初狩りの成果。
本当はVRで生産する話が書きたかったんですけど、主人公の初期スキルには一切見る影がありません。
どうしてこうなった。
今の俺のステータスは、
Name:コウ Lv.3 人族
HP:120 MP:70
ATK:42/45 DEF:22/45
MAT:30/45 MDF:22/45
SPD:42/45 DEX:32/45
重量値:6/40 ステータスポイント:6
となっている。人族はレベルが上がるとHPとMPが+10、各ステータスが+1、ステータスポイントが3もらえるようだ。とりあえず今あるポイントは全部DEFに振る。
スキルはステータスの下の方にある『スキル』を選択して確認するらしい。押してみる。
選択中スキル
《火魔法》Lv.1→4《水魔法》Lv.1→2《風魔法》Lv.1→2《土魔法》Lv.1→2《光魔法》Lv.1→2《闇魔法》Lv.1→2《魔力調節》Lv.1→2《魔力促進》Lv.1→2《格闘》Lv.1→3《鑑定》Lv.1→3
控え:
スキルポイント:4
ふむ、さっき使っていない水、光、闇の魔法もLvが上がっているから、関連する行動で少しばかり経験値が入るのかな?《格闘》も主に防御しかしてないけどそこそこ上がっている。《鑑定》はエンカウントしたMOBや採取ポイントで取った薬草なんかに使いまくったけど、少し低い気がする。
なんとなく、《鑑定》を鑑定してみる。
スキル 《鑑定》 補助系統スキル
様々なものの情報を読み取るスキル。対象を視界に入れなければ発動できない。基本的になんでも調べられる。
ほへー、やっぱ結構便利だと思うんだがなぁ…。《鑑定》画面を閉じると、《鑑定》のレベルが4になっていた。
あれ?これ暇なときにステータスとかその辺のものを《鑑定》してればレベリングになるんじゃね?
…覚えとこう。
次はドロップを確認するために、『アイテム』を開く。『消耗品』『素材』『大事なもの』『クエスト関連』とあるので、『素材』を開いて、一つずつ鑑定していく。
ラビの肉 素材アイテム ×7
ラビのお肉。さっぱりしていて脂身が少ない。
ラビのしっぽ 素材アイテム ×2
ラビのしっぽ。細くてフワフワしてかわいらしい。
ラビの耳 素材アイテム ×2
ラビの耳。愛好家が多いので、比較的高く売れる。頭につければアナタもうさぎさん気分。
ラビの角 素材アイテム ×3
ラビの角。石ころよりも柔らかく、丸っこいのでかわいらしい。
ラビの毛皮 素材アイテム ×8
ラビの毛皮。駆け出し冒険者がよく防具に利用する。手触りがいい。
ラビットの角 素材アイテム ×1
ラビットの角。ラビの角よりも鋭く、石ころよりも固い。しかし、金属を貫くほどではない。
ラビットの毛皮 素材アイテム ×3
ラビットの毛皮。駆け出し冒険者がよく防具に利用する。モフモフ。
多分ラビとラビットからはそれぞれ5種類のドロップがあるんじゃないかな?ラビットはエンカウントした数が少ないので肉としっぽと耳は手に入らなかったのだろう。
「確認できた?それじゃこれからギルドでドロップの売却と、消耗品の買い出しと、宿屋に泊まって30分ログアウトね」
「なぁ、ドロップって売らなきゃダメか?」
「何言ってんのよ。ドロップ売らなきゃ狩りに行ってもジェネ増えないわよ?あんたの場合早いとこもうちょっとマシな防具買わなきゃ、《格闘》さんが涙目よ?」
「いや、いつか生産もかじってみたいからさ。全く売らないワケじゃないけど、多少は持っておきたいんだ」
「難儀なことするなぁ。生産と戦闘を両方こなそうとすると、どうあがいてもレベルが上がりにくいぞ?」
「別にいいよ。強くなるために始めたんじゃないし。俺はお前らと一緒に遊べたらそれでいーの」
「でたな、紘の若干恥ずかしい人たらし発言」
「なんだよソレ、はずいわ!」
「まぁまぁ、貶してるわけじゃないんですし、いいじゃないですか」
むぅ。
「とりあえず、ギルドに行きましょ」
ギルドに着いた。みんなが掲示板みたいなものを物色し始めたが、俺は何をするのかさっぱりわからないので、ラプスを捕まえる。
「最初に説明されたろ?ギルドは素材の買い取りとクエストの斡旋もやってるんだ。条件の良いラビの素材納品クエストを探してるんだよ」
「そういや、そうだったな。…お、これはどうだ?ラビの毛皮3つで200ジェネだってよ」
「結構いい条件だな、それ。とっとけとっとけ」
その後もみんなで掲示板を物色して、クエスト受付に行って処理を済ませる。最初は1000ジェネからのスタートで、今回の稼ぎが1300ジェネ。消耗品を買った後は600ジェネ位になっていたので、結構黒字だ。割のいいクエストを見つけられたのも良かった。
「そうそう、アンタ、ラビの討伐クエストも受けといたほうがいいわよ。討伐数が超過しても色つけてくれるし、特に期限はないから、受けときなさい。明日もラビを狩るから」
「あいあいさー」
なんだかんだでヒスイは世話焼きで、頼りになる。
「なによ、こっち見て」
「なんでもないよ。次は消耗品の買い足しだろ?さっさと行こうぜ」
ここで無自覚鈍感主人公なら「良いお嫁さんになりそうだな」とか言うんだろうが、恥ずかしさを押し殺して言ったところで気持ち悪がられるだけなので、やめる。あれを言って許されるのは一握りのイケメンだけなのだ。俺のようなフツメンには許されない。…俺、フツメンだよね?ブサイクじゃないよね?
これ以上いけない。
気を取り直して、買い出しへ。
みんなとは一旦分かれて、駅ビル(ギルド前の何でも屋)でポーションを3つと、ラビの毛皮の胸当てを買う。この時、依頼の出ていなかったしっぽと耳を売ってみることにした。素材として扱いが難しそうなので、最初は売って資金にした方が良いと思ったからだ。かなり高額で売れたので、残った手持ちは2180ジェネになった。
再集合して北の大通りに入って、宿屋に向かう。βのときによく使っていたという、5分ほど歩いたところの宿屋へ入る。マンションみたいな大きさの建物で、一階の受付口も4か所あった。チェックインを済ませて(1泊200ジェネだった。メシ込で)食堂で満腹度と渇水度を回復させておく。メニューがどこにあるのかわからないのでNPCのウェイター(?)さんには今日のオススメを注文する。みんなは思い思いのものを頼んでいる。あ、ダイが焼肉定食頼んだ。俺もそれにすりゃよかったな。
出てきた他人丼を平らげて、森で採れるというオレンジっぽい味がする果物のジュースを飲んで、部屋へ行ってみる。(ちなみに他人丼は森にいるコケッコという鶏みたいなMOBの巣穴から採取したり、店で売っている卵とラビの肉が使われていて、汁気が多かったのでラビ肉の脂身が少ないというのは気にならなかった。美味かったのでまた食べたい)
泊まる部屋は個室だった。この宿屋がビジネスホテルとしか思えないのは俺だけだろうか?
「もっと、こう、冒険者の宿ーって感じのトコはないのか?」
「あるけど、実際泊まるとなると現代人にはキツすぎるぞ、アレ。そんなクオリティで値段はここと大して変わらないんだから、こっちに泊まるだろ」
「それに、立地が結構遠いのよね。確か、北門から5分くらいの路地裏にあったかしら。行きたいなら一人で行きなさいよ。少なくとも私は2度と行きたくないわ」
「そこまで言われて行きたくなるわけねーだろ。おとなしくここで寝るよ。おやすー」
「おやすー、あ、30分後にすぐログインしなさいよ?」
「分ーかってるって」
「お休みー」
「おう、また後でな」
「みんな、おやすみなさい」
部屋の中はシンプルな家具が最低限置いてあって、雰囲気は完全にビジネスホテルだった。もう俺の中でこの宿の呼び方はビジネスホテルに確定した。
とりあえず、ベッドに転がって、ログアウトする。
また、身体の『芯』が抜ける感覚。
自分の部屋のベッドの上で目を覚ます。あの感覚は不思議とイヤじゃない。
制服のままでプレイし始めたので、30分の間に着替えてしまおう。そういえば、ダッシュで帰ってきたので汗もかいている。
…風呂入ろう。
風呂に入りながら、ゲームについて色々考える。
とりあえず、《鑑定》のレベリングは常時やっておこう。レベルが上がって損はないしな。魔法関連は、無詠唱とか複数同時発動みたいなスキルがないか探さないとな。せっかく全属性あるんだから、組み合わせてみたいし。メインは今のところ火の魔法でいいや。《魔力促進》はもっとレベルが上がれば効果も上がるだろう。《鑑定》のレベルが上がったら新しいことがわかるかもしれないし。ステータスはDEFに振っておいて、そうだな…35くらいになったら左側、特にSPDを上げよう。痛いのはイヤだし、昔の3倍速い人も「当たらなければどうということはない」って言ってたし。…必中攻撃でコロコロされるパターンですね、分かります。
どうでもいいけど、俺、思考が取り留めなさ過ぎるだろ、コレ。「心にうつりゆくよしなしごと」ってレベルじゃねーぞ。
風呂から出て、ジャージに着替えて、再ログイン。
この感覚にも結構慣れてきたな…。
主人公さんはフツメンです。