二話 エンカウントしちゃった
―休み時間―
「夏月‼いる⁉」
「いない」
「いるじゃない‼」
そういうことにしておいてください。
「数学の教科書忘れたの。貸して?」
「あ、僕も忘れた」
「ぐっ。じゃあ、参考書貸して」
「はいはい」
授業でいつも使う参考書を実咲に手渡す。
ちなみに教科書は本当に忘れたのだ。
僕も後で借りに行かないと。
―次の休み時間―
「夏月‼これありがと‼」
「うん」
「それでお昼なんだけど、一緒に食べない?」
「僕、普段は山田たちと一緒に食べているんだけど・・・」
そう言って山田と普段一緒にご飯と食べている友人たちのいる方を向く。
「悪いけど今回は先にあっちと約束しているからまた誘ってよ」
「ぐっ」
ん?
山田がこっちを見ている。
どうやら僕と実咲が一緒にいることでどういう内容の話をしているか分かったようだ。
「高波!今日は俺ら弁当忘れたから購買でなんか買って食うわ!悪いけど、お前は誰か別の人と食べてくれ」
「なっ⁉」
山田がグッドラックしてくる。
なんだろう。
無性に腹が立つ。
「じゃあ、私と一緒に食べましょ?」
「ハイ」
断る理由が消えたのだ。
OKを出すしかない。
こうして僕は実咲にドナドナされていった。
―放課後―
「夏月~。一緒に帰りましょ~」
実咲が教室に突入してくる。
「もう迎えは呼んでるから」
「あの・・・。僕、車で帰るほど家は遠くないんだけど」
「いいじゃない。ついでに私の買い物にも付き合いなさいよ」
「でも・・・」
僕が言い訳しようとしたらクラスメイトたちから白い目で見られた。
流石にこの騒ぎに疲れてきたのだろう。
ここ何日かは同じことの繰り返しだもんな。
「イキマス」
「じゃあ、校門で待っているから」
「ハイ」
そう言うや否や実咲はさっさと教室から出て行った。
「はぁ」
まあ、たまになら断れるんだよ?
姉さんを理由にすれば。
でも、それも何度も使えるわけではないし・・・。
はぁ、行くか。
と、まあ、こんな感じなのがここのところ毎日続いている。
現在、僕は実咲に送られて自分の家に帰ってきている。
「実咲が嫌々やっていることも分かるし、大変なのも理解しているつもりなんだけど」
それと現在、僕が受けている被害は別だ。
「GURURURU・・・・」
そう。
NEESANである。
「落ち着こう。落ち着けば見えてくるものがある」
若干、よく分からないことを口走りながら姉さんを落ち着けに掛かっている僕。
どうしてこうなったかというと・・・。
簡単なことだ。
実咲に家に送られたことを見られた上に、僕が実咲のことを名前で呼んだところを姉さんに見られていたのだ。
実咲は姉さんの姿を確認するや否や速攻で逃走。
そして猛獣(姉さん)のいる場所に僕一人だけが取り残される羽目になる。
実咲。
この恨み、必ず晴らしてやるからね。
この騒がしい日々が現在の僕の日常だ。
読んでくれて感謝です。
次の話もよろしくお願いします。




