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魔道大国日本、異世界へ  作者: 輪舞曲
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第一話 異質なる接触1

初めての方は初めまして。

ミリタリー系初心者なので、色々と至らぬ点があるかと思いますが、暖かく見守ってください。



 神聖歴1701年白月(テュレル)

 北方海 ラダーノット大陸東部沖


 世界の最北に位置する北方海。今は4月だが、それでも未だにこの地域は厳しい寒さに包まれている。


 そんな冷たく乾いた気候の中でも、どこまでも雄大に広がりゆく海の上空約100mほどのあたりを、人を乗せた白い羽の生えた馬が飛んでいた。



「今日も特に異常はなし、か」



 白い羽の生えた馬───ペガサスに跨る、よく手入れされていることが見て取れる鎧を身にまとった金髪の若い男、ドーリッジ王国『天翔騎士団』第二部隊長パールは青く煌めく海面を眺めながら、そう呟いた。パールは28歳という若さにして、天翔騎士団の隊長を務める猛者である。



「パール団長、今朝は随分と冷えますな」



 そんなパールに後ろから声をかけてきたのは、副隊長であるベイグだった。ベイグは50歳直前で、顔にはいくらかの戦傷と黒い顎鬚が蓄えられており、パールよりも体が一回り大きく非常に筋肉質であることが鎧の上からでも容易にわかる。いかにも武人といった風貌の男だった。



「ああ、そうだな。だが、気を引き締めろ。未だに、先月遥か東の先に見えた赤い光の正体は分かっていないのだから」


「確かに、そうですな」



 彼らは、付近に敵や何か不審な動きがないか探るため偵察に出ていたのだ。今から約1ヶ月半ほど前、王国の遥か東の地平から、真夜中だというのに夜明けと見紛うほどの眩い光が見えた。ラダーノット大陸の東方には小島が点々と存在するのみではあったが、万一のことを考えて暫くは一定の警戒体制が敷かれていた。


 彼らの偵察もその一環であり、天翔騎士団第二隊60騎のうち、20騎がそれぞれ2騎一組となって付近の偵察を行っていた。


 パールが遥か東の空へと目をやると、空の逆側へと沈みゆく太陽に背中を照らされながら、東の空の半分ほどが黒く染まり始めているのが視界に映った。そしてそれは、彼が隊員たちに伝えた基地への撤収の頃合いを指し示すものでもあった。



「そろそろ時間か。今日はこれくらいにして切り上げよう」


「ですな、基地へと戻───」



 ベイグがそう言いかけ、再度周囲を見渡して何もないことを確認した上で、2人で陸の方へと踵を返そうとした時、パールの耳が何かの音を捉えた。



「……なんの音だ?」



 はじめは怪訝そうにしていたベイグにもそれが聞こえ始めたようで、すぐに彼の顔も、険しく、彼が歴戦の戦士であることを窺わせるものへと変わる。



「わかりませぬ。どこから聞こえているのか……」


「む、あれは!?」



 パールが水平線に一つの影を見つけた。影は段々と近づいてきており、音は影が発しているものだと二人は即座に気がついた。


 そして、そちらへ警戒しつつも近づいてゆくと、恐ろしい速さで影は大きくなっていく。



(まだ大きくなるのか!?それに思ったより高い!?)



 近づくに連れてソレが発する音は大きく、さらには高音となり、2人の鼓膜をひどく揺さぶった。そして、漸くその姿が鮮明に捉えられる距離までやって来た。



「あれは、龍か??」



 その姿を見たパールは、思わずそう呟いた。暗くなり出した空に紛れるような黒色のそれは、夕闇の中から姿を表した。


 自らより遥かに大きく、そして遥かに高い空を飛ぶそれは、ペガサスよりも遥かに強力な、空の王者である〝飛龍〟を思い起こさせた。



「龍ですと!?では、〝文明圏〟の国家のものということですか!?」


「そうかもな。だが……あれは生き物なのか?」



 全身が黒系統の色で、体の輪郭は滑らかな曲線を描いている。しかし、最も驚愕すべきはその両脇から伸びた真っ直ぐな両翼で、なんとそれらは羽ばたいていなかった。


 2人がその巨大さ、異質さに圧倒されていると、それらは轟音と共に2人の頭上を通り過ぎていく。



「ッ!!」



 速いッ!恐ろしく速い!!何という速さか!あっという間に我らの上を通り過ぎていく!!


 その龍と思しき存在が近くまで来た時、それが発する音が高音になり、恐ろしく感じた。ドップラー効果により、周波数が高くなったことで高音になっているのだが、二人はそんなことを知る由もない。


 それは、更に陸地の方まで近づいていき、2人はそれを咄嗟に追うが、全く追いつける気配も、その高さに届きそうな気配もない。



「なんという速さだ…!一体なんなのだあれは」


「まさか、レバンテ王国の新兵器ではッ!?」



 風にかき消されないように大声でベイグがそう返した。2人の属するドーリッジ王国と、西の隣国・レバンテ王国とは種々の要因から対立関係にある。もしあれがレバンテ側の新兵器なら、かなり不味いことになる。しかし────



「いや、あれは陸とは逆方向から来ている。レバンテ王国の兵器ではないだろう」


「ではやはり、〝文明圏〟に存在しているという龍では?」


「分からないが……兎も角、基地へ知らせなくては!正体不明の飛行物体が、国へ迫っていると!!」



 おそらく、もう基地の者たちも気付いてはいるだろうが。などと考えながらも、2人は北の方へと急行し、少し先に見えた隊員に緊急事態を知らせる合図を手で指し示す。


 そうして途中で隊員たちと合流しながら、基地へと帰投していった。





続きは勉強と相談しながらぼちぼちと投稿していきます。

第二話は12月25日12時ごろ投稿予定。

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