キャラクターメイク。
なかなかゲームまでいけない。
いつものように目を覚ます。
今日は待ちに待ったGDOの正式サービス開始日だ。
サービス開始は今日の午前10時から。
平日の中途半端な時間だが、社会人なら有給をとって遊ぶ人もいるだろう。
しかし学生には有給なんてもんはなく。
「だぁぁぁぁっいそげぇぇぇ」
こういうMMOのサービス開始時のログイン戦争に参加できないとそれだけで焦る。
これが半年前からサービスしていたら不思議と後発組になっても焦らないものなのだが。
閑話休題。
急いでVRギアを装着して、
電源をつけて、あっコード刺し忘れた
電源コードを刺して、
ベッドに転がって、
いざログイン!
身体の『芯』が抜けていくような感覚。
目を開くと自分が真っ白い部屋の中に立っていて、傍らには緑髪のメカっぽい女の子がいた。ペル〇ナ3のア〇ギスちゃんみたいな感じだ。
その子が口を開く。
「本日は“Genesis Dogma Online”をご利用いただきありがとうございます。今回は初めてのログインとなりますので、ゲーム内であなたが使用するキャラクターを作って頂きます。質問がありましたらお聞きください」
メカっぽいけどかわいい感じの声で言い終わると、目の前に2つウインドウが現れた。
上のウインドウには横線がたくさん入っていて、右上にはLv:1とある。下のウインドウには、
『キャラクターネームを入力してください』
というメッセージと、キーボードのような表示。決めてあった名前を入力しようとして手を伸ばすと、指先があるのはわかるのに、目には見えないようになっている。身体を見下ろしてみると、身体全体が同じ状態らしい。ヘンな感覚だ。
改めて名前を入力する。メッセージが変わった。
『“コウ”でよろしいですか?』
なんとなく実名は避けたかったので、読みを変えてみた。『YES』を選ぶと、またメッセージが変わる。
『種族を決めてください』
上のウインドウを見ると、一番上の左側に[Name:コウ]という表示。どうやら徐々に埋まっていく方式のようだ。
さて、種族?そういえば急遽プレイできることが決まったため、予備知識が全くない。できないゲームの攻略情報を見ても悔しくなるだけなのでみようとしなかったし、昨日はテンションがトランクどころかVRギアひとつだけでロマン飛行へ in the sky していたのでWikiさえチェックしていないのだ。メカ子(仮称)に「種族ってなんですか?」と聞いてみる。
「種族には人族、獣人族、妖精族、森人族、山人族、聖人族、魔人族の7種があります。それぞれ成長後の各ステータスの伸び率や各属性魔法に対する適正などが異なります。各種族について説明しますか?」
とりあえず。「人族について教えて下さい」
「人族は名前の通り現実の人間と同じ姿をしています。各ステータスの伸び方や各属性魔法に対する適正は平均的で、どのようなプレイも楽しむことができます。他の種族について説明しますか?」
ほほう。
「いえ、いいです。ありがとうございました。」どうせならいろんなことをやってみたい。
ウインドウの“人族”を選ぶと、さっきの確認と同じものが出たので、『YES』を選ぶ。
『初期スキルを10個選んでください。』
おおっ、結構大事そうなやつがきた。
どうせ現実では使えないんだし、魔法は全属性取ろう。《火魔法》《水魔法》《風魔法》《土魔法》《光魔法》《闇魔法》を選んだ。
そうだ、これだけ魔法を使おうと思ったら結構MPがいるだろう。スキル一覧のスキルの説明文を流し読んでいく。
ん?
“魔力調節”
『魔法の威力などを犠牲にしてMP消費を抑える。逆に、MPを普通より多く込めることで魔法の威力を上げることができる。』
これ便利そうだな。取っておこう。《魔力調節》を選ぶ。
MPを増やすスキルは《MP増加》と《魔力促進》があった。んー、《魔力促進》のほうが字面がかっこいいな。《魔力促進》を選ぶ。説明文なんてなかった。
近接は…武器なんて持ったことないし、スポーツも中の下位だし、武器を持っても大して役に立たないだろうな。なら武器を持っていてももったいないだけだろう。というわけで《格闘》を取得。あと一つだ。
予備知識がないからいろいろと対象の情報を得られるスキルがほしいな。一覧の説明文を流し読む。お、これかな?《鑑定》を選ぶ。
新しいウインドウが出た。
『《火魔法》《水魔法》《風魔法》《土魔法》《光魔法》《闇魔法》《魔力調節》《魔力促進》《格闘》《鑑定》でよろしいですか?』
うん、我ながら何がしたいのかわからないスキル構成だ。でも早くプレイしたいので悩まず『YES』を選ぶ。順調に上のウインドウの情報が増えているようだ。
『ステータスを調整してください』
その下には
HP:100 MP:50
ATK:20/40 DEF:20/40
MAT:20/40 MDF:20/40
SPD:20/40 DEX:20/40
重量値:6/24 ステータスポイント:60
という表示。
多分各ステータスの左の値が現在のそのステータスの値だろう。右側の値と重量値についてはよくわからない。メカ子に聞くと、
「右側の値は現在のレベルでのステータスの限界値です。主にレベルの上昇によって上がっていきますが、種族によって傾向が違います。重量値については、左側の値が現在装備している装備品の総重量で、右側の値はステータスのATKとDEFの平均値にDEXの1/4を加算して、小数切り捨てしたもので、こちらは重量値限界です。この値以上には装備できません」とのこと。
「有難うございます」
お礼を返して考える。
カスタム〇ボでもリトルスプリンターにフォーミュラレッグが基本だったし、紙装甲でいいや。その分SPDに振ろう。火力は大事だからATKとMATは上げておく。第二次スパ〇ボZではパイロットポイントは技量に振りまくって再攻撃先輩にお世話になったのでDEXも上げようか。
こうなった。
HP:100 MP:50
ATK:40/40 DEF:20/40
MAT:30/40 MDF:20/40
SPD:40/40 DEX:30/40
重量値:6/37 ステータスポイント:0
これでいいか。なんか「獣人族にすれば?」という声が聞こえる気がするが、スルー。確認が出たので『YES』を選ぶ。
『キャラクターの外見を選んでください』
うお、自分の身体だ。人の視点で見るのはなんだか新鮮だなぁ。ヘンに体格をいじると感覚が狂いそうだし、体格は変えなくていいや。顔も自分の顔じゃなかったら違和感ありそうだし同様にスルー。髪の毛も日本人顔に黒髪以外はかなりおかしいのでそのまま。
結局全部ノータッチである。あ、俺は断じてロリコンではないので勘違いしないように!
『決定』を選ぶ。
『以上でキャラクター製作を終了しますか?』
ヒャァもう我慢できねぇ!とばかりに即『YES』を押す。
「おつかれさまでした。それでは“コウ”さん、冒険を楽しんできてください」
メカ子の言葉が終わると、白い部屋が一気に真っ暗になり、結構ビビる。
何も見えないままにきょろきょろしていると、ディ〇ニーランドのタワー・オブ・〇ラーみたいに一気に視界が開けてまぶしくなった。
そこには――――――