事故物件に取り憑く爆乳女幽霊は、主に下半身に取り憑くようですよ。ちょっとそこの幽霊さん!そんな薄着で跨ってきてナニしてんの?
ホラーを書いてたらちょっとエロくなってしまいました。
性的描写が苦手な方はスルーでお願いします。
「本当にここで良いんですか?先程も説明した通り、いわゆる事故物件ですよ?」
そう心配そうに聞いてきたのは、このマンションを管理している不動産会社の橘だった。
「ああ、平気平気! 俺、霊感とかゼロなんで!」
そう返事したのは今年から都内の大学に通う為に都内の賃貸物件を下見しに来ていた柿ノ木修かきのきおさむだった。
修が今内覧している物件は大学から目と鼻の先で最寄り駅まで徒歩3分の1Rマンションだった。それにも関わらず事故物件というだけで家賃8万が25,000円になるというのだから、ここにしない理由がなかった。
いよいよあのど田舎ともおさらば出来る。
憧れの東京での一人暮らしも目と鼻の先。
東京の大学に受かったと知った時は涙を流して喜んだものだ。
(たかだか事故物件ってだけで誰も申し込まないんだから、本当に皆んな馬鹿だね)
(まぁそんな馬鹿な人達が多いから、俺はこうして得出来るんだけどね)
「あの〜お客様?」
「ああ、すみません!ここにするので、契約の手続きをお願いします」
「本当に宜しいのですね?前の入居者は自殺してますよ?告知しましたからね?」
そういうと、橘さんはすぐに契約準備へと取り掛かった。
修はその日のうちに契約書にサインして、鍵の受け取りを待つのみとなった。
家に帰り、部屋が見つかったことを母へ報告する。
「えー?それでもう契約してきちゃったの?事故物件なんて大丈夫なの?」
「大丈夫だよ、事故物件って言ったってただの自殺なんだから。他殺で犯人がまだ捕まってないとかなら実際に身の危険はあるかもしれないけど、自殺ならそれまでだよ」
母の心配も他所に、修は意気揚々と自分の荷物を箱に詰めていく。
「そんなこと言ったって…幽霊とか出たらどうすんのよ?気持ち悪くてそっち行けないじゃないの」
「来なくていいんだよ、そんな頻繁に来られても迷惑だし!」
(幽霊?アホくさ。いるなら出てきてみろっつーの)
修は数日かけて自分の荷物を箱へと詰めて、引っ越し日を待つのみとなった。
「こちらが物件の鍵です」
契約から数日で管理会社から鍵を受け取る事ができた。
待ちに待った引っ越し日当日。修はすぐに荷解きを始めていく。元々荷物も少なかったおかげで、夕方には終わらせることができた。
「ふぅ…こんなところかな」
そう言って背伸びをすると、この日のために購入したふかふかのベッドへと横たわる。
家賃が安かったこともあり、少し奮発して高めのベッドを買ってみたけど正解だったな。
「これも事故物件様様ってか?いい事づくめじゃん」
事故物件って結局の所、心理的に気持ち悪いってだけでしょ…どうして人が死んだくらいでそこまで嫌がるのかね?
そう言ってテレビを暫く眺めていたが、引っ越しの疲れもあって修はウトウトとし始めていた。
ジー…ウユーユ!
(ん?何の音だ?)
キッチンの方から何か機械音がして目が覚める。
耳をすましてみるが、何も聞こえない。
(隣の部屋の音でも聞こえてきたのかな?マンションって言っても、壁は薄いのかもしれない)
そう思う修だったが、ふと母の会話が思い出される。
(幽霊でも出たらどうするの?)
「まさか…な」
ジー…ウユーユ!
また鳴った…しかも今度は見た。
それはキッチンに置いてある人感センサー付きのハンドソープだった。
センサーに手をかざすと、それに反応して機械が動き、泡が出てくる。
コロナ禍ということもあり、買ってみたけど、結構便利な代物だった。
でもそれが、今は勝手に作動していた。
ジー…ウユーユ!
(また出た!)
(おいおいおい!これが心霊現象ってやつなのか?)
正直、幽霊は信じていなかったし、心霊現象なんて馬鹿にしてたけど、初めて目の当たりにすると怖さと物珍しさが半々位だった。
気にはなるけど、近くまで見に行くのも少し嫌だな。
(うん…これはあれだな…引っ越しの所為で壊れたんだな。もしくは何かの反動で動いたけど、それ以降は泡がセンサーに反応しちゃってるとか。まぁセール品で安かったし、仕方ないかな)
修は幽霊なんて居るわけないと、自分に言い聞かせて怖い気持ちを紛らわせる。
そして冗談ぽく話しかける。
「あー誰かさんか知らないけど、泡が勿体無いからやめてね」
………。
それ以降、ハンドソープが動くことはなかった。
(なーんだ、やっぱ壊れてたんだな)
「止めてくれてありがとさん♪」
勘違いだったとわかり、上機嫌になった修はハンドソープの方へ向かってお礼を言っていた。
(やっぱり幽霊なんて居るわけないよな)
勘違いだとわかり、安心するとまた眠気が襲ってくる。そのまま、修はすぐに寝てしまった。
ゴソ…ゴソ…
深夜、何かが動く音で目を覚ます。
(あれ?なんか体が重たい…?誰かが乗っかってるのか?)
薄うっすらと目を開けると、仰向けに寝ている修の上に、誰かが跨またがっていた。
それは修が起きた事に気がつくと、上に覆い被さるようにしな垂れてきた。
耳元で小さく甘い吐息が聞こえる。
それはまるで全身を舐め回すように、耳から首、鎖骨、胸、脇、脇腹、臍の順に修の匂いを嗅いでいく。
腰、太腿、脹脛、足首、足の裏、つま先、そしてもう片方のつま先に移動すると、そのまま逆の順に足裏、足首、脹脛、太腿へと続いていき、股の間まで来ると入念に匂いを嗅ぎだした。
何度も何度も同じ部分の匂いを嗅がれ、その度に時折触れる唇の感触と、かかる吐息に修は反応してしまう。
くすぐったく、そして気持ち良いような感覚がずっと続く。
修も知らず知らずのうちに興奮してしまっていた。
それは一向に止める気配がなく、ずっと匂いを嗅ぎ続けていた。
実際どれくらいの時間だっただろうか、それは修が目覚めるまで繰り返されていた。
気がつくと外はすでに明るく、時計は6時を指していた。
修は飛び起きた。
なんて夢を見てしまったのか。
たしかに欲求不満ではあったけど、こんなに生々しい夢は初めてだった。
未だにあの吐息を思い出すと、下半身が熱くなる。
そしてふと人感センサー付きのハンドソープに目が行く。
男は何の気無しにハンドソープに話しかける。
「昨日の夢って君?」
ジー…ウユーユ!
ハンドソープが一人でに動いた。
男は驚いて、ハンドソープへと駆け寄る。
故障なんかじゃない、泡がセンサーに付いたわけでも無さそうだった…
「何度もごめん、もし本当に君がいるなら、もう一度動かしてほしい」
ジー…ウユーユ!
修は驚いて後ろへ後ずさる。
心臓がバクバクしているのが自分でもわかる。
凄い!心霊体験をしてしまった。
しかも…何かエロかった!
思い出すとまた大きくなってしまった。
「また…今晩来てくれる?」
ジー…ウユーユ!
それ見て修は喜んだ。
怖さはもう無く、ただただ夜が楽しみになっていた。