巻いていこう!
すいません、戦闘シーンとか、制裁のやり方とか、描写に悩んで遅くなりました。
さて、それでは…
実食!
いや、食べないけど。1発喰らわせはすると思うけど。
まだ賊はへたり込んでいるようだ。さっきエンチャントの効果が切れてから、周りのウルフたちの死体から血の匂いがキツくてたまらない。死体が残っているのは、賊がNPCだから、あいつ等が倒した魔物は自動でアイテム化しないからだと思う。それと、ウインドエンチャントは対象に害になる空気を弾く効果があるのかな?さっきまでは匂いが気にならなかったのは、そういう事だろう。
本格的に、プレイヤーとNPCの違いとか、各アビリティの効果を検証しないとだな。
《鑑定》さんはまだまだ伸びしろがあるだろうから、今はすべての情報を教えてくれているわけではないだろうし、自分でも調べないと、自分ができることを理解しきれていないと感じる。
取り敢えずはあいつ等だ。
気が抜けている奴も、必死で呼吸を整えている奴も、極限状態を生き残った事で安心したのか、笑みを浮かべている奴も、全員しっかり葬ってやる。
んー、でも、速くしないと、革のつくり方を教えてもらえなくなっちゃうかもしれないし。
今日のプレイはこの1時間でやめようと思っているのだ。今日の内に行けなくて明日ログインして行ったら、ゲーム内でとても長い時間が流れてしまう。
しょうがない、巻きで行こう。
賊は周囲を警戒する為か小さな円の形になって外向きで座っているので、また木の上に戻って真上に移動する。
…なんか木の上にいることに実家のような安心感を感じる。今サラッと戻るって言っちゃったし。リアルの本体は家にあるから常時実家にいるようなモンなんだけどね。
無駄な事言ってないで、さっさと殺ろ。
まずは各種バフ。各アビリティの熟練度が上がってきていて、身体強化なんてもう74だ。MPがあれば延々とかけ続けてるから、そう考えると妥当な値だと思うけど。
それでは、ご丁寧に固まってくれているので、真ん中にファイアピラーを放つ。
「ぎええ!?」
「ノブァッ!?」
「どおうあ!?」
バラエティに富んだ悲鳴をありがとう。
真っ先に狙うのは、“アレ”と似たデザインの短剣を持っていた俗にいうシーフっぽい役割と思われる1人。一番奇襲に備えてないといけない奴だろうしね。奇襲する側も一番に狙うってモンよ。
全員ファイアピラーで吹っ飛んでいるので、ソイツが地面に落ちるであろう場所に着地。強く肩を打ち付けて動きが止まった瞬間、保険として浸透波も使って頭を蹴り抜く。
ちゃんと意識は飛んだみたいだな。次は前衛をやってた奴。
両手剣を使っていた奴が起き上がろうとしていたので、駆け寄って膝で顎をカチあげる。そのまま隣にいた小楯と片手剣持ちにかかと落とし。我ながら格ゲーばりに速い動きだ。かかと落としなんて、リアルなら先ず足が上がりきらない。それに、蹴りの後につなげてとか、普通にコケる。
後の3人は流石に封殺できないか。まあ、半分削れたんだ。後はなんとかなる。いや、する。
賊共はもう1人の両手剣持ちを前に、魔法使い2人を後ろにして、こっちを見ている。
表情は一様に焦りと困惑で一杯だ。
まあ、出口だと思ったら出口じゃなくて、しまっちゃう○じさんが出てきたような状況だしそうなるよね。
悪い子はDON☆DON、しまっちゃおうねぇ~~?
なんか言おうとしてるけど、無視して突っ込む。
剣持ちはともかく、後衛は魔法使えよ。この状況で敵じゃないわけないだろ。
剣持ちの目の前に迫ったけど、まだ剣を振り上げようとしている段階だ。
映画の0○7を見て、つい中二心が疼いて調べた「握られたら痛くなるツボ」を握りしめて、全力で俺の太ももの方に引っ張る。
「うおっ!?」
はいはい寝とけー。狙い通り頭が下がってきたので膝を喰らわす。
「ギゃっ」
よし、泡吹いてるしもう大丈夫だろ。
「痛った!?」
ぬおお、ウインドボール喰らった。左の二の腕と胸がすごいジンジンする。テキトーにヒール掛けときゃ治る治る。《土魔法》から《水魔法》に替えて、ウォーターヒールを使う。
こっちの方が効果高そうだしね。
そのまま後衛…もう前衛がないから後衛もクソもないか。魔法使いに迫る。
もう片方はウォーターボールを使ってきた。さっきウインドボールを喰らっちゃったから、《魔力感知》にも意識を向けてたから事前に分かった。
そのままこっちに向けて撃ってきたので、試しに魔拳・闇を使って握りつぶしてみる。
うーん。痛いけど、そこまでではないな。無視できる範囲。構わず突貫。
2人とも腰が引けてるけど、まだ魔法を使おうとしている。よくある設定だけど、詠唱、つまりは魔法の名前を言わなければ魔法を発動できないので、喉をつかんで地面に押し倒して、ついでに魔透拳でウォーターボールを喉に発生させる。
白目を剥いてビクンビクンしだしたので、これでいいか。
無力化完了。
今回の制裁はお手軽な物にした。
武装解除は先に済ませておいた。魔法使いの杖以外はいらないから多分売ると思うけどね。
最初の街で、「何に使うん?」とか思いながらヒスイに買わせられたロープを使う。
取り敢えず、途中で起きても大丈夫なように襲撃の帰りに兵士さんたちがやっていたやり方の見よう見まねで後ろ手に縛ってみた。
本番はこれからである。
先ず、足を縛る。
それから、別の縄で腕が動かないように更に固定する。
魔法が発動できないように猿轡を噛ませるのも忘れない。
最後にキツくない程度の大きさの輪っかを首に掛けて、そのまま足を縛っているロープの間を通して出来上がり。
「起きろー?」
1人ずつ脇腹とか頭を蹴って起こす。
フゴフゴフガフガ五月蝿いが、無視して話し始める。
「えーとな?お前らの先輩?になあ、襲撃されたんだわ、俺。それでな、俺の知り合いも巻き込まれちゃったんだよ。それでちょーーーっとばかしムカついたので、お前らには死んでもらうから」
おや、まだ五月蝿い。
「おいおい、お前らが死にたくなさそうだったから、すぐには死なないようにしたんだぞ?頑張ってたら兵士さんが引き取りに来るかもしれないし。まあ、来るのはさっきお前らに仲間を殺されて激おこの狼さんたちかもしれないけどな」
おや、静かになった。
「んじゃ、俺は忙しいから。さっさと済ませるわ」
1人ずつ、足の間から伸びたロープをつかんで運ぶ。
また五月蝿くなったけど、今度は無視。適当な木の下まで来たら、ロープの先を木の幹の向こう側に投げて通す。それからそのロープがかかっているところまで登ってロープを持って、太い枝の真ん中辺りまで移動してから縛る。その時、頭が下になって、地面からの高さは2メートルくらいになるようにした。
上から声をかける。
「よーし、腹筋頑張れよー。生きてたら腹筋バキバキになって、街のお嬢さんに『キャーステキ!』って言ってもらえるかもな」
色々ともがいてるが、無視無視。次だ。
こんな感じで6人全員吊るしあげた。ついでにそのうち一人の服に、『トンネル ひさいしゃ しゅうげきはん』と切り傷を付けておいた。
これでアホなプレイヤーでも多分兵士さんに通報するだろ。してくれないと困る。
「それじゃあな~」
もう3時過ぎだ。さっさと帰って革の作り方を教えてもらわないとな。
吊るし方ですが、ああすると腹筋して頭を持ち上げないと首が絞まるようになってます。
上手く表現できてないと思います。分かりにくくてすいません。
次でお姉さんがまた出てきます。その予定です。また変に迷走することはないと思いますが、したらごめんなさいです。
あ、賊さんは多分狼にムシャムシャされました。NPCに『死に戻り』なんてありませんから、普通に死にました。
南無。




