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【書籍化】神の審判でやり直しさせられています  作者: gacchi(がっち)


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66.王弟殿下

「あれ?でも、ねぇ、どうして王弟殿下はフレデリック様を守らなかったの?

 そのくらい力のある魔術師なら、私じゃなくフレデリック様を守れば、

 レイニードが護衛騎士にならなくても良かったんじゃないの?」


「…うん、俺も護衛騎士を頼まれた時にそう言った。

 わざわざ、俺がフレデリック様の護衛騎士になる意味がわからなくて。

 ジョージア様の時は王弟殿下が魔術具で守ったって説明されたし、

 ビクトリア王女もそうする予定だって言われたんだ。

 だったら、どうしてフレデリック様だけ護衛が必要なんだって。

 体格で言ったら、フレデリック様が一番護衛がいらないと思うのに。」


「そうよね、フレデリック様自身も騎士団で訓練しているのにね?」


身長はそれなりにあるが線の細いジョージア様が強いという話は聞いた事が無い。

優秀だとは聞いているが剣術に関しての話は聞かないし、

陛下の補佐の仕事が忙しく、騎士団の訓練に参加することもめったに無い。

ビクトリア王女も女性にしては長身ではあるが、身体は細く華奢なほうだ。

もちろん鍛えていることはないだろうし、護衛が必要なのはもちろん。


それに比べたら、長身で筋肉質な体、

ずっと騎士団の訓練に参加しているフレデリック様。

あれなら学園内での護衛はいらないのではないかと思ってしまう。



「王弟殿下の婚約者だった方が、側妃様のせいで亡くなったらしい。

 王弟殿下がジンガ国に留学中のことだったようだ。

 だから、側妃様の息子のフレデリック様のことだけは助けたくないと。

 代わりにエミリアを守る方がよっぽどマシだって言っていたよ。」


「…そんなことが。」


王弟殿下は名前だけは知っていたが、夜会にも出てこないと聞いている。

王族なのに結婚もせず、婚約者もいない、変わり者のように言われていたが、

まさかそんな過去があったとは知らなかった。


「王弟殿下の婚約者に何があったのかまでは教えてもらえなかった。

 側妃様のことは王宮内や騎士団でも秘密にされていたし。

 病死だという発表だったが、それも怪しいな。

 父上だったら何か知ってるかもしれないけれど…。」


「でも、それで守ってもらえないフレデリック様も可哀そうね。

 側妃様のことはフレデリック様のせいじゃないのに。」


「そう、あの時ジョージア様もそう言っていた。

 フレデリック様は王宮でも放っておかれている。

 だから可哀そうだから、護衛騎士になってやってほしいと頼まれたんだ。

 ジョージア様は優秀だが、弟妹に甘いのが悪いな…。

 どうやら可哀そうだからと弟妹を甘やかしてしまっているようだった。」


「フレデリック様はわかるけど、ビクトリア様も可哀そうなの?」


「うん。王妃様はジョージア様だけを認めているらしく、

 フレデリック様だけでなくビクトリア王女も放置されているって聞いた。

 だから陛下とジョージア様が甘やかしてしまうんだと。

 …それであの性格になったんだとしたら許せるものじゃないけどな。」


「そうよね…。」


親に愛されないのは辛いと思う。

母親がいないフレデリック様も、実の母親に愛されないビクトリア様も。

だからと言って、人を傷つけていい理由にはならない。


それでも、男爵令嬢をそばに置いていたフレデリック様のさみしさが、

なんとなく理解できてしまった。


「あぁ、そういえば、あの男爵令嬢はどうしているのかしら。

 フレデリック様と一緒にいるの?」


「一応は一緒にいるようだよ。フレデリック様がというよりも、

 周りのご学友たちがそばに置いているようだけど。

 なんとかしてエミリアをあきらめさせるために、

 できるだけ他の令嬢と話をさせようとしているみたいだ。」


「そうなんだ…。」


いろんなことが少しずつ違った結果、以前とは関係性が変わってしまったらしい。

本当ならフレデリック様が恋心を抱くのは男爵令嬢だったのに。

私がこのまま会わなければうまくいくのだろうか。

夜会デビューまで数か月。

その間に落ち着いてくれることを祈るしかなかった。




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