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9.暗闇の中

「レイニード様と一緒に暮らせるようになって良かったですね。」


「うん。」


「じゃあ、明日から早起きできるように、早く寝ましょうね。」


カミラに髪を乾かしてもらって寝る準備を整え、寝台の中に入るように言われる。

昔と同じように優しく掛け布をかぶせてもらうと、

とんとんと軽くたたいてからお休みなさいと言われる。

おやすみと返すと、ランプの灯りを消して、カミラは部屋から出ていった。



…眠れない。

この暗闇が怖い。

目を閉じたら、この幸せな夢が終わってしまうんじゃないかって、

そんな考えが頭から離れなかった。

やり直しが始まって、初めて一人きりになった。

令息たちの手が伸ばされて捕まえられるような気がして、

すぐ後ろから奈落が迫ってくるようで、身体が恐怖で震える。

涙があふれてくるのを止められなかった。


「…っひっく。…ぐすっ。」


「…エミリア…。」


「えっ。」


急に声をかけられ、目を開けたら薄暗闇の中にレイニードが立っていた。


「…どうしてレイニードがここに?」


「多分、泣いてると思って来たんだ。

 …手を出して。」


言われるままに片手を出すと、その手を両手で包みこむように握ってくれた。


「俺と違って、エミリアは落ちてしまったわけだろう。

 どれだけ怖かっただろうと思うと…。

 きっと、思い出して怖がってるんじゃないかと思ったんだ。

 こっそり部屋の中の様子をうかがったら、やっぱり泣いてる声がして。」


「…男に捕まえられそうになったり、後ろに落ちる感じが消えないの。

 どうしても頭から離れなくて…。

 …怖かった。

 悔しかったし、怒りでいっぱいだったけど、

 やっぱり怖くて仕方なかった…。」


自分の弱さを最後まで認めたくなかったけど、やっぱり怖かった。

抵抗できない無力な女でしかない自分が、

令息たちに舐められているのがわかっていても何も出来なくて。

そのまま連れて行かれたら、どんな目にあわされてしまうか…。

どうしようもなく怖かった。認めたら崩れ落ちてしまう気がしていた。


「…俺が守ろうとして、中途半端なことをしていたせいだ。

 エミリアが苦しんだのは全部俺が間違えたのが悪い。

 ごめん…エミリアが眠るまでここにいるよ。」


「…眠るまで?」


「さすがに朝までいたら怒られるだろう?

 …本当は部屋に入ってもダメだろうけど、

 そこはまだ12歳だから大目に見てくれるだろうってことで。」


中身は17歳だけど、いいのかな。

お父様は知っているし、夜に部屋に入れるなんてダメだろうけど…。

今、この手を離せる自信がない。怖くて、崩れてしまいそうで。

こうして話している間も震えが止まっていない。


「…大丈夫だよ。しっかり眠るまでここにいるし、

 明日の朝もエミリアが起きたらすぐに会いに来るから。」


そう言って、つないでいた手を片手だけ離して、

肩をポンポンとあやすようにたたいてくれる。

されるがままになっていると、いつの間にか震えが止まって、

少しずつ強張っていた身体が緩んでいくのがわかった。

レイニードの声を聞いて、レイニードの気配をずっと感じて、

半分眠った後もなんだかよくわからない会話をした気がするけれど、

いつの間にか眠っていた。





「…ごめんね、エミリア…。もう泣かないで。」


「レイニードにずっと会いたかったの…。」


「俺もだよ、エミリア。」


「ずっと離れないで、…そばにいてほしかったの…。」


「うん、悪かった。もう離れないよ。」


「…ずっと…?」


「ずっと。エミリアがもういいって言っても、ずっとそばにいるよ。」


「…よかったぁ。…。」


「…寝ちゃった?」


「…。」


「今度こそ、守り抜くから…エミリア。俺を信じて?」






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