下準備。
遅れてすみません。
あと制裁は次回になりました。
きちんと描写できるかな…?自信ないです。
ふむ。あいつ等をころころしちゃう前に、ウルフを倒す方が良いか。
残党については、1人も逃がす気はないので、邪魔は無い方が良い。
ウルフの数を減らそう。レアMOBの周りはウルフたちが多く、気付かれずに倒すことは不可能だ。しかし、増援の数も落ち着いた今なら、数が比較的少ない外側から削っていけばバレずに数を減らせるだろう。
ある程度数を減らして、サイレントロアーさえ奇襲で潰せれば、なんとかなる。と思う。
賊の残党は多少開けた場所で後衛の2人を守るように陣取っており、サイレントロアーは仲間の数が減った今、万が一にも自分の能力を悟られないように距離を取って護衛と思しきファイター4体に囲まれながら吠え続けている。その4体を含め、多数のウルフが残党の周りを旋回しながら、散発的な攻撃を繰り返している。
サイレントロアーの反対側から取り掛かるか。
理想としては、
①:残党に気付かれないようにウルフを全滅させるか、数を減らす。
②:戦闘が終わったと思わせ、残党が気を抜いたところで奇襲。
③:生死は問わず無力化。出来るだけ生かしておきたいけど。
④:O☆SHI☆O☆KIタイム。下衆は殺すべし。慈悲はない。
という流れで行きたい。
全滅させなくても、ウルフは余り頭が良くないので木の上に逃げてしまえば諦めて残党たちの方へと襲い掛かるだろうし、ある程度の数なら残党が処理してくれるだろうから、大丈夫だろう。
さて、始めますか。
まず《魔力感知》に集中して、ウルフたちが巡回している速さとルートを確認する。
特にサイレントロアー…もう長いからサイレンでいいや。サイレンのことは間違いのないようにチェック
しておく。
確認してみると、ウルフたちはほとんど同じスピードで巡回している。
つまり、特定の個体、もしくは集団のみを視認して移動しているヤツが多いのだ。
その他個体のからの認識が途切れている個体からササッととどめを刺していけば、死体はすぐに消えることを利用してバレずに行動できるだろう。
嗅覚は鋭いだろうが、ウルフレベルの嗅覚では「こっちの方に居る」という事が分かる位で、仲間が多少減っても分からないし、俺の匂いはウインド・エンチャントである程度誤魔化せるので、なんとかなるはずだ。
自分へのバフは全開で行く。特化は気刃化の方を選択した。さあ行くぞ、やれ行くぞ、そら行くぞ!
こっちに感づいたウルフェンアサシンが跳びかかってきたので横に躱し、そのまま頭を抱え込んで袈裟固めのような感じで口を押さえ込み、更に空いた手で指先が毛皮を貫いて手が血まみれになることにも構わず喉元を思いっきり握り潰す。横倒しの状態では振り払うことも立ち上がることもできず、そのままアサシンは光になった。今ので6体目。
数を減らすのは順調だ。残党もまだ持ちこたえている。プレイヤーとは違って、彼らは死んだら終わりなのだ。生き汚くもなる。
まあ、もう少しの命だが。
早く終わらせよう。頭を切り替えて、俺は次のウルフに向けて動き出した。
これで14体目。そろそろ数を減らすのも限界だ。
サイレンの犬笛の頻度が下がってきて、足を止めて辺りを警戒し始めたのだ。
そうやってスピードをずらすことで護衛の数を増やし、防衛体制を整えている。残党へのヒット&アウェイもその集団からのみ敢行されるようになったので、来る方向が分かったならなんとか生き残れるだろう。と残党は思っているらしい。
そうそう、生きていてくれよ?俺が殺すから。
サイレンを含めて、残ったのは
・サイレン
・ファイター×4
・アサシン×2
・ウルフェン×3
・ウルフ×4
の合計14体。これならまあ、いけるだろう。いずれ訪れるゴートカウとの決戦に備えて、少しでも対集団戦はこなしておきたいし。
奇襲はやっぱり頭上からだな。一旦木の上に戻ろう。
よっしゃ、殺るか。
バフを掛け直し、待つこと数分。俺がさっきまでいた所では、匂いを嗅ぎまわっているウルフたちの姿が。
いや、辺りをよく探しても真上に跳んだから匂いは続いてませんよ?
まあ、下に顔を伏せてくれているのでこちらもやりやすい。
キヨミズ!と言わんばかりに上から跳びかかる。
うん、アンブッシュは成功。顔を下に向けているサイレンの首に足の裏で着地した。
まだ死んでいないので、何が何だかわかっていない内に足をサイレンの首に回して、身体全体で頭を掴んで捻りあげる。
さっきの数を減らしている間に発見したが、多分ハードグラップは手で握る時だけでなく体を使って相手を絞め落とす時にも作用しているようだ。封殺が捗るので嬉しい効果だ。
2秒ほどで脊椎を捻じ切った感触が伝わってきて、光になった。
後は普通のウルフだけだ。もう逃げて残党に押し付けてもなんとかしてくれるだろうが、やはり多少は相手しておきたい。
残党と戦っているのはウルフェン×2とアサシン×1、ウルフ×2なので今は8体を相手しなければ。
我を取り戻したファイターが同時に前と右前から跳びかかって来る。高さ的に狙いは首だ。
流石にこの重さのMOBをつかんで振り回すのは難しいので、ラビを相手にした時のような戦法は使えない。ファイアウォールも森の中であることや、派手な魔法を使うと残党に「人間がいる」とバレてしまうことなどの理由で使えない。
なので右側の奴の腹の下に潜り込んで、肩を思いっきり腹にめりこませて、そのまま一回転して背中から地面にたたきつけられるように投げた。
正面の奴は放置。流石に2体同時に攻撃することはできない。もっとDEXがあればやってやれないことはないと思うが。
加減が分からなかったので思いっきり投げたのだが、どうやら勢いが強すぎたようでうつ伏せに倒れている。
さっき投げた時に骨を折った感触が有ったので、多分内臓へのダメージで着地も満足にできなかったのだろう。放っておいても死ぬと思うが、一応頭を蹴り抜いてとどめをさす。
次はどいつだ。
残り3体になって、ようやくウルフは逃げ始めた。職持ちは全部狩ったし、本気で逃げられたら追いつけないので放っておく。
残党は地面にへたり込んで休んでいる。
これで邪魔はいなくなった。
どうしてやろうかな…?
コウ君は《格闘》のアビリティによるバフで現時点でもかなり戦えてます。
コウ君は良くも悪くも「ゲームだ」と割り切っていて、更に自分の知り合いにとって害になる存在は排除するべきだと考えているので、ゲーム内で生き物(人間)を殺すことにも、エグい事をするのにも抵抗がありません。




