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グラディウス・サーガ  作者: 一色十郎太
第二章 新大陸編
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2-12 新大陸発見!

 

「準備はいいな?」


「はい。問題ありません」


「なら、出発だ!」


「おー!」


「ガウーッ!」


「キューッ!」


 結界の島に辿り着いて六日目。

 シュウたちは再び新大陸探索に旅立つ。


 洞窟にあった結界の基点を発見してから三日間、シュウたちは島内の探索を行った。


 たった三人での調査だが、ちびの機動力を最大限に利用し、低空を島の外周から内側に螺旋状に飛ぶことによってほぼ島全体を短期間で捜索し終える。ちびが単独で狩りを行っ


 た時も人の姿を見たという報告はなかったが、シュウが騎乗して獲物ではなく人族・魔族に眼目を置いて探索したにも関わらず痕跡すら見つからなかった。

 魔王の考察では、千年ほど前にこの島を訪れた魔族たちは結界の基点である洞窟の魔法陣を構築した後、定住することなく新大陸を目指したのだろうということである。おそら


 く住居も簡易的なもので自然に朽ち果ててしまったか魔族が撤去していったか、もっと細かく発掘作業でもすれば住居跡ぐらいは見つかるかもしれないが、見つけたところであ


 まり意味がないと調査を終わらせたのである。


 ちびに騎乗しての探索は主に結界を通り抜けられるシュウが担当した。

 ミーシャとハナは、結界の内側、ベースキャンプ近くの森で食材採取を担当。魔獣もドラゴン並みの脅威はないためシュウも二人に任せたわけである。仮に何かあってもハナが


 ちびを呼べばすぐに戻ってこれる距離だ。それぐらいなら魔王憑きのミーシャでも十分に時間が稼げるだろう。結局は何も起こらなかったが。


 結果として、この島には魔族の集落などはなく、結界を作り出す巨大魔法陣と魔石の鉱山があるとわかっただけである。それでも、魔族が過去にここを訪れていたことだけは確


 かなので、シュウたちの調査が空振りというわけではない。魔王によれば、魔法陣の規模から数十人と推察されるという。


 そして、結界の張り方から、この島は安住の地としてではなく、防波堤としての役目を持つようだ。つまりは、魔族が生き残っているとしたらジダーン大陸とこの島を結んだ延


 長線の先であろうということである。


 否が応にも期待は高まる。

 クロはハナを通じてシュウの要請を快諾、航海が終わるまで付き合ってくれるという。これでちびと交代で高速航行の手段が確保できた。


 食料もちびの分も含めクロが担当してくれるので正に大船に乗る心境だ。

 ミーシャたちが島で集めた食材はデザートが大半で主にクロとちびを労う意味がある。勿論たまに山の幸を口にしたいという欲求も満たすことができる。


 シュウたちはゆっくりと船を砂浜から洞窟の見える海域に移動させた。まずは結界を越えるのが先決である。高速で結界を通過した場合シュウはともかくハナとミーシャに被害


 が出てしまう。常に二人に抱きついているわけにはいかないのだ。

 結界そのものを解除する、という方法も魔王から提案されたが、結局王国に報告して実際に確かめてもらったほうがよいという結論になった。


 また、シュウの夢に出てきた神と名乗る存在。お告げ的なものはその時限りだったが、言うとおり北西を目指したところ呆気なく魔法陣の洞窟に辿り着いたわけだから信じるに


 値する。

 そして、魔法陣は魔王の感知能力でも探すことが出来たと考えれば、お告げの『北西』更なる指針と捉えることも出来る。ジダーン大陸との位置関係からも高確率で何かありそ


 うな予感がするのであった。


「さて、ここからはクロ、船の前に出て運んでくれ。できるか?」


「キューッ!」


「そうか。頼む。この先にも結界がないとも限らんからなるべくゆっくりな」


「キュ!」


 魔王によると、島にあった結界の基点はあくまで『基点』であり、『中心点』ではないそうである。外側からジダーン大陸を囲む大掛かりな結界を張ったことでかなりの魔力を


 消費するはずで、これ以上は結界が存在はしないだろうとの推論だが、実はもう一枚ありました、ということになってからでは遅い。ということで結界を素通りできるクロとち


 びを先行させながらの航海をする予定だ。

 ジダーン大陸から島に到着したスピードは望めないものの、それでも魔道推進装置だけで航行するよりは遥かに速い。



 ◇◇◇



 船旅の再開は順調であった。

 新大陸を見つけるのが目的なので、視界の悪くなる夕暮れ以降は完全休養である。そのためクロもちびもほぼ休まずに船を運んでくれる。人間たちはゆっくりと料理でもしなが


 ら快適な船旅を満喫していた。


 そして島を出発して五日目のこと。ついに新大陸を発見するのだった。順調すぎる成り行きに、シュウもミーシャも苦笑を隠せないでいる。


「シュウさん。ありましたね。新大陸……」


「ああ。そうだな。実はジダーン大陸に戻ってきたってことはないよな……」


「……それはそれで、報告に戻る手間が省けますね……」


(あん)ちゃんもねーちゃんも、うれしくないんか?」


 遠目でもハッキリと島程度の大きさでないのがわかる陸地を見て呆然としているシュウとミーシャにハナから実に素直な疑問がもたらされた。


「いえ、ハナさん、そういうことではなく……何なんでしょう? この言葉にできない気持ちは……」


「わかるぞミーシャ。実はオレも同じ気持ちだ」


「多分、シュウさんの気持ちとは微妙に違うと思いますケド……」


「ん?」


「いえ、何でもありません」


 ミーシャは思っていた。

 シュウと出会ってから遭遇する出来事のすべてが波乱万丈といってよい。兄に死から始まり、謎の集団に襲われ、魔族の村を発見、魔王の封印が解けて更に憑依されてしまう。


 その後祖国であるジャナ王国の王城が瓦礫となったり、ジャナ大陸がシュウの手によって両断されるところだったり、自分の目で見ていなければ信じられない出来事が次々と起


 こっている。

 良いことも少なくない。長年続いたシナト王国とジャナ王国の確執はサトラ王子によって解消される。ジャナ王国の最後の王族であるサラ王女と結婚することで二つの国が統一


 されたのだ。


 このすべてにシュウが関わっている。この先もシュウといれば自分の知らなかった世界が見れるだろう。ミーシャはそう思ってシュウの思いつきの旅に同行してきたのだが、こ


 こまであっさりと御伽噺でしかない新大陸を発見できてしまっては乾いた笑いしか出てこないというものだ。

 そしてシュウ自身はその異常さに気が付いていない。


「ふう……やっぱりシュウさんに同行してよかった……」


「何がやっぱりなのか知らんが、これからどうする?」


「え? あ、はい。そうですね。どうしましょうか?」


 これは歴史的偉業なのである。結界の島や魔石の鉱山も大発見なのだが、ミーシャにはどうすればよいかなど判断がつかない。


「どうすっか……」


「どうしましょうか……」


 二人は遠くの新大陸を眺めながら呟くのだった。

ここまで読んでいただき感謝です。

悔しいことにストックが尽きた上に今後の展開で悩んでいます。

これから不定期投稿になるでしょうが、何とか続けていきたいと思います。

『管理神サマ(笑)の愚痴』

http://ncode.syosetu.com/n4475dt/

の方はまだ隔日投稿を続けますのでよろしくお願いします。

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