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3話前編

 階段を降り、終え新たなフロアに着くと前と同じように、階段はすぅーと消えた。ゴブゾは、それに驚いた。

「マスター。か、階段が!!」

「あー消えたねぇ」

 冷静な俺を見てゴブゾは、「えっ。リアクション薄い。」と聞こえるかギリギリの声で言っていたがスルーことにした。

 洞窟の先から光が漏れだしている。熱源感知や魔力感知には、何も引っ掛からない。とりあえず、まわりには敵はいないらしい。

「マスター。早く行きましょうよ!」

「わかったよ。」

 ゴブゾは、フロアの出口付近までもう行っていた。わくわくが止まらない子供のように、はしゃぐゴブゾを見ていると心が暖かい。

 なんだろうこの気持ち。やたら心が暖かい。子供がいたらこんな暖かい気持ちになるのだろうか。ゴブゾは子供には、見えんな。いい大人が趣味に熱中し、子供に戻っているようにしか見えん。

「マスター。明るいですよ!。広いですねぇ!。マスター、この緑は、何ですか!。」

 フロアからでるとゴブゾは、興奮が抑えきれないらしく。あちらこちらに興味を持って探索する。全てが新鮮なんだろ。本当にデカイ子供だ。

 俺もフロアを出るとこの世界で初めての日の光を全身に受けた。そして、柔らかい地面。土の感触。やっと外に出れたのか。迷宮を踏破したのか。

 見渡すと草木が生い茂る草原だった。

 自然と深呼吸をするが空気が吸えない。そもそも呼吸をしていない。肺すら無いんだし当たり前か。俺、スケルトンだったわ。

 ふっと俺は、空を見上げる。

 空なんてなかった。

 普通ならありもしない土の天井があった。そして、明るい原因は、太陽に燃えている石のせいだった。その石は、遥か上空で浮いている。・・・あ、なるほど。まだ、迷宮なのか。

 俺は、そう結論付けた。

「マスター。どうしたんですか?」

「んー。何でもない。それじゃー。この階層の攻略するぞ!」

「わ、わかりました」

 俺たちは探索を開始した。適当に歩いていると十メートルぐらい離れた位置にいる、額から一本角が生えた可愛らしい白い兎を見つけた。

 兎は、可愛らしくちょこんと座っている。こちらを警戒しているのだろかこっちをじっと見つめている。すると一瞬にして居なくなった。

 すでに俺の足元まで来ており、角を利用した頭突きを真下からしてくる。その頭突きをギリギリで避けたが顎を少し削った。

 ゴブゾは慌てて太刀を抜き戦闘体勢に俺も盾と剣を構え戦闘体勢にはいる。

 弾丸のように速い兎。しかも、最悪なことに熱源感知、魔力感知は、全く反応がない。

 ゴブゾも追えないらしく苦戦している。だが、頬に掠めた傷は、瞬時に治っていく。

 ゴブゾは、わざと掌に貫通させて頭を鷲掴みにして兎を捕らえ、このまま、貫通した手で握り潰す。何というか力業すぎる。前から思ってはいたがゴブゾの戦闘スタイルは脳筋だなぁ。・・・。慣れたけど。改めて見るとグロいな。

「マスター。やりました!!」

「うん。やったねぇ」

 真っ赤な血で手を見て若干引いたのはゴブゾには、内緒だ。

 ゴブゾは、頭の無い兎を抱え、何か思い詰めたように考えて事をしているように見えるが口元がからヨダレが出ていた。

「マスター。これって食えますか?」

「処理すれば食えると思うけど」

「・・・処理はどうやればいいですか?」

「じゃー、やるから見てて」

 俺は、頭部が無いため、血抜きがすんでいる兎の腹を剣で捌き内臓を取り出し皮を剥がし、肉を部位ごとに分けて皮の上に置いていく。さすがに火は通すか。知っている薬草もあるかも知れんな。俺は、ゴブゾに乾いた木材を探すように指示をして、俺は、薬草を探した。

 数分後。ハーブを見つけて戻るとゴブゾも丁度、木の枝を持って来た。

 火を起こし、ハーブをすりおろして兎肉に刷り込み、枝に刺して焼く。こんがりと焼けた肉。にしても焼いている肉を見ても食欲が湧かない。

 たぶんいい匂いがしているのだろ。ゴブゾは、だらだらとヨダレが出ている。

 焼き上がった肉をゴブゾに渡す。

「マスター。いいんですか?。」

 ゴブゾは、食欲を我慢しているのがわかる。

「あーいいよ。この身体じゃ。まず食えんしな。俺に遠慮しないでじゃんじゃん食え!お前が仕留めた兎なんだからよ」

「はい!」

 ゴブゾは、唾を飲み込み、がぶっと噛むと目をキラキラさせ無我夢中で食べていく。

 あっという間に一羽、完食した。

「マスター!こんな美味しい物初めて食べました!また、食べさせてください!!」

「あーいいよ、じゃー後片付けして攻略再開しますか。」 

「はい!マスター!」

 俺たちは後片付けして攻略を再開した。

 


 しばらく歩くと森が見えてきた。俺たちは前に現れたさっきの兎は、首を傾げ、不思議そうにこちらを警戒している。

 俺は、兎を鑑定していないことに気づいて鑑定をする。


 種族【ホーンラビット】

 Lv .20


 俺たちよりもレベル高いやん!。

 俺たちは、すぐさまに戦闘体勢にはいる。

「キューキューキュー」

 兎は、騒ぐと森から兎が数体飛び出てきた。兎は、仲間を呼んだのだ。

 ゴブゾは、大量の兎を見て目をキラキラされ、じゅるりと唾を飲み込み、太刀を構える。

 突風が吹いた瞬間、兎とゴブゾは、同時に動く。太刀を顔目掛けて弾丸のように突撃する兎の動きに合わせ角から真っ二つに切り裂く。見事な早業だ。

「まずは一匹。さっきの奴よりも遅い。これならもっと喰える!」

 ゴブゾは、殺気。いや、己が食欲に任せて兎に突撃していく。俺の足元に入る兎と共に俺は、呆然とその光景をみていた。

「キュッキュー。」

 兎と俺は、目を合わせた。はっとする俺たち。

 瞬時に目線まで飛ぶ兎を盾で木まで吹き飛ばした。その衝撃で兎は息を引き取った。テニスボール位のサイズある魂がふわふわと兎から出てくる。

 俺は、その魂を喰らった。

「ゴブゾ。追いかけますか。」

 先走るゴブゾを追いかけつつ、兎を回収していった。

 森に入ると誰かに見られている感覚を覚えるが感知は、未だに反応を示さない。

 背後から空を切る音が聞こえ、慌てて左に避ける。

 目の前に兎がちょこんと座っていた。仲間を呼ばれる前に倒そうと動く。

「キュッキュー!キュッキュー!」

 しかし、すでに遅かった。四方八方から無数の兎の攻撃。兎の攻撃にタイミングを合わせ盾で弾き飛ばそうと試みるもなかなかタイミングが合わない。

 だが、幸いなことに奴らの攻撃はさほど痛くない。

「だけどこのままだと死ぬよなぁ」

 俺は、骨を守る筋肉はないため、何処か一ヶ所でも折れたりヒビが入れば致命傷なる。どうにかして兎の攻撃を見切らないと。

 止むこと知らない兎たちの突撃雨。

 ようやく、盾で一体を吹き飛ばすことが出来た。すると兎たちは、突撃をやめた。じぃーと兎たちは、俺を見る。

 一体が真っ正面から凄まじい速さで突撃する。その攻撃に合わせて盾で吹き飛ばすが兎は、上手く衝撃を流され、地面に綺麗な着地を見せる。

「はぁ!!マジかよ」

 思わず驚く。その隙を狙って兎たちは、真っ正面から順番に突撃攻撃をしてくる。それを盾で吹き飛ばすも一体も倒れはしない。

「くそが。・・・魔術使い方。よくわからなくて発動しない。・・・まじで手詰まりやなぁ。」

 徐々にマシンガンのような連射攻撃に攻撃に変わっていく。盾で吹き飛ばすことも出来ず、盾で防ぐしかない。

 しかし、一羽だけならどうにかなるが群れになった瞬間。強い。戦闘は、質よりも物量ってことかよ。

「あーも。こうなったらやけくそだ!!」

 盾で防ぐのを止め、剣を振り落とした。スッパンと何かを斬る感触があった。よくみるとそこには、俺が斬ったと思われる兎が魂を出して倒れていた。ニヤリとする俺。兎たちは、仲間が殺られた怒りからか攻撃さらに激しくなる。適当に剣を振るだけで兎を次々と倒していく。

 そして、残りの一羽となった。

 恐怖で震える兎。

 さすがに、可哀想と感じるが剣を振るが避けられた。

「キュ。キュー。」

 兎が馬鹿にしているように感じた。

「・・・待てや。ゴラァー!!」

「キュッ!!」

 俺は、我を忘れて逃げる兎を追いかける。

『魂狩りの効果により、魂を回収します。』

 俺の身体に吸収されていく無数の魂に気付かず俺は、兎をアスリート走りで追いかける。


 後編に続く

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