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七話 グッズ発見



 少し離れた高原さんの部屋に行く。


「高原さん。ちょっといい?」


「ふぇ!?」


「入るよ」


 僕は部屋に入る。


「・・・」


「・・・」


 なぜお互いに何も話さないかというと。


 鏡の前でポージングを決めている高原さんがいたからだ。


「あ、あの」


 気まずげに僕は話しかける。


「大丈夫!何が大丈夫かはまったく分からないけど。とにかく大丈夫だから‼」


「き、きゃあああああむぐっ」


 高原さんが大声を上げて叫んだ。


 僕はそれを止めるために慌てて口を手で塞ぐ。


「しっ、静かに!」


「むぐ?」


「とりあえず、話を聞いて」


「むぐ」


「さっき、なんか高原さんのお父さんっぽい人が来た」


「むぐっ!?」


「ここから三つ手前の部屋」


「む、むぐぐ!?」


「だから、とりあえずここから離れている姉さんの部屋に隠れていて欲しいんだけどいいかな?」


「むぐ」


「よし。それじゃあ急いで移動を・・・」


「っていつまで口を塞いでいる気か!」


 我慢の限界だったのか、高原さんは自分の口を塞いでいた僕の手を強引に払った。


「わわっ!?」


「苦しいわよ!」


「ご、ごめん」


「いいわ。それで、どこに行けばいいの?」


「うん。じゃあ、こっちに着いて来て」


 僕は姉さんの部屋に案内した。


「ここだよ」


 僕はドアを開ける。


「・・・」


「・・・」


 説明しよう!


 部屋中に僕の・・・。


 高波夏月グッズがあったのだ。


 人形、写真、抱き枕、ポスター、etc...。


 僕は血の気がサーっと引いた。


 身内にストーカーがいるんですが・・・。


「・・・。と、とりあえず僕の部屋にいて。ここよりはマシだから」


「アンタも苦労してるわね。気をしっかり持ちなさい」


 昨日、知り合ったばかりの子に慰められた。  


 っていうか、何あれ⁉どうやって作ったの⁉


 メチャクチャ精巧に作っているんだけど・・・。


 とりあえず、高原さんを僕の部屋に隠れてもらい、キッチンで料理をして、そのまま客間に急いだ。


「おまたせいたしました」


 ドアを開けるともう父さんも母さんも来ていた。


「おお。待っていたぞ」


「ごめん。父さん」


 僕はそのまま料理をテーブルに置く。


「この子の料理は絶品でしてね」


「ほう。それは楽しみですね」


「期待に沿う出来よ。この子の料理は」


「それでは僕は失礼します」


「もう行くのか?」


「うん。明日も早いし」


「そうか。それじゃあおやすみ」


「うん」


 僕は退出しようとすると


「私もそろそろ」


 と言って姉さんも退出した。


「姉さん。僕はとても恥ずかしかったよ。というか怖くなったよ。もうストーカーの域に達してるからね・・・」


「うぅっ!やっぱり見たんだ。でも!ストーカーじゃないからね‼私公認のグッズとして正式に販売しているんだから」


「僕は許可出してないよ・・・。肖像権・・・」


「ふふんっ」


 何故かドヤ顔でふんぞり返る姉さん。


「身内ならともかく、高原さんにまで見られて・・・」


 僕たちは移動しながら話す。


「大体、どこであんなの作ったの!?」


「えっ!?知らないの?」


「知らないよ!!」


「年下好きの子とかにナツ、大人気なのよ」


「ええ!?」


「だから、夏月グッズを売っていいと許可した代わりに売り上げの一割と全夏月グッズを一つずつもらうことで黙認しているの」


「僕、初耳だけど」


「うん。これも、初めて言ったことだから・・・。って、しまった~!!つい口が滑っちゃった!」


 姉さんが恐る恐る僕の方を向く。


「(∀`*ゞ)テヘッ」


「てへ、じゃなああああああああぁぁぁぁああい!!!!!」


 っていうか、なんだその顔。どうやってるんだ。


「ま、まあまあ」


「はぁ。とりあえず、そのグッズの流通はストップ。いいね?」


「は~い」



「よし。分かればよろしい」


「でも、私に売るくらいなら・・・」


 姉さんがそんなことを言って来たから、


「それも、もちろんダメ!!」


「うぅ」


「ちゃんと反省しなさい」


「はーい」

 

 そういうやり取りをしながら僕たちは高原さんのいる僕の部屋に向かった。





読んでくれて感謝です。

次の話もよろしくお願いします。

ちなみに、夏月グッズは正式に販売中止になりました。

美香涙目。

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