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【書籍化】神の審判でやり直しさせられています  作者: gacchi(がっち)


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96.選択する道

早めに家に戻った後、家にある中級魔術書を読んでしまおうと図書室へと向かう。

うちの図書室は学園の図書室よりも中級魔術書の数がかなり多い。

図書室ごと、その管理している者によって魔術書の種類や数が変わるらしい。

この図書室に魔術書が多いのはエミーレ様のおかげなのだろう。



いつものようにソファで寄り添って座って魔術書を読んでいると、

レイニードが読まないで考え事をしているのに気がついた。


「レイニード、どうしたの?」


「ああ。来年のことを考えていたんだ。」


「来年って、五学年のこと?」


読んでいた魔術書を置いてレイニードに向いて話を聞こうとしたら、

そのまま抱きかかえられてひざの間に座らされる。

もうすでに体格差がありすぎて、

こうして座るとレイニードの身体にすっぽりとはまるような形になる。

レイニードは成長し続けているのに、私の背はこれ以上大きくならないようだ。

こうして抱きかかえられていると安心感があっていいのだけど、

話している間もレイニードは髪をさわったり、

こめかみや頭の上にくちづけてきたりするので、真剣な話にはあまり向いていない。


「…留学するのもありかなって少し思ったんだ。」


「え?」


「以前、ジョセフ様に修行の旅に出るかって聞かれたとき、

 エミリアのそばにいたいからって断った。

 だけど、エミリアも一緒に留学するなら、それもいいかもしれないって…。」


「お祖父様にそんなこと言われていたの?」


「うん…それでね、来年ってあの夜会の日になるだろう?

 怖いのもあるんだ。

 また、エミリアを失ったらどうしようって。

 もちろんそうならないために全力で抗うよ。今度こそ守るって。

 だけど、この国を出て逃げるのも…一つの手だと思った。」


やり直しの日が来る。

神の審判によってやり直しを生きているけれど、

何をやり直せと言われているのかはわからないまま。

目標はあの日の夜会であのような事態にならないこと。

だけど、この国を出たら…そもそもあの夜会にはいかないことになる?

確かにそれもいいのかもしれないけれど。


「それも一つの手かもしれないけれど。

 やり直しが始まって、前回とは少しずつ違っていって。

 それが原因でさらに違うことにつながっていって。

 それがまた私たちにも戻って来て影響される。

 逃げたからと言って私たちが大丈夫かはわからない。

 私たちが無事でも、他の人が同じ目に遭うことになるのかもしれない。

 逃げた後でそれがわかったら、私は自分を責めてしまうかもしれない。」


「はぁぁ。それもそうか。

 逃げたからと言って安全が確保されるわけでもないのか。

 その影響がどう戻ってくるのか予想できないし。

 単純に考えすぎていたな…。」


「あ、でもね。考えた結果、逃げたほうがいいと思うかもしれないわ。

 だから、この一年で考えてみましょう?

 まだ決めてしまわなくてもいいと思うの。時間はあるのだから。」


「それもそうだな。

 ファルカとルリナには…

 ファルカの兄さんに会って話を聞いてから考えるとでも言えばいいか。」


「うん、それでいいと思う。

 私たちが留学するっていったら、二人も留学しそうだけど。」


「それならそれで楽しそうだな。」


後ろから回されたレイニードの手が、私の手に重なる。

上から指の間にからませるように握られて、骨ばったレイニードの手を感じる。

こんなに大きくなったレイニードを、前の私は知らなかった。

ふれられるほど近くにいなかったし、多分知ろうともしていなかった。


近付いたらよけいに寂しくなるから。

ふれたいのにふれられないのは、よけいに辛くなるから。


「そういえば、この屋敷の人たちみんな、

 俺とエミリアが二人きりでいても怒らないけど、

 大丈夫なのかって義母上に聞いてみたんだ。」


「お母様に?」


「レイニードはエミリアが学園に通えなくなるような真似はしないでしょう?って。

 にっこり言われたけど、まぁその通りだな。」


学園に通えなくなる…身ごもってしまうってこと!?

結婚するってことはレイニードとそういう関係になるってことではあるけれど…。

思ってもいなかったことを言われて、顔が熱くなる。


「エミリアは…意識してなかったみたいだし。

 俺だけだよね…いろいろ考えちゃって心配しているのも。」


「えええぇ?」


「耳まで真っ赤だよ。

 安心していいよ。ちゃんと結婚するまで待つから。

 エミリアが安心して結婚していいって思えるまで待つ。

 それまでは…くちづけだけで我慢するから。」


「う、うん。…ありがとう。」


身体もそうだけど、レイニードが成長していて、なんだか大人みたいで…。

でも考えてみたら、中身はもう20歳こえているわけで…。

そっか。私が子ども過ぎるから待ってくれているのかもしれない。


…もう少し待っててもらおうかな。

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