四話 泥棒?
僕は高原さんの心配をしてた。
現在、四時間目まで心配のし過ぎでほとんど授業の内容を覚えていない。
「どうしたんだよ。そんなにそわそわして。ちょっと落ち着きがないぞ?」
僕の様子がおかしいと言いながら山田が声を掛けてきた。
「ああ。ちょっと、家のカギをしていたかどうか忘れてね」
「ああ。よくあるよな~」
そうして他愛もない話しをして上手くかわしつつ授業に集中するよう努めた。
務めただけで、集中できたかと言われれば自信はないけどね。
・・・
―高波家―
私が目を覚ますともう昼を過ぎていた。
「もうこんな時間か」
私は寝ぼけながらも起き上がる。
「そういえば、あの人がお昼ご飯を用意してくれていたな~。確か、キッチンだったっけ」
私はキッチンに移動する。
ちょうど玄関まで来たところで玄関からチャイムが鳴った。
(どうしよう。私はここの家の人じゃないし、無視しようかな)
私はそう考え、そのままキッチンに行こうとすると、急にドアが開いた。
びっくりして私は急いでキッチンに隠れる。
「たっだいま~~~!!!」
隠れると同時にそんな声が家に響いた。
「ナツ~。お姉ちゃん、今帰ったよ~。どこ~?」
そんな声が近づいてきた。
気分は某ゲームの主人公の蛇さんだ。
「ここか~~?」
そしてその声の主がキッチンのドアを開けた。
「!!??」
私はビックリした。
「・・・・・・・・・」
その人は固まってこっちを見ている。
だが、それは私も同じだ。
「あ、あああ、ああああああああああああああああああああああああ!!!!??!!」
「!?」
急に大声を上げて、すごい形相をしてこっちに迫って来た。
「きゃあああああ!!!」
私はあまりの怖さに悲鳴を上げながら逃げる。
そのまま外に出て庭に逃げ込む。
(どどどどうしよう!?なんだかよく分からないけどやっつけた方がよかったかな?)
私は気が動転しながらもある名案を思い出した。
(そうだ!電話だ!高波さんに電話をしよう!)
私はそのとき、一番の名案が警察へ通報することだということをすっかり忘れていた。
そして、持っていた携帯で急いで電話した。
・・・
―学校―
僕は現在、授業で睡魔から波状攻撃を受けていた。
そのとき、急にマナーモードの電話が震えた。
「!!」
僕は急いで携帯の画面を見る。
(これは高原さんの番号。一体どうしたんだろう?)
授業などお構いなしで電話に出る。
幸い、席がちょうど後ろの方だったので先生には気づかれてはいない。
隣の席の山田が苦笑いをしながらこっちを見ていたがお構いなしだ。
「もしもし?」
誰にも気付かれないようにこっそりとしゃべる。
『あ!もしもし?高波さん?』
急に大きな声でしゃべるからビックリした。
周りのクラスメイトや先生にバレてないか冷や汗をかく。
が、どうやら気づかれなかったようだ。
「ど、どうしたの?」
『あ、ああああのね、急に家に人が入ってきて私を怖い顔をしながら追いかけて来たの! お願い!助けて!!』
その瞬間、僕は席から立ち上がる。
「先生!すみませんが家の都合で今日は早退させてください」
「ん?ああ。分かった」
ここがこの高校のいいところの一つだ。
先生の許可があれば大抵の事は許される。
しかも、今授業をしている先生は大体のことは理由も聞かずにフルスルーだ。
よほど、面倒がりなのだろう。
それに、一応僕の家のことは学校には伝えているので緊急事態とかなら早退も許してくれる。
それにしてはこの先生、なんか軽すぎな気がしないでもないがそれはさておき。
僕は急いで帰り支度をしてさっさと学校を出た。
クラスメイトはそんな僕を見ていて唖然としていたが。
まあ、山田だけはそんな僕を終始ニヤニヤした顔で見てたけど。
なんだか若干事情がバレてる?と思ったがそんなことを気にする余裕は今の僕にはない。
学校から家まで歩いて30分かかるが全力で走ればその四分の一ぐらいで帰れる。
ノンストップは流石にキツいだろうけど・・・。
とにかく、僕は急いで帰路についた。
読んでくれて感謝です。
まだまだストックはあるので、ガンガンいきます!
次の話もよろしくお願いします。