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グラディウス・サーガ  作者: 一色十郎太
第二章 新大陸編
41/50

2-03 新メンバー加入

 03


「クロ~。これが(あん)ちゃんやで~。あいさつしてや」


「キュ~。キュウキュウ」


「お、おお……よろしくな……クロ……」


 ハナが声を掛けると、リバイアサンがその大きな顔をシュウに近づける。

 流石のシュウも恐怖を感じずにはいられないようだ。

 だが、ハナがのんびり構えている様子から、何とか挨拶はできた。ちびの存在で耐性が付いているのだろう。


「で? ハナ。クロを呼んでどうするんだ?」


「運んでもらうんや」


 新しい出会いを記念して友情を育もう、などと悠長なことを考えている余裕のない状況のため、シュウはハナにこれからのことを相談する。

 またもやシュウには理解しづらい答えが返ってきた。


 が、すぐに実践されることでその答えの意味するところがわかる。


「お? おお!」


「きゃ! しゅ、シュウさん! 船が動いてます!」


 ちびを乗せるため魔道推進装置は停止させてあるはずなのだが、確かに船は舳先方向に進行していた。


 リバイアサンに船を運んでもらうという方法はシュウでも思いつくのだが、艫綱を引っ張るのも、船尾から押してもらうのも、船体が崩壊する危険があって言い出せなかったのだ。

 しかし、リバイアサンのクロは船体に近づいたものの接触はしていない。なのに船は動いているのだ。

 驚くなというのは無理がある。


『……ふむ。水魔法か……』


 ここで魔王の解説が入る。

 言われてみれば納得だ。どうやら、船体の周りの海水ごと動かしているらしい。これで船体に無理な力が加わることはなく安全に航行できるようだ。

 ただ、その魔法の規模は人間にできることではないということが驚きのポイントなのだ。


「すごいな、クロ」


「キュウ、キュウ」


「じゃあ、少し頼んでいいか?」


「キュウ!」


「ハハハ。じゃあ、よろしくな」


 シュウの面目躍如というところだろうか。一時は驚きはしたものの、伝説の海龍を気楽に足代わりにしている。ハナはともかく、ミーシャは呆れ顔であった。


 船は、元々魔王の指示で方向が決められていたので、そのまままっすぐ運んでもらう。

 魔王の指示と言っても、『直感』と呼べるもので、魔王自身確信はないと言っている。

 だが、シュウにしてみれば、それで十分だということになる。


 ちびが飛ぶのと同じように、いくら伝説のリバイアサンでも休みなく魔法を使い続けることはできない。せめてちびの体力が回復するまではお願いすることになった。


 その間、シュウたちはすることもなく、新しい仲間についてハナに色々話を聞くことにする。


「あんなあ、前にな、ちびと海に遊びに行ったときな、知り合ってん」


 ハナの言う『前』がいつのことなのか。シュウとミーシャには見当が付かなかった。

 ハナは、見た目こそ十歳くらいで、今では『人間』なのでその年齢として扱うことにしているが、実際は40年生きてきた魔族だったのだ。

 ちびの年齢も定かではないが、過去にドラゴン同士どんな出会いがあったのか気になるところである。

 ネーミングセンスはともかく、ドラゴン2頭を手懐けたハナの方が謎といえば謎であるが。


 ドラゴンといえば、そのことも話題になった。

 シュウもミーシャも、魔獣についてはあまり詳しいことは知らず、魔王の解説などがあり、ハナもその独特の知識を楽しそうに紹介するのであった。


 一口にドラゴンと言っても、種類は多岐に渡り、シュウたちが魔族の村で食したトカゲも『グリーンドラゴン』と呼ばれることもあるが、大まかに3タイプに分かれている。

 空、海、大地である。

 ちびは、ハナは正確な種族名を知らなかったものの、一般には空竜(スカイドラゴン)と呼ばれる上位種である。飛竜は他にワイバーンも存在するが知能は低く、いくらハナでも交流はできないようだ。

 海龍は、クロの種族リバイアサンを頂点にしてシーサーペントやシードラゴンなど体長の長い種類が多い。

 地竜は、トカゲサイズから大型のものまで存在する。最大種は大地竜(アースドラゴン)。ちなみにこれもハナの『友達』であるそうだ。ミーシャなどはその話を聞いて言葉もなかった。シュウは『今度紹介しろ』などと言っている。


 ドラゴンとトカゲの違いは魔法を使えるかどうかである。

 種族によって固有の魔法を持っていて、空竜は風魔法を中心に浮遊魔法、飛行魔法に通じている。ジダーンの科学知識では判別しようがないが重力魔法に属するだろう。

 海龍は当然水魔法、地竜は土魔法が中心となる。最大種ともなれば、天変地異レベルだ。


 その海龍、リバイアサン・クロはちびにバトンタッチして休憩中だ。既に海中に潜り姿は見えない。

 ちびは、シュウに同行できて張り切っているようで、魔道推進装置を使おうとしたシュウに一声かけ、自ら船を動かすとアピールする。シュウが了承すると、船を壊さぬよう慎重に船尾に手をかけ、海面すれすれを船を押すように飛び始めた。


「きゃーっ! シュウさん! 速過ぎです!」


「こ、こら! ちび! やめろ! 船が壊れる!」


「ガウ! ガウ!」


(あん)ちゃん! 大丈夫言うてんで!」


 クロが海水ごと動かしていた時は非常に安定していた船体は揺れに揺れた。ジダーンでは最新の魔道推進装置では絶対に不可能なスピードである。

 探索が早く進むのはありがたいが、乗っている人間にとってはたまらない。シュウもミーシャも船べりに必死になって掴まっていた。


『……ドラゴンに乗ればよい……』


 そろそろミーシャがダウンしかけた頃、魔王がポツリと呟いた。今にも吐きそうなミーシャの口を使って。


「オッサン! 早く言えや!」


 魔王の提案により、一旦ちびに停止してもらい、決壊寸前のミーシャをシュウが抱えてちびの背中に乗り込む。


「ち、ちびさん、ごめんなさい……うっぷ」


「ガウガウ」


「ねーちゃん、大丈夫か?」


「まあ、少し休めば大丈夫だろ。ちび、そういうことで今度は揺らすなよ」


「ガウ!」


 こうして、空の船をちびが押すことになった。

 ちびの背中は安定していてミーシャは順調に回復している。ハナの回復魔法も一役買ったのは言うまでもない。


 船としてはありえない速度で進むこと数時間、日が暮れてきた。


「よし、ここで休憩だ。ちび、疲れないうちに休んどけ」


「ガウーッ!」


 どこに目的の新大陸があるのかわからないうちは夜の航行は問題だ。

 シュウは、魔獣の危険のためというよりその問題があって夜は停船している。


 それに、ちびたちドラゴンは寝ていても微力な魔法を使えるということで、完全に疲労してしまう前に船上で休ませることにした。こうすれば沈没の危険もなくなるだろう。


 日が完全に沈みきったところでクロが合流する。

 暗闇に溶け込んだクロの姿は、ハナがその名を呼ばなければ魔獣の襲撃と勘違いしたことだろう。

 ホッとしたシュウとミーシャに、クロは手土産を差し出す。


「まあ! クロさん、ありがとうございます」


 手土産といっても、ちびぐらいある大きな魚であった。物理的に丸ごとは受け取れなかった二人だが、素直に礼を言う。


「おお! コイツは食いでがありそうだ。ちびは魚は食えるのか?」


「好きやで。でもな、果物の方がもっと好きや!」


「そうか。じゃあ、後でちびにやろう。あ、もちろんクロにもな」


「ガウ! ガウ!」


「キュー! キュー!」


「ちょっとだがな」


「ガウ~……」


「キュ~、キュ~」


 シュウの言葉に、果物好きのちびと、滅多に果物など食べられないクロはガッカリした感じだ。

 仕方なくシュウは二人を励ます。


「新大陸が見つかったら、そこの果物を山ほど食わせてやるからな。それまでがんばってくれ!」


「ガウーっ!」


「キューッ!」


 二人はどうやらやる気になったようだ。

 シュウは着々と魔獣使いの才能を発揮しはじめている。本人はわかっていないようだが。


 クロの捕ってきた巨大魚の一部をシュウとミーシャが船内の厨房で料理し、ハナと三人で食べる。

 残りの、といっても99%以上あるのだが、クロとちびが仲良く分け合う。残念ながら調理はできない。それでも楽しそうに食べていた。デザートも楽しみなのだろう。


 こうして、ハナが合流しての一日目は過ぎていくのだった。




読んでくれてありがとうございます。

新連載『管理神サマ(笑)の愚痴』もよろしくお願いします。

http://ncode.syosetu.com/n4475dt/


1/30 ハナの台詞『あんちゃん』→『(あん)ちゃん』に変更。

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