中ボス。
遅くなりました。申し訳ない。
世界○みえで、エベレストに取り残された男の話っていうのやってましたけど、どっかの異能生存体さんにとっては日常茶飯事だなあと思いました。(小並感)
中ボスの階層にやって来た。
魔法陣の上に立って視界が切り替わると、広いドーム状の空間の中にいた。部屋の直径は目測で20メートル位。
真ん中には、石板が立っている。高さは2メートル位。正面から見た感じ、そこまで分厚くはなさそうだ。待っていても仕方ないので、少しずつ近づく。
石板から5メートルちょっとまで近づくと、石板が内側から弾けて、鉄色の腕が生えた。
やっぱり、アイアンゴーレムが中ボスとして出るのかな?鉄の塊が襲ってくるのは、かなりの脅威になりそうだけど。
石板はその後も割れて行って、予想通り、人型の鉄の塊が姿を現した。
が、なんか、ゴーレムよりも線が細い。身長は2メートルほどあるけど、ゴツさだけで見れば体操選手くらい。人間から見たらゴツいけどゴーレムとしては貧弱そうだ。鑑定しよっと。
アイアンドール
擬態Lv.23
自己再生Lv.15
硬変Lv.7
なるほど。ゴーレムとは違うのか。でも、鉄であることに変わりはない。スキルからして、一気に畳みかけないと回復されてしまうようだし、まずは消耗しないように様子見かな。
一旦距離を取って眺めていると、相手もこちらを凝視してきた、ように感じる。ゴーレムと同じで、ドールも目がないからよくわからないけど。
ドールが両腕を前に出すと、右腕は先端が伸びて膨らんで、鈍器のようになった。左腕は手が生えた。ただの棒みたいだった腕に、不格好な指らしき太い棒が4本が生えて、それをつなげる手のひらが出来て、更にプラモデルのボールジョイントみたいな関節ができた。かなりの精度で人間の手を摸してる。
ってことは、今の俺の装備をマネたのか?俺は右手にメイス、左手はグローブをしてるだけの素手だ。多分これも擬態の能力だな。人の形だけじゃなくて、持っている装備もマネできるようになるのか。お前ら便利だな。
擬態を完了させると、そのままこちらに直進してくる。
射出がないっぽいから飛び道具もないっぽいのは救いだな。取り敢えず、
「ファイアランス!」
命中。でも、あんまり効いてない。まあ、火魔法一発でどうにかなるようなら、アイアンは防具にもならないし、一応のボスMOBとしてもふさわしくない。命中した右肩の辺りが軽くぶつけた車のバンパーみたいに凹んでいるので、効果が無いわけではないみたいだけど。
それよりも驚いたのは、ドールがランスに反応して、躱そうとしたところだ。
直進してきていたから当たっただけで、躱すことに専念されたら躱されそう。これまでのゴーレムより固くて速い。なんとも厄介な奴だ。
相手の攻撃を躱しながら、ファイアランスを当てていく。
メイスの攻撃は中々強力だ。ストーンゴーレムの振り下ろしよりも速いし、単純に腕が伸びた分だけリーチが長い。
更に、姿勢を低くして長柄の得物の弱点である至近距離に飛び込もうにも、左手が邪魔だ。掴まれたらそのままサンドバックにされてもおかしくない。ドールの身長と膂力的に吊り上げるのは容易だ。掴まれたら最後、そのまま干された布団みたいに右手のメイスでタコ殴りだろう。
と、ヒヤヒヤしながら躱してはランスを撃ち、を繰り返していると少しずつドールの動きがぎこちなくなっていった。着実にダメージが溜まって行っているようだ。
でも、あまり安心はできない。MPの回復速度が速い俺でも、かなりのMPを消費してしまった。もしかしたら最後の方にMP切れに陥るかもしれない。まだ余裕が有る今のうちに、少ないMPで多くのダメージを与える方法を模索しておいたほうが良い。
MP消費を抑えるなら物理で攻めるしかない。気合いを入れて、やってやろうじゃん!
攻撃をかわしながらエンチャントをウインド、ファイア、クレイの3種類かけて、バフ系の武技も全部使う。特化は気刃化にしておいた。
魔拳と魔脚は両方とも土。グローブが有るとはいえ、素手で鉄の塊を殴ったら痛そうなのでこちらは防御力が上がる土属性にして、使うMPも一応2倍にした。
これで準備は出来た。
次に攻撃されたところから、攻撃してみよう。
攻撃するならどこか?もちろん薄っぺらいところだ。今のドールの体で、一番薄っぺらいところは右手の鈍器の柄の部分だ。次に振り下ろし攻撃をされたら、こっちのメイスで柄の部分をぶっ叩くことにしよう。
ぶうおんっと恐怖を煽る音を立てて、頭の横を鈍器が通り過ぎていく。
すかさずメイスをその振り下ろされた右腕の柄の部分の中ほどに叩き付けた。
がいんっと痺れと耳障りな音が帰って来るが、その柄は40度ほどひん曲がっている。効いたみたいで良かった…。
おっと、安心している場合じゃない。すぐに距離を取り直す。
…よかった。自己再生で一瞬で直ることもないようだし、物理でもある程度のダメージは与えられる。このまま行こう。
ランスの使用は控えて、鈍器の柄を叩きまくる。攻撃の隙をついて、というタイミングになるのであまり頻繁には叩けないが、着実にダメージを重ねる。
6回目に叩いた時、ようやくその右手がへし折れた。
すると、みるみるうちに折れた右腕が生えて来た。
思わず絶望しかけたが、よく見ると明らかにその柄の部分は細くなり、先端の鈍器は一回り小さくなっている。
更に身長も小さくなり、左手も大きさは変わらないが指と関節が減っている。
やっと実感できる程のダメージを与えられたことに喜びながらも、手っ取り早い倒し方を見つけた俺はそのままドールの隙をついて叩くのを繰り返した。
俺の目の前に光が広がって弾ける。
「うっしゃあああ!」
思わず歓声をあげるが、許して欲しい。最初に柄をへし折ってから、かれこれ30分も経っている。
何があったかというと、ドールが予想以上に耐えたのだ。
3回柄の部分をへし折った頃には、人間としても少しヒョロい感じになっていたので隙をつくのを止めて積極的に殴りにいったのだが、硬変ってのが非常にウザかった。
長続きせず、使用中は動けなくなるかわりに異常に固くなるのだ。最初に使われたとき、殴った時のあまりの反動でこっちがカウンター食らわされそうになった。
まあ、切れた瞬間を狙えばなんとかなったが、それでも非常に時間が掛かってしまった。
最後の方なんて、もう鉄の棒状態のドールに直接組み付いて指や柄を捻り切ったり、腰の部分を殴って抉ってドー/ール状態にしたりと、割と無茶苦茶やってた。
だって、細くなったら軽くてメイスの打撃攻撃が効きにくくなったんだもん。
まあ、回想は後でいい。ドロップの確認だけして、さっさと出よう。ジーナさんを待たせるような度胸はないし。
ハードアイアンインゴット 素材アイテム ×1
通常の物よりも硬いアイアンインゴット。加工に必要な技量やスキルレベル、加工後の生産物の性能も高くなっているが、加工の手順や手間自体は大差ないので、安価に加工できる。その分生産物の価格も抑えられており、人気の高い素材。
中ボスなだけあって、良いもの落とすね。
これだけじゃなくて、普通のアイアン鉱石も何個か増えてる。
確認も終わったし、さっさと出よう。
鍛冶と細工のどっちから取るか悩みながら、次の階層行きとは違う色の、地上に帰る魔方陣に入った。
コウ君、結構アイアンドールに苦戦しました。
でも、やっぱり6人がかりならドールも割と雑魚になっちゃうわけで…。
敵の強さの加減が難しいです。
活動報告で書くって言ってた新しい奴ですが、結界の方はもうそこそこ書けてます。1話にするには短いので、まだ投稿できませんが…。
もうちょっとしたら出せると思います。興味が沸いた方は、読んで貰えると嬉しくてつい「はねる」しちゃいます。そうです。何も起きません。嬉しいのは本当です!
それで、どんどん石…じゃなくて感想ぶつけてください。
マッドゴーレム戦も、アイアンドール戦も、最初の頃のラビット集団戦だって、我ながら上手く書けなくて悩んでいるので、ご意見聞きたいです。生産もそうですが…。
拙い文章ですが、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。 瀬戸内の魚より




