未完の大作は、完結した駄作に劣るなどと言われることもある。
まずはコンスタントに書き、そして完結させることが大事だ。
そして、完結させるには、完結させる能力、ないしは技術が必要になる。
初めに、練習として短編小説を書こう。
短編小説は、短い文章の中に、キャラクター紹介、キャラクターのドラマ、起承転結、そして完結と、小説に必要なものがギッシリ詰まっている。
これを何本か書いてみながら、自分なりに「書ききること」はどういう事かを実感すると良いと思う。
小説家になろう外のサイトだが、二次創作が多いところで好きなアニメやマンガ、小説の二次創作短編を書いてみるのもいいかもしれない。
とにかく、短編を何本か完結させて、物語を書ききる経験を積むこと。
これが大事だ。
2・中編小説を書く
短編にある程度慣れてきたら、中編小説を書いてみよう。
慣れてきた基準は、それなりにちょこちょこと短編を書けるようになった、というところだろうか。
短編小説の内容はこの際、どうでもいい。
何本か書ききったというのが大事だ。
中編は、短編とは大きく違う。
短編なら一本の話の中で完結していた、起承転結。
これが、何本かの章に分かれて展開している。
なれないうちは、プロット(wikiによれば、物語の筋、しくみ)を書いて、どう展開していくかをザッとでもいいのでイメージして書き出すといい。
長さ的には、文庫本の三分の一から、半分くらいの長さ。
三万字から五万字くらいが私の感覚では中編。
長編と比べて、物語を引き伸ばす余裕が無いから、テーマを絞り込んで、やりたいことだけをギュッと詰め込んで書いていくことになる。
短編ではとても書ききれなかったデータ量だって詰め込める。
これを書くことで腕を磨こう。
中編小説を完結させられたら、長編完結はもう目の前だ。
3・長編小説を書く
長編小説を書いていこう。
基本は中編小説と変わらない。
だが、長編には何文字まで、という区切りは無い。
いくら書いてもいいし、どれだけ長くてもいい。
そして、このどれだけ長くてもいい、こそが罠である。
まず、長編小説を書こうとするときにイメージした方が良いと思うのは、ゴール地点だと私は考える。
この物語が、どこに着地するのかを考えて書こう。
着地点のイメージは絶対でなくてもいい。
物語を書く内に、書きたいものが変化してくることも珍しくないからだ。
ただ、曖昧にでも、この物語はどこに向かっていく、というのは意識しておいた方がいい。
作者の考えは物語の方向性になるし、方向性が定まった物語は、展開に困ったり迷ったりということが少なくなる。
……ということは、どういうことか。
勢い任せに書き出すと、完結しない可能性がとても高いよ、ということだ。
このエッセイは、小説を完結させることを目的にしている。
そのため、完結させるにはどういう考えで、どういう立場で物語を書けばいいかを考察している。
作者は、この長編がどういうテーマを持っているのか、主となる物語のギミックは何なのか、主人公はどういう人物なのか、などを軽く決めておいて書き出すのが良い。
ルーズリーフ一枚程度でいいので、書き出しておくことをおすすめする。
そうすると、頭のなかでもイメージがまとまるものだ。
所詮趣味で書いているものだから、そんな面倒な事はしたくない、という方も多いかもしれない。
それはもっともだ。
これはあくまで、長編小説を完結させるためにはどうするかという、私なりの考えを述べたに過ぎない。
だが、行き当たりばったりで、初めて小説を書いた人が長編を完結させられる可能性は、とても低い。
……と思う。
行き当たりばったりで初めて小説を書いた人の長編が完結したなら、その人は天才である。
ということで、自分は天才ではないだろうなーと思う方。
色々前準備をして長編に取り掛かってみよう。
例え趣味だって、良い結果に終わるもののほうが気持ちいいし、結果として沢山の人に評価されたら気分がいいではないか。
好きこそものの上手なれというから、自分が苦ではない方法を探して、楽しく小説を書くことに上達し、どんどん長編を書いて完結させていってほしい。
最後に、作者なりに長編を完結させるやり方を列挙する。
私の小説も何本か未完があるが、これは着地点を考えないで書いたものばかりだ。
・それなりに定期的に更新する。
隔日とか、3日に一度とか、決めたら必ず、リアルの事情で何があってもそのタイミングで更新する。
内容が思いつかないなら、思いつくように色々な創作物を見たり読んだり、入浴したり散歩したりして思いつくようにする。
そしてしばらく忙しくなるようなら書き溜めをして更新する。
・二千文字以上で更新する。
二千文字を超えると、アップする話の中に物語の展開を何かしら入れる必要が出てくる。
ダラダラと時間稼ぎの内容で埋め尽くすには、少々辛い文字数になる。
これによって、一話ごとに物語を少しでも進める癖をつける。
物語が進んでしまえば、それは即ち完結に近づくということだ。
・ポイントは気にするが気にしない
人間生きていれば色々ある。
ポイントだって上下する。
こんな考えを持とう。
「嬉しい! ブクマ入った! 評価入った! 書こう!」
「悔しい! ブクマ減った! 評価もない! 書こう!」
書くことに変わりはない。
モチベーションが上がらないなら、定期更新のためにモチベーションを上げよう。
ポイントが増えようが増えなかろうが、物語は最後には完結するのだ。
完結に向かって着々と書けばいい。
こんなところだろうか。
細かな創作論や技法、精神的な話は他のエッセイに全てお任せする。
これはあくまで、なろうで小説を完結させられない方が、完結させるにはどうしたらいいのかという疑問に対する、自分なりの回答の一つだ。
少しでも参考になってもらえたなら幸いである。