回想と理由
アポカリプス・ドラゴン
それはウンディーネ達から聞いたあの黒竜の名前だ。曰く、世界の破滅の象徴。
そもそもダンジョンは神の産物であり、神が人に与える試練であった。しかし、神が予想だにしない力を持ち、世界を破滅させるような強大な力を持ったイレギュラーなモンスターを厄災魔獣と言われている。(ウンディーネ曰く)
その厄災魔獣の1匹であるアポカリプス・ドラゴンはダンジョンの899階層でエリアボスを食い殺していた瞬間にまた見つかり、戦った。
何度死にかけたか分からないほど戦い、勝利した。その時に入手した鎧は丁寧に保管してある。
「…まぁ、簡単に説明するとこんな感じだな」
「…そのアポカリプス・ドラゴンはどんな感じだったのですか?」
「…口から太陽と同じ熱さのビーム撃ちまくったり、マトモに受ければ間違いなく死ぬだろうなってのがわかる魔法連発しまくったり…」
「なるほど…」
「まぁ、馬鹿みたいに強かった奴って感じでいい」
「…かなり有意義な情報を貰ってしまったわね」
「…というか、一つ聞いていいか?ローズマリーさん」
「えぇ」
「…何で俺を呼び止めた?」
「………少し長くなるけど、いいかしら?」
「あぁ」
そう言ったローズマリーは深刻な顔をしながら話し始めた。
話をまとめるとこうだ。まだ【世界魔獣大進行】が収まっていなかった時期に、彼女の妹 ラナン・シャンディライトはとあるモンスターと戦い、何とか勝利した。だが、その代償に彼女の身体は石になっていった。彼女のスキル【状態異常耐性】で何とか生きながらえているが、もう全身が石になりかけているらしい。それを治すには精霊水しかないと思い、それを探して今に至る
「…そのモンスターって、なんか蛇みたいな髪でしたか」
「はい、確か額にクリスタルのようなものが…」
「…ダークコア・ゴルゴーンだな」
「ダークコア・ゴルゴーン?」
「あぁ、蛇のような下半身に蛇みたいな髪を持つゴルゴーン種の中でもかなり異質な奴で、戦闘力はないんだが…額のクリスタルで増幅した石化魔法で相手を石にする厄介な奴です…多分耐性があるから何とかなってますけど、なかったらすぐに石化してますよ…というかそいつなら精霊水よりも…」
晴人はそう言うと仲間たちと話し合う。
「ヘラクレス!【浄化竜の翡翠石】を出してくれ」
『これですね』
「それそれ」
晴人はそんなことをいいながらダイヤモンドのように綺麗な翡翠石をローズマリーに渡す。
「これなら解除できるぞ。俺自身で実証済みだ」
「…これなら、ラナンを…」
「…早く妹さんの下に帰った方がいい。そこまで言っているのならもう時間はないはずだ」
「…はい!ありがとうございます!晴人様!このお礼は必ずお返しします!」
「いや別にいい…って行っちゃった…」
笑顔を見せたローズマリーはお礼を言うと、そのまま走り去っていった。
「…とりあえず、もうちょっと潜るか!」
そう言った晴人はそのまま進んでいった。