五話 なぜに・・・?
僕の部屋は上から三番目の階だ。
と言うわけでエレベーターに乗っている間に会社があんなに慌ただしくなった理由を聞くとしよう。
「確か、今日のローテーションはネコだったね」
「はい」
僕が呟くとネコが上からシュタッと降りてきた。
「毎回思うけど、どうやって隠れてるの?」
「どう・・・と言われても」
ネコはどう答えればいいのかと言った感じで考え込む。
「いや、別にそこまで気になるわけじゃないから。考え込まないで」
「ありがとうございます」
「それと、僕にもみんなと話をするように話してくれてもいいんだよ?」
ネコは僕に対しては丁寧な感じで話すんだよな~。
「いえ、夏月様に対しては返しきれない恩があります。そんな夏月様に友達のようには話せません!」
「寂しいこと言わないでよ~」
「いいえ。こういうことはしっかりとしないと。むしろ、ウサギみたいにラフなのは問題かと」
「僕は構わないんだけどね~」
「私が構います」
「ちぇ~。僕は君がウサギたちに話しているようにしてくれた方がいいのに~。そっちの方が好きだし」
「す、スキ⁉」
ネコが動揺している。
珍しいこともあるもんだ。
それはそうと。
「それで、話は戻るんだけど」
「はい。そのことですが、どうやら他社からの訪問でこのような騒ぎになっているようです」
「訪問?それだけでこんな大騒ぎになる?」
他社からの訪問なんてしょっちゅうとまではいかないけど何回かあったことだし。
「いえ、実は先方から報告されていた訪問者とは違う訪問者が来ているようなのです」
「誰が来たの?」
訪問者が報告と違ったからといって騒ぎ過ぎでしょ。
「それが―――」
ネコが言おうとしたらエレベーターが僕の部屋がある階に到着した。
「とりあえず、僕の部屋に行ってから話を聞くよ。行こう」
「はい」
ネコを促してエレベーターから出る。
エレベーターから降りてすぐ前に扉がある。
そこが僕の部屋だ。
そもそもこの階は丸々僕の部屋だ。
僕はそんなに大きな部屋はいらないって最初は言ってたんだけど、夜遅くまで仕事してたら幹部のみんなが強引に作っちゃったんだよね。
一週間お仕事禁止って言われて、次に会社に来たらもう完成してたんだよね。
口を出す暇すらなかった。
部屋の構造を簡単に説明しよう。
扉から入ったら最初に社長室でもある僕の仕事部屋がある。
その社長室には入り口以外に二つの扉がある。
一つは秘書の部屋だ。
まあ、今は僕に秘書がいないからこの部屋は全く使ってないんだけど。
もう一つは僕のもう一つの家的なものだ。
生活スペースが広がっている。
と、こんな感じだ。
「さて、それじゃ報告の続きをお願い」
社長室の僕の椅子に座ってから報告を促す。
「はい。それで訪問者なのですが、実はその訪問者が問題でして・・・」
歯切れが悪いネコ。
「どうしたの?」
「実は、訪問者の方の名前なのですが・・・」
「うん?」
「高原櫻嘉様です」
「はい?」
マジですか。
「今、ここにいるの?」
「はい」
「何しに来たの?あの人」
「夏月様に御用があるとのことです」
なるほど。
そりゃあんなに慌ただしくもなるわ。
よその社長がいきなり訪問してきたのに自分たちの社長は今いないんだもん。
「でも、それなら僕のところに連絡してくれたらいいのに」
「夏月様。繋がらなかったそうですよ?」
「え?ホント?」
そう言って携帯を見ると電源が切れていた。
「あー。電源切れてる」
これが原因か。
「それで、どう対処したの?」
「高原様もどうやら夏月様のことをご存知のようで夏月様のいらっしゃる三十分ほど前にいらっしゃっています。それで現在は最上階のゲストルームにお通ししています」
「分かった。じゃあ、ちょっと会ってくるよ」
「分かりました。お供します」
「バレているからメイクはいいよね?」
「いえ、念のために軽くメイクはしておきましょう。今日のローテーションが私でよかったです」
「そうだね」
そうして僕は急いで生活スペースに入った。
メイクはいつもネコにしてもらっているからちょうどよかった。
読んでくれて感謝です。
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