初生産。
遅れまして、本当に申し訳ない。
結局革のお姉さんまで行けなかったですし…。
ダメですね。生産の話が書きたくて始めたのに、設定あんまり考えて無かったことに気付いて、できるだけ今後も話が広げられるように考えてたらこんな時間に…。
後、自分で読み返してみて、他の作品と比べて凄く文字が詰まってて、読み辛いなあと感じたので、できるだけ文を区切ってみました。
逆に読み辛くなってたらゴメンナサイ。
ドクさんに連れられて、店の奥に向かう。
お店のカウンターの向こう側なんて、入ったことないから緊張するな。
第一印象は、何て言うかジャングルだった。
上から緑色のカーテンが掛かっているかのように、薬草が吊るされている。
なんというか、昔のゲームでマップが映らなくなってリアルに3時間迷うような鬼畜迷路の入り口みたいで、入りたくない。というか、ミントくさい。ドクさんの姿はすでに見えず、「こっちじゃ、こっち」という声しか聞こえない。ええい、行くしかない!
勇気を出してかき分けながら進む。20秒ほど進むと、今度は薬草よりも青っぽくて細長い草が吊るされていた。《鑑定》すると、これが魔薬草らしい。
「ほれ、こっちじゃ」
見通しが悪い中を、ドクさんの声を頼りに進む。
ズボッとジャングルを抜けると、壁に沿ってそれらしい設備が並んでいる。
まずは左端に大釜。下に七輪のようにスペースがあって、赤い石っぽいものが円形に並んでいる。
その右には、台所というよりは、アイランドキッチンの島部分を壁に埋め込んだようなもの。
広めにとられた作業場らしき平面な部分と、ガスコンロのようなものが3つ並んだ部分、側面には様々な大きさの棚が備えられており、おそらくはその中に薬草と魔薬草以外の細かい素材や、道具が入っているのだろう。
向かって右側には様々な容器が収められた戸棚がある。中には店の商品棚に入りきらなかったであろうものや、さっきの状態異常回復薬もあった。その右端に冷蔵庫のようなものがあって、かすかに冷気が伝わってくる。
向かって左側の壁には通路があって、おそらくそこがドクさんの住んでいる家にあたる場所だろうな。
「まずは、ポーションのつくり方を教えてやろうかの。一通りやってみせるから見てなさい」
そう言って、引き出しから横から見ると「A」みたいな形の三脚みたいなもの、途中が膨らんでいるビーカーっぽいもの、金網、普段店頭に並んでいるポーションが入っている瓶、乳鉢とすり潰す用の棒、4つの赤い石を出して、机の上に並べる。最後に、ポケットから薬草を出して乳鉢へ入れ、大釜の中身の液体をお玉の半分ほど入れる。
そうしたら、棒ですり潰し始める。その間にちょくちょく手を放して、三脚っぽいものの下の平面に赤い石を並べて、上の面にはビーカーを置く。料理上手の調理シーンを見ているようだ。動きに無駄も焦りもためらいもない。
2分位すり潰すと、某ラーメン屋のあっさりとこってりの真ん中位のとろっとした液体が出来上がった。
それを瓶に移して、大釜の中身をお玉に3杯分足す。よくかき混ぜたら、三脚っぽいものにセットする。
やはりというか、赤い石は熱源のようだ。そこまで高火力ではないようだが。そして5分ほどじっくりコトコト煮込んだら、一瞬瓶がピカッと光った。
「ほれ、こんなもんじゃ。」
手渡されたので、鑑定してみる。
ポーション 消費アイテム
HPを50回復する薬。《調合》スキルによって作られる全ての薬の中で最も簡単な物。
HPの回復量は素材の状態、製作者のDEX、生産者の技量、魔力含有量などによって決まる。
使用のクールタイムは30秒。
経口で摂取しないと十全な効果を発揮しない。体表面からの摂取では8割ほどの効果しか期待できない。
うーん。流石というしかない。普通の店では良品でも40、粗悪品では25ほどしか回復しないのだ。やっぱりドクさんは凄い人だな。
「いいか?ワシだって最初は一般的なポーションさえ作れなかったんじゃ。地道な作業を続ければ、いつかはこれくらいは作れるようになると思うがの、すぐには諦めるんじゃないぞ」
「はい!」
俺からしたら、見ただけでも結構楽しそうだな。早くやってみたい。
「それじゃあ、スキルを取るんじゃ。スキル《調合》じゃぞ?間違えるなよ?」
「分かりました」
『スキル《調合》を取得しました!』
選択中スキル
《水魔法》Lv.14→16《風魔法》Lv.14→16《闇魔法》Lv.15→16《魔力促進》Lv.28《格闘》Lv.20→24《魔力感知》Lv.12→16《錬金術》Lv.10→10《鑑定》Lv.21→24《魔力調節》Lv.14《調合》Lv.1
控え:《土魔法》Lv.18→20《火魔法》Lv.23→24《光魔法》Lv.14→16
スキルポイント:23
流石に間違えることはなく、スキル《調合》を取得した。必要なスキルポイントは7だったので、これで残りスキルポイントは23だ。
「取得したな?それでは、説明していくぞ。この赤い石は魔石というものじゃ。それぞれの属性によって効果は違うが、どれも使用する時は自動で使用者のMPを吸収して効果を発揮するぞ。」
ふむふむ。コンロの代わりかな?
「もう気付いておると思うが、火の魔石は熱を発する。そして、それぞれ水は水を生み出し、土は土を生み出し、風は風を生み出し、光は光を発し、闇は周囲を暗くする。魔石は魔法が使えなくてもMPさえあれば誰でも使えるから、ワシ等庶民も使う機会は多いぞ。特に火と水の魔石は使うことが多いな」
まあ、ガスコンロと水道と照明の替わりになるってことだもんな。そりゃ使うわ。
「魔石は基本的に道具屋で買えるぞ。この世界には『魔地』と呼ばれる魔力が濃い場所があっての。そこに埋まっていることが多いんじゃが、そこにいる魔物は強力な魔法を使う替わりに魔石をドロップすることがあるぞ。他にも、魔法を使える魔物は落とすことがあるようじゃな。このあたりにいるラビットマジシャンも風の魔石を落とすはずじゃ。ま、確率は低いようじゃがの」
そんな場所があるのか。行ってみたいな。なんか、こう、紫色で巨大化した植物とかありそうだけど。
「ポーションなどの薬品は基本的に熱したり、成分を足したりしてその効果を発揮させるんじゃ。あの大釜の中身は魔力水と言って、魔力が溶け込んだ水じゃ。魔石を水に沈めて、一定時間保存しておけば自然と出来上がる。これを溶媒として使った方が、一般的に良質な薬が出来上がると言われておるぞ」
多分、魔力浸透でも作れるんじゃないかな?コストカットできそうだ。
「ここだけの話じゃが、その時の魔石の属性でもかなり効果が違うからの。覚えておくといい」
まあ、塩コショウの濃さ的なもんか?研究の幅が広がりんぐだ。
「作業自体は簡単。すり潰して、水に溶かして、熱するだけじゃ。さっきやった風にの。しかし、それだけの作業でも《調合》のレベルが低ければまず成功せんし、出来上がっても効果は非常に低い。よくて20回復するかどうかといったところか」
やはり、最初はどうあがいても難しそうね…。ま、気長にやりますか。
「そうそう、MPポーションも同じ手順で作ることができるが、こちらは魔力水を使わなければ魔薬草を使ってもMPポーションにならず、失敗扱いとなるから注意することじゃ」
俺は手軽に魔力水を作れそうだから最初から魔力水で行こうと思っているけど、一応忘れないようにしよう。○ックマンエグゼみたいに、上位互換のチップになれたら2週目で下位互換のチップの使い方が分からなくなるみたいなのはカッコ悪いし。
「まぁ、こんなもんじゃの。とりあえず、この道具で作ってみなさい。材料代はいらんぞ?サーズから戻ってきたが、薬草が乾きすぎてだめになりそうじゃからの。そうじゃの…10回ほど作ってみなさい、その間に、できるだけコツも教えてやろう」
「それじゃあ、遠慮なく。指導お願いします!」
取り敢えず、やってみよう。
結果。
「ほれ、落ち込むでない。最初はこんなもんじゃと言ったろう?」
2時間ほどかけて、10回中9連敗。最後は完成したと思ったら10しか回復しなかった。これは酷い。
「前もって言われてましたけど、実際にここまでうまくいかないと凹みますねぇ…」
一応水と火のエンチャントをかけて作業したのだが…。最初はすり潰すのにもかなり手間取ったし、それでもあまりきれいにすり潰せなかったから、失敗しても仕方ないとは思った。しかし、ミスらしいミスのなかった7回目でも失敗扱いだったのは流石にキツかった。
「まあまあ。ほれ、お主のステータスを見てみい。そうじゃな…《調合》のレベルが5を超えれば、品質はともかく、失敗はほとんどしなくなる。そして、10を超えれば品質も一般的な物と並ぶじゃろうて。後は、研究が物をいう世界じゃ」
スキルを確認すると、《調合》のレベルが4になっていた。
「MPポーションの方はレベル10で失敗がほとんどなくなって、レベル15で品質が安定するはずじゃ。先は長いが、一回それを超えれば後は失敗することもあるまいて。選別に、薬草と魔薬草を100個ずつやろう。これを使い切るころには、どちらも安定して作れるようになるじゃろ」
これはありがたい。それと、明確に数値目標を示してくれているのが分かりやすくて、やる気が出る。
「いいか?あまり根を詰めてやっていると、どんどん集中力が無くなってしまうから、焦るなよ?無理をして失敗作を量産するよりも、休みながらちゃんとしたポーションを作る方がレベルも早く上がるからの」
あんまり無理をする気はない。自分で使う分しか作る予定は無いし、材料だって自分で集めるつもりだからだ。
「今日はこの辺にしておきなさい。もうそろそろ宿を取った方が良いかもしれん時間じゃしの。そうじゃ、まだお主はホームを持っておらんじゃろ?そういう時は、『製作所』へ行くといい。生産設備や場所をレンタルできる場所じゃ。どれ…これをやろう」
そう言って引き出しから広告位の大きさの紙を、出して、何か書きこんでいく。
「略地図じゃ。これで分かると思うが、分からんかったらギルドで聞くといい。ギルドからも近いしの」
ほほう、一応の生産拠点があるのか。ていうか、この紙ほんとに広告の裏だな。センドの駅ビルにこの店があったはず。
片づけを手伝って、店先まで戻る。
「今日はありがとうございました。頑張ります!」
「ん。頑張れよ。《調合》のレベルが16程になったら、また来なさい。新しいレシピを教えよう」
「それじゃあ、またすぐ来れるように、頑張りますね」
「待っとるぞ~」
後は、革職人さんの店だったか。こっちも教えてもらえるかな?いい加減ラビの皮を使いたい…。
そんなに強いなら、ドクさんが盗賊を制圧すればよかったんじゃないかって?
い、いやあ、ドクさんの戦い方は派手な魔法系なんで、人質を取られたら対処できないと思って動かなかったんですよ(震え声)




