柿ノ木修 東京で勃つ
「フンフフンフフーン♪」
修は上機嫌に部屋の片付けを始める。
一人暮らしがこんなに楽しいものだとは思っていなかった。
引っ越し作業は昨日であらかた終わらせ、後は片付けや掃除だけだった。
プルルルルル!ピッ!
机に置いていたスマホが鳴る。
「修?そっちはどう?ちゃんとご飯食べてる?」
「かーちゃん!そんな毎日電話してこなくても大丈夫だって、昨日も同じこと言ってたじゃん!」
「そうだけど…だって…ほら…ね?」
「ああ、事故物件のこと?特に何もなかったよ」
実際にはあったけど。
しかしそれを母に言うつもりはなかった。
心配性の母の事だから話すとこれからも毎日電話してきそうな気がした。
もしかしたら父をほっぽって暫く一緒に住むと言いだしかねない。
自分が一番怖がりの癖に、息子の為となると母ならそういう行動をしてもおかしくない。昔からそういう人だった。
そんな過保護な所が窮屈で、一人暮らしをしたかったのもあった。
「もし怖かったら、暫くそっちに泊まろうか?」
「いやいやいやいや!来なくて大丈夫だって、本当に大丈夫だから!それじゃあまだ片付けの途中だから!切るね!」
ほら言わんこっちゃない。
危ない所だった。
泊まりになんて来られたら、夜が楽しめなくなる。
修はスマホを置くと、家の掃除へと取り掛かった。
「よし、こんなもんだな」
時計を見ると23時を周っていた。
思ったより時間かかったな。
後はお楽しみタイムといきますか。
そう言って、修はベッドに入る。
暫くはドキドキして眠りにつけなかったが、2〜3時間もすると熟睡していた。
ゴソ…ゴソ…
何かが上に乗る気配に目を覚ます。
すぐに昨日の幽霊だと気づき、目を開ける。
(え…!?誰?この美人さんは!)
そこには修に跨り見下ろしている女がいた。
長い黒髪と妖しげに光る瞳。テレビでも見たことのないほどの綺麗な女性だった。
しかしそれ以上に特質すべき部分があった。
(胸…でっか!)
女は白い下着を履いていたが、上半身はワイシャツのみで、それ以外は何も身につけてはいなかった。
どう見たってきつそうに見えるそのワイシャツは第3ボタンまでが開けられ、胸元からは今にも溢れ出しそうな程の大きな二つの塊が、修の目を離してはくれなかった。
女は修の腰の部分に跨り、執拗に腰を押し付けては前後左右にくねくねと動かし始めた。
お互いに身につけてるのは下着だけ。
女はさらに何度も何度も腰を動かし続ける。
2人を隔てるたった2枚の薄い生地が、その度に擦れては音を立てる。
女も吐息が荒くなっているのがわかった。
時折、何かを求めるように体重を乗せゆっくりとしっとりと擦り付けてくる。
その感触の度に修は表情を苦しそうに歪めるが、女はお構いなしに腰をくねらせ続けた。
(…ヤバい!イキそう!)
修は限界が近くなる。
それでも女は腰を動かすのをやめない。
(ぐっ!もう…駄目!)
そう思った瞬間、修は目が覚めた。
外は明るく、時計は6時を指していた。
慌てて布団の中を確認し、何もなっていないことにほっとする。そしてすぐに惜しい気持ちが溢れ出る。
(最後まで…いきたかったなぁ…)
しかしすぐに顔がニヤける。
ニヘヘ…めっちゃ可愛かった!
しかも巨乳…いやあれはもう爆乳の域だった!
あんなの地元はおろか、東京でだって見たことがない。そしてハンドソープへと視線をやる。
「あのー、昨日の女の人って…君でいいの?」
そうハンドソープに語りかける。
ジー…ウユーユ!
それを見た修はヤッホーイ!と飛び上がりると、ガッツポーズをしていた。
事故物件と聞いていたけど、これはむしろ当たり物件なのではないか?
それから修は何かある度にハンドソープへ語りかけては、泡が出て一喜一憂を繰り返していた。