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Genesis Dogma Online  作者: カサゴ
26/39

殺すべし。慈悲はない。 

ドーモ、ドクシャ=サン。サカナです。

週1投稿を守ろうと、急いで書いたので短いかもです。

木の上は周りが葉っぱの緑ばかりで目に優しい…なんてことはなかった。

たまに葉っぱが途切れる場所があったりして、焦点が上手く合わなくなるのだ。すごく目が疲れる。

目的の方向は分かっているので、迷うことが無いのは救いだが。


自分が伝っていけるような幹を探して、時にジャンプで渡ったり、コケッコの卵らしき極小の魔力を避けたりして、10分ほど。

人の姿は見えないし、《魔力探知》にも人は引っかからないが、戦闘音が聞こえてきた。

かなりド派手にやっているようだ。

さっきから追加されているであろう戦力を考えると、おそらくもう形振り構っていられないのだろう。まあ、あれだけの増援が行っているということは、戦闘音は抑えるなんて考えていてももう無駄だろうが。

ウルフは戦闘音にひかれているではなく、その他に何か呼び水となっているものがあるのだろう。多分ロアーだ。俺には鳴き声なんて聞こえないが…。

仮に助けるにしても、難易度は高そうだな…。



現場に到着した。結構距離が近いので、今はウルフたちの視界に入らないように木の上の方に登っている。

魔力感知には、6人ほどのパーティーが1組、ウルフたちに囲まれているのが見えているのだが…。


「クッソぉ!こんなところで死んでたまるか!」

「うるせえ!黙って剣振れ!」


興奮しているのか、しきりに喚いている。

うーん。言ってる事は普通なのだが…。


なんというか、雰囲気が護送の時の"アレ"と似ているのだ。持っている装備でも、短剣はほとんど同じモノを持っていた気がする。

防具も、冒険者というよりも、賊というか…。


アレの仲間ならコロコロしてやりたい所だが、まだ確証が持てない。

とりあえずは、死なない様に増援を減らして、喚き続けている内に言質がとれないか待ってみる。待つだけってのもイヤだし。


そういえば、この距離でも鳴き声は聞こえない。でも、ウルフが呼び寄せられている範囲からしてロアーが居ないとおかしい筈だ。

木の上から、バレない様に注意して一匹づつ《鑑定》してみる。

一応、《魔力感知》でも調べてみるが。



なにか、おかしい奴がいる。たまに吠えているような動きをして、《魔力感知》によると咆哮して仲間を呼んでいるが、俺には鳴き声が聞こえないヤツがいるのだ。

今まで判別できていた他のロアーたちの鳴き声は普通に聞こえていたし、《咆哮》していたロアーと同じ魔力の動きを感じたのに、だ。

もっとも、そのロアーたちは真っ先に魔法で倒されていたが。

《鑑定》してみる。


 ウルフェンサイレントロアー(R)

咆哮:Lv.27

感覚強化:Lv.23

犬笛:Lv.18


名前からして能力が察せるが、この『犬笛』が問題だろう。犬笛は確か、犬には聞こえて、人間には聞こえない高周波を発生させる笛だったと思う。

それの効果で、人間から自分がロアーであることを隠せるのだろう。

ウルフ系もラビ系も、上位種との差異は視認できるが、職持ちとの差異は見ただけでは判別できない。

コイツの場合はその特徴が素晴らしく活きている。

混戦の最中に咆哮を聞かずにロアーを見つけるのは、《鑑定》や《魔力感知》がなければ無理だろうし。


名前の横のRは多分、レアMOBってことだろう。

というかゲームとしてはまだまだ序盤なのにこんなに意地が悪いMOBがウヨウヨしていてたまるか。

…レアMOBというなら、あいつだけでもぜひとも狩りたいところである。

「レア」が嫌いなゲーマーなんていません!




少し彼等から離れて、増援として近寄って来るウルフたちを個別に狩る。MPの消費は抑えられるように、できるだけ木の上へ戻る回数は減らそうと思ったのだが、魔力生成さんのお仕事が見事過ぎて、正直あまり節約の必要を感じない。

そろそろ更に上位のアビリティが来てもいいような気もするが…。

まあ、節約の必要がないので、その分こまめに下に降りてウルフを狩れた。せっかくMP作ってるのに、余らせるのもシャクだしね。


そうやって喚き声とか獣の唸り声をBGMにウルフを20体ほど狩った頃。

ちょっとハラ減ってきたな…。

満腹値を見ると、もう残り30を切っていた。

一応、森に入る前に97まで回復させておいたのだが…。

最近、満腹値の減りが速い気がする。トンネル作業中はそんなことなかったのだが。

取り敢えず小休止にしよう。木の上に戻って、ごはんだ。



木の上の方の、幹が二股に分かれているいい感じに腰かけられそうな所に座って、携帯食料と水を取り出す。

戦闘の状況は、まだまだ終わりが見えない。両手剣持ち2人、短剣持ち1人、斧持ち1人、杖持ち2人で、杖2人はロアーを倒してからは主にヒール系を使って、戦線維持に努めている。

正直、サイレントロアーの存在を知っている今、彼らはロアーを倒しても増援が途絶えない時点で戦線突破して逃げた方がまだワンチャンあったと思う。


ジリ貧という言葉がピッタリの状況だ。ヒールも若干追いつかなくなりはじめ、前衛も疲労を隠せなくなってきた。

ウルフの兵隊は畑から採れると言わんばかりに増援が来ていたため、数はあまり減っていない。

俺が数を減らしていなかったら、多分もう押し込まれていただろうが、まだ耐えられるといえば耐えられるだろう。

犬笛と咆哮の範囲内のウルフをあらかた呼び出してしまったのか、増援のペースが落ちてきたのも大きい。

さ、速く俺におせーて?

だれおま?



味気なく感じるようになった携帯食料を食べつつ眺めていると、不意にこんな言葉が耳に入った。

「チクショウ…。こんな…こと…ハァっ、ハァッ、なら、あ…んな、ヤバ、そうな、依頼、受けるのを止めるんだったぜ…」

「今更だろ。どうせ依頼を持ってこられた時点で、断ったら殺されてたさ。口封じにな」

「それでも、警備の薄い馬車を襲撃するだけって割には、オラァっ!支給された装備とかがしっかりし過ぎてたし、やっぱりおかしかったな…」

「今はこの場を切り抜けるのが先決だ!もっと派手に戦闘して、様子を見に来た奴にこのチクショウ共を擦り付ければ、まだ助かる!」

「おう、そうだな」


息も絶え絶えな奴、しゃべりながらも撃退している奴もいたが、おそらくこいつらは“アレ”の更に下っ端のようだ。


さあ-----------------





---------------------どうしてくれようか?

補足※

①センドの衛兵の鎧は顔を全て覆う兜が正式装備として配備されているので、中身は別人でも誤魔化せました。

②ウルフが咆哮する時は、魔力の殻のモフモフっとした部分がぶわっと毛を逆立てたみたいになります。咆哮時にMPを消費している(要するに武技扱い)ので、《魔力感知》でも認識することができます。


今回はこんなものでしょうか。

コウ君は率先して人を助けません。

トンネルの時は、「見捨てたら気分が悪そう」だったので救助に行きましたが、今回の賊の下っ端たちのように、冒険者として活動しているなら、ウルフを引き寄せないように戦えなかった時点で自己責任だと割り切っているので、助けようとはあまり思っていません。

まあ、身バレしたのでこれから彼らの処刑タイムが確定しましたけど。

南無。

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