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37.裏教室

「…先生、どこに行くんですか?」


ついて来いと言われて先生の後をついて行っているけれど、

なぜか校舎から出てしまった。

魔術師科じゃないところに行くのだろうか?


「裏側に入り口がもう一つあるんだ。

 そこから入ると、留年した者たちの教室がある。

 ミーアも、今日からそこにうつってもらう。」


「留年!?入ったばかりなのに!」


「だって、魔術書閉じてしまっただろう?

 このまま授業を続けても二学年にあがれない。

 閉じた理由も、ファラー語ができればいいとか言ったんじゃないのか?」


「…。」


「一冊も読んでないっていうから、そうかなとは思ったんだが…。

 留年クラスは二つに分かれている。

 一つは魔術書を読むクラス。もう一つは三語を学ぶクラスだ。

 ミーアは三語を学ぶクラスになる。ここだ。」


魔術師科の校舎の裏手にまわると、小さめの玄関があった。

入ると中にも教室がいくつかあるように見えた。

その一番手前の小さな教室のドアを先生が開けると、

中には女性の先生と男子生徒が二人いた。


「レミー先生、一人追加でお願いします。

 入学したばかりだけど、魔術書が閉じちゃって。

 表に通わせてももうついていけないと思うから。」


「あらあら。あなた名前は?」


優しそうな眼鏡をかけたおばあちゃん先生だった。


「…ミーアです。」


「そう。三語、どこまで覚えた?」


「ファラー語はできます。ジンガ語は話すだけ。

 …ユラール語はできません。」


「そう。わかったわ。じゃあ、今日から一緒に頑張りましょうね。

 三年あればなんとかなると思うわ。」


「三年…?」


思わずプロイム先生に振り返って聞いてみると説明してくれる。


「前は貴族も多かったから一学年は二年までだったんだ。

 だけど、今はほとんどが平民だから、

 平民が成人する年齢の16才までいられることになったんだ。

 少しでも多くの魔術師を確保するための制度だ。

 せっかくの魔力と才能だ…退学にするのはもったいない。」


「先生、魔術師科に貴族はいないって聞いてきたのに…。」


「一昨年まではいなかったぞ。

 去年は貴族っていうか、他国の王族が二人いたな。

 今年はあいつらが特別なんだ…。」


「プロイム先生、一学年の他の子たちは留年しそうですか?」


「いいえ。残りの4人はエンドソン家と血の一族なんですよ。

 とても優秀で今すぐ二学年にあげたいくらいです。」


「あらそう。じゃあ、今いる子に集中できるわね~。」


エンドソン家って貴族の家?じゃあ、血の一族って何?

もしかして…私は関わってはいけない人たちに絡んでしまったのだろうか…。

どうしよう…家の方に何かされる?貴族に文句を言うなんて…なんてことを。

次に会った時…謝ったら許してもらえるんだろうか。


「じゃあ、レミー先生、後はよろしくお願いしますね。」


「ええ。ミーアさん、中に入って?」


レミー先生に言われるままに中に入り席に着いた。

説明を受けると、表の教室とは登校時間と休み時間がずれるらしい。


…もうあの4人に会わない。

それを聞いて、ようやく緊張した身体の力が抜けるように感じた。


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