トンネル作業の終わり。
ちょっと短め。
1.許してニャン
2.許してちょんまげ
3.許してヒヤシンス
どれなら許してもらえますか?
「コウさん、コウさん」
…眠い。
「後5分…」
「それはもう3回目ですよ。朝ごはん冷めちゃいますから、早く起きてください」
「ううーん。。。。ふあぁ、ギーふさん、おはようでふ」
「はい、おはようございます。皆さんもう朝ごはん食べてますよ。掛け布団はこちらで片づけるので、テーブルへどうぞ」
「あいがとうござまふー」
朝飯ぃー。なんだぁ?
「おう、コウ。起きたな。さっさとメシ食えよ」
「あいぃ」
パンと、何かスープ。一口食べる。うまい。
「うーん、これ、半分どころか8割まだ寝てるよね」
「どうやらログアウトせずに眠ったらしいからな。一体何時までやってたんだコイツは…」
「まぁ、メシ食い終わるまではほっといてやりなよ。ウトウトしてる時間ってなんか、いいでしょ?」
「そうだねぇー。まあ、食べ終わってもこんなだったらさすがに起こそうか」
「それにしても、リラッ○マより溶けてるぞ、コイツ」
「ぼうぎょがぐーんとあがりそうですね」
うーん、今日も元気だメシが美味い。
はっ!?
「あ、おはようございます」
いつの間にか朝ごはん食ってた。あいさつしとかなきゃ。
「おう、おはようさん(おい、一瞬で顔がいつも通りになったぞ)」
「おはよー(今のは凄かったねぇ。正直吹き出しそう)」
「お、おはようございます(こういう時アミカはいいですね。いつも笑ってますから。僕は我慢できそうにないです)ププッ」
「(私だってかなり危ないよ?)」
なんか向こうでこそこそ話してる。ちょっと仲間はずれって感じで寂しい。フエンさんが軽く吹き出すくらい面白いことってなんだろう?
「ゲフンゲフン。コウ、昨日はいつまで作業してたんだ?」
いつまでやってたっけ?欲望の限りを尽くしたから気にしてなかったな。
「欲望の限りを尽くしたから気にしてなかったです」
「はあ!?お前なにやってたんだよ!」
「あれ?僕なんか今言いました?」
「言ったよ!すごいヤバいこと言ったよ!」
なんかすごい誤解されてるみたいだし、昨日あったこと説明しとくか。速く食べ終わらないと待たせちゃうし、手短に。
「昨日は、ゴ○ドフィンガーして、埋まる君して、突き指して、新しいスキル取って、クレイウォール使いまくって、寝ました」
「だからお前の説明下手くそ過ぎんだろぉ!一からちゃんと説明しろや!」
仕方がないので、スープにパンを浸してもしゃもしゃしながら説明する。
「とまあ、こんな感じですね。これが現物です」
『アイテム』画面からイルギア鉱石を取り出して、テーブルの上に置く。
「そんなモンが埋まってたのか。確かに壊しちまうのはもったいないな。けど、その場の勢いでスキル取るなよ?あとで困るぞ」
「実体験ですか?」
「グッ。そうだよ。《料理》担当どうしようかな、マジで」
「まあ、こんなわけで今日は僕はクレイウォールだけで行きます。今日で遭難者の人達も助けられそうですし、張り切っていきましょう!」
よし、誤魔化せたかな?
結局誤魔化せてなくて、フエンさんに結構怒られた。
たまに飛んでくるニックさんの援護が精神的にとても痛かった。
心配してくれてるのは分かっているのでおとなしく聞いておく。
だが反省はしているが後悔はしていない。
というわけで、今日はランスが使われる回数が少ない分静かな作業だった。いや、一発でも十分うるさいんだけどね。
そして昼ご飯を食べてからは、もうすぐ作業が終わるってことで、ジーグさんとギースさん以外にも俺が入口で話したセンドのギルドの相談窓口のオッチャンの甥とか、他にも全部で20人くらいの兵士の人がついてきた。正直狭いのでもう少し距離を取ってほしかったが、遭難者の中に身内がいる人もいるらしいので、黙って作業した。
そして――――――
「うお!?」
クレイウォールを消すと、少しだけ向こう側が見える。
「!向こう側が見えます!開通しましたよ!」
向こう側からも声が聞こえるが、ほとんどこちら側の兵士さんの歓声に遮られて聞こえない。
レイさんたちや兵士さんも手伝って、急いで壁を取っ払う。
そのおかげか、1分もしないうちに人1人くらいは通れる穴が開いた。兵士さんはそこから中に突入して、俺とレイさんのパーティーは穴を広げる作業を続ける。人は通れても、衰弱した人を運ぶにはまだまだ狭いのだ。
穴を縦横2メートル位に広げると、奥から担架に乗せられて次々とおじいさんとか、女の子とかが運び出されてきた。彼らはそれぞれ詰所に運ばれて、街への護送の準備ができるまで体力を回復させて、準備ができ次第街へと帰るようだ。
サーズ側のトンネルの復旧はもっと長い時間がかかるそうで、依頼は街まで遭難者を護送するところまでらしい。
サーズ側はセンドの領主がきちんとした復旧工事をするそうで、俺たちがとりあえず切り開いたトンネルもその時に改めて舗装するらしい。
ひとまず、全員助かったようだ。死傷者はおらず、精神的にまいっている人も少し外を覗いたら気分がだいぶ軽くなったみたいで、今はギースさんとシチューとか、ジーグさんのスープとか、温かいものを食べている。
俺たちの出番、つまり街への護送は明日の朝になる予定だ。
レイさんたちと一緒に、その時間まではログアウトして休むことになった。
こういう時ってボスが出てくるもんだと思うけど、街の人たちは絶対に守り切る。
後味が悪いラノベって、いくら面白くても、胸が辛くて続きを読めないんだよね。
全ては明日、である。
ヒスイさんの生態
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ゲーム内の朝。
ヒスイの泊まっている部屋にて。
ヒスイさんはベッドで静かに眠っています。
「ハッ!?」
掛け布団をはねのけて、跳び起きるヒスイさん。一体どうしたのでしょう。
「今どこかで男が新妻感を出して男を甲斐甲斐しく起こしている気がする!」
はい、腐っているだけでしたね。
次は、思いっきりコウ君がフラグを立ててくれたので、ボス戦になると思います。
これからどうしようかしらかしら。(影絵の紙芝居風)




