かーちゃん!俺もう独り勃ち出来るから!
ジー…ウユーユ!
「うん、俺もそう思う。どうしたら良いんだろうね?」
ハンドソープに向かって話しかける修。
それに反応するように泡を出すハンドソープ。
側はたから見れば異常な状況だが、それは修とハンドソープの日常的な光景だった。
「はぁ…彼女の名前が知りたい」
それが今の修の最大の悩みだった。
意思疎通はこのハンドソープのみ。
夜は夜で凄い求めてくるけど、決して声を出すことはしない。
どうやったら、彼女と話す事が出来るのだろう。修は真剣に悩んでいた。
ジー…ウユーユ。
修に悩みに呼応するように動くハンドソープも、心なしか元気がないように見えた。
お互いに愛し合っているのに、それ以上の進展が望めない。
キッチン前で項垂れる修だったが、ポケットに入れてたスマホが鳴り響く。
プルルルルル!ピッ!
「修?ご飯食べたかい?それにもう引っ越し作業は終わったの?」
「もぅ…かーちゃん。これで何回目だよ」
「何回目って、一回しかかけてないわよ。それに何か元気なさそうだけど…」
「そういう事じゃなくて、昨日もかけてきたじゃん。もうちゃんと独り立ち出来てるから大丈夫だって!」
「大丈夫って言ったって元気ないじゃないの!ちゃんとご飯食べてるの?カップ麺ばっかり食べてるんじゃないでしょうね?ご飯作りに行く?」
「いらない!いらない!ちゃんと自炊も出来てるから、来なくて良いからね!じゃね!」
そう言ってすぐにスマホを切る。
(ったく、かーちゃんたら)
(もしかして本当に毎日電話してくるつもりじゃないだろうな?彼女かっての!)
「彼女か…はぁ…」
彼女という言葉で、再びあの娘を思い出す。
(早く夜にならないかなぁ…)
せっかくの上京だというのに、どこにも出かける気にはなれなかった。
観光に出ても彼女がいない寂しさで、何もかもがつまらなかった。
一度ハンドソープを持って外に出掛けてみた事もあったが、外ではハンドソープはただのハンドソープだった。
修は昼間からベッドでゴロゴロして、ぼーっとテレビを見つめている。
「今寝たら…昼でも出てきてくれる?」
ジー…ウユーユ!
(反応してくれるのは凄く嬉しいんだけど、せめて、イエスかノーか分かればなぁ…)
「そうだ!イエスなら1回、ノーなら2回泡を出すって事にしよう!じゃあもう一回、昼も出てこれる?」
ジー…ウユーユ!
ジー…ウユーユ!
「くそー!やっぱ夜じゃないとダメなのかー!」
修はがっかりして崩れ落ちる。そうと分かれば昼寝なんかして、夜寝付けないなんてもったいないことは出来ない。
でもこれは、大きな前進だった。
修は彼女とお喋りして、夜を待つことにした。
ゴソ…ゴソ…
修は何かが動く音で目が覚める。
(…あれ?いつの間にか寝ちゃったんだ)
ってことはつまり…⁉︎
修は足元の方へと顔を向けると、そこにはいつも通り彼女がいた。
しかし今日は跨ってはおらず、修の股の間に膝をつき、修の体と腕の間に手を差し込み、身を乗り出すようなポーズをしていた。
それがまた、ただでさえ大きい爆乳がさらに突き出すように強調したポーズとなっていて修は目が離せなかった。
服装もいつものパンツとワイシャツだけの組み合わせだったが、ワイシャツは何故か胸元のボタンがキツそうに閉じられ、逆に下のボタンは全て外されていた。
(エッ…ロ!)
大きな胸とは対照的に細くすらっと括くびれた腰つきと、チラチラ見えるお臍へそ、その先にある白い下着と太もも…つまり全てがエロかった。
最早、修に語彙力は残っていなかった。
頭の中で「おっぱい」「エロい」の単語がただただ繰り返される。
女は修の顔をジッと見つめていたが、自慢の胸を見せつけて満足したのか、少しずつ体と体を擦り合わせるように後ろへと下がっていく。
そして下がるにつれて、修のモノが先端から徐々に、柔らかいものに飲み込まれていくのがわかった。
ゆっくりと、ゆっくりと、まとわりつくように、最初は先端だけだったのが、遂に根元にまでその感触が伝わってくる。
(この体制でこの感触って…つまりおっぱいで?)
想像通り、あまりにも大き過ぎるその胸が、修のモノを全て包み込んでしまっていた。
修は昨日の経験から、寝る時は全裸で寝るようにしていた。それが功を制した瞬間だった。
昨日とは違い、邪魔な生地なんてものはなく、お互いの肌が直接触れ合い、擦れあっている。
実際には、その情景は大きすぎる胸の中での出来事のため、修には何も見えてはいない。
しかし感触だけはダイレクトに伝わってくる。それだけで興奮がピークに達する。
しかし修はその腰が砕けそうなほどの快感にも何とか抗い、勇気を振り絞って告白する。
「あの…俺!君のことが好きなんだ!」
(良し…言えた!)
唐突な告白に驚いたのか、女の動きが一瞬止まる。
しかし残念な事に修は最初から最後まで、女の胸に釘付けになったままだった。
それを見ていた女は、おっぱいに告白してしまった修に、冷ややかな視線を送る。
そしてまた先程と同じように前後へと体を動かし始める。修がどんなに我慢しようと、やめる気配は一切なかった。
「ち…ちょっと待って…もう…告白の…返事…」
修が彼女の肩に手を伸ばそうとしたが、女はその細く華奢な手で修の手首を掴むと、ベッドへと押し戻した。
もともと金縛りのようになっていた修は力を入れる事も虚しく、彼女の手を振り解く事は出来なかった。
手を固定され、ただされるがままに何度も何度も執拗に擦り続ける。シャツに絞められたその爆乳は絶妙な圧迫感があり、時々意地悪するかのように上から押し付けられる時もあった。
(あ…ああ…もう…イ…く)
そこで修の目が覚める。
(また…イかせてもらえなかった)
時計は6時を指している。
「6時…か、俺の嫌いな時間…第一位だな」
彼女の行為は日に日にエスカレートしていく。しかし最後までいけたことは一度もなかった。
修はハンドソープへ話しかける。
「怒らせたのはすまない、でも本当に君のことが好きなんだ。出来れば昨日のことは許してほしい!」
…………………ジー…ウユーユ!
少しの沈黙の後に一回だけ泡が出た。
(1回だけ!?イエスってことだ!許してくれたんだ!)
修は喜びのあまり踊っていた。その姿は当然に全裸だった。
(それにしても…ヤバいなぁ)
「ハンドソープ見る度に勃つようになっちゃった」
修には変な性癖が生まれていた。