第1章 春の朝、はじまりの日
初めましてユイです!読んでくださってありがとうございます!
このお話は、ちょっとすれ違ってしまった姉妹の、静かで優しい日常と、気づきの物語です。
きっと、誰かの思い出と少しだけ重なるような、そんなお話になっていたら嬉しいです!
最後まで読んでいただけたら幸いですのでよろしくお願いします!
ピピピピ……ピピピピ……
本日2度目のアラームを消し、私は上半身をゆっくり起こした。
6時半。月曜日。4月6日。入学式。
「……起きなきゃいけない日だったよね、今日は」
そう5回くらい頭の中で確認して、スマホの画面を消す。
ベッドの端に座って伸びをした。
カーテンを開けると、朝の光が真っすぐ差し込んできて、私は思わず目を細めた。
スリッパを履いて部屋を出て、階段を降りる。
リビングのテーブルには、朝食が4人分、すでに並んでいた。
キッチンではお母さんが洗い物中。まだ誰も席にはついていない。
「おはよー」
右手を胸の高さで軽く振る。
「おはよう、シズ」
お母さんの声が返ってきた。
「お姉ちゃんまだ?」
いつもなら私より早く起きてるのに、珍しい。
「まだみたい。起こしてきてくれる?」
「え〜……わかった……」
少し顔をしかめながら返事をして、ミっちゃんの部屋へ向かった。
⸻
ミっちゃんは1つ上の高校2年生。
おとなしくて、真面目。家では静かだけど、
なんだかんだ面倒見がよくて、頼りになる。……たぶん。
でも、寝起きは最悪。
過去、彼女を起こして成功した試しがほとんどない。
あれは……思い出に分類していいのかも。微妙なやつ。
コンコン、と軽くノックをする。返事はない。
ノブをひねると鍵はかかっていなかった。
中はすでに朝の光で明るい。カーテンが半分開けられている。
ベッドに向かうと、長い髪が布団の中から見えた。
壁側を向いて寝ているせいで、顔は見えない。
「お姉ちゃん……朝だよ」
そっと呼びかける。
布団がもぞもぞと動く。
「……今日、学校ない」
こっちを向かずに返ってきた声は、ちょっと怒ってるっぽい。
あっ、今日ってミっちゃんは始業式じゃなかったっけ……
心臓が跳ねる。間違えた、やばい。
「ごめん……」
私は逃げるようにリビングへ戻った。
⸻
リビングに戻ると、お父さんがすでに朝食に手をつけていた。
お母さんは私のご飯をよそってくれている。
「お姉ちゃん、まだ寝てた」
そう言うと、お母さんはふっと溜息をついてから、
そのままミっちゃんの部屋へ向かった。
「シズも早く食べなさい」
お父さんが言う。
「はーい……」
私も自分の味噌汁をよそい、ご飯の器を取って席に着く。
静かな朝。
テレビの音だけが流れている。
⸻
お母さんとミっちゃんが戻ってきたのは、食事も終わりかけた頃だった。
ミっちゃんは目をこすりながら、ぼーっとした顔で入ってくる。
その姿を見ると、なぜか少しホッとした。
「お姉ちゃん、おはよ……」
声をかけると、
「ん……おはよ」
怒ってる感じじゃない。よかった。
対角の席に座ったミっちゃんにお母さんがご飯を渡す。
「いただきます」
ぺこりと頭を下げる姿は、いつもきちんとしてる。
ミっちゃんってA型っぽいんだよなぁ……とか考えていたら、
お母さんが私の頬を指差してきた。
え? と思って鏡の反射を見ると、口元にご飯粒が。
すぐ指でつまんで食べると、お母さんがグッドサインを送ってくる。
私も無言でそれを返した。
ふとミっちゃんを見た。
目が合うと、ミっちゃんも小さく、グッドサインを返してくれた。
……なに、それ。
ちょっとだけ、くすっと笑いそうになった。
⸻
ご飯を食べ終え、私は洗面所に向かった。
鏡の前で髪を整えながら、制服の襟を直す。
「あ〜……また右側だけ跳ねてる……」
くしで押さえても、なかなか言うことを聞いてくれない。
なんで朝の髪ってこうも反抗期なのか。
「あーもう……」
ボヤいていると、後ろからふわりと気配がした。
ミっちゃんだった。
無言で近づいてきて、私の手からくしを取る。
「……ちょっと、貸して」
なにが“ちょっと”なのか分からないけど、
ミっちゃんはいつものように、静かに髪を梳かし始めた。
右側、左側、前髪、後ろ──
手つきが慣れていて、あっという間に寝癖が直っていく。
「……これで大丈夫」
そう言って、くしを戻してくれた。
私は鏡に映る自分の髪を見て、小さくうなずいた。
「……ありがとう」
ミっちゃんは、何も言わずにそのままリビングへ戻っていった。
ほんの一瞬のこと。
でも、たぶんこれも──いつもの、ミっちゃん。
どうもユイです!
アラサーにして初めて小説を完成させることが出来ました!(色々事情があり、かける時間が無く泣く)
初めての完結した小説で本人曰く、「明日仕事かぁ……、でも!今は熱い鉄だ!」ということで書き終えることが出来ました!
正直いうと今流行り(?)のchatなんちゃらに助けてもらいました!
中学からの夢だったので、アラサーになって夢を叶えることが出来たのは時代の進化と言って間違いないでしょう!
長くなりましたが、全部で6章とやや短めになりますが、たくさんの人に感想、評価等貰えたらなんでも嬉しいです!!(批評カモン!)
これからも数十年眠って夢を見た世界を届けて誰かの人生の糧になれたら、、、
なんてね。