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アンノウン(UNKNOWN)  作者: ニート主夫
第3章

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エピローグ 夜明けの終止符

端末が破壊されると、部屋には再び静寂が戻った。


だが、それは絶望的な静けさとは違う。

嵐が去った後の清々しい静寂だった。


空気は澄み、張り詰めていた緊張が解け、呼吸が楽になる。


ソファの陰から、佐藤の娘がそっと顔を出す。

頬には涙の跡が残っているが、その瞳からは怯えが消えていた。


代わりに宿っていたのは、目の前の不思議な救世主を見つめる光。


母は娘の肩を抱き寄せ、震える手で髪を撫でながら、ようやく安堵の涙を流した。

和也は深く息を吐き、演技を続けていた緊張を解いた。


リョウは大きく息を吐き、少し熱を帯びるのを感じた。

だが、それは痛みではなく、心地よい「生きている証」だった。


へたり込んでいる実行役の三人に視線を向ける。

彼らの顔には恐怖ではなく、解放の色が浮かんでいた。


「さて。約束通り警察を呼ぼう。お前らは“自首”扱いだ。リストの出どころ、脅された内容、全部洗いざらい吐けば、情状酌量の余地はある」


中年男《D》が深々と頭を下げ、あとの二人も涙を流して頷いた。

彼らもまた、戻れない道を転がり落ちる恐怖から解放されたのだ。


遠くから、サイレンの音が近づいてくる。


最初はかすかな重低音だったが、次第に胸に響き、窓ガラスを微かに震わせる。

それは無力な事後処理の合図ではなく、ようやく訪れた“解決”へのファンファーレだった。


リョウはカーテンを少し開け、東の空が白み始めているのを確認する。

夜の青と朝の橙が混じり合い、再生の色を描いていた。


「さてと……。久々に、記事でも書くかな」


元記者・葉山はやま りょう

その目には再び、決して消えない火が灯っていた。

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