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【書籍化】神の審判でやり直しさせられています  作者: gacchi(がっち)


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31.兄と王子

「ほらね、ダメだって言ったでしょう。」


「そういうけど、魔術師協会の所属だったのはお前も知らなかったんだろう?」


「それは知らなかったけど、あいつはエミリアが大事だから、

 それ以外のことでは動きませんよ。」



「なるほどね…エミリア嬢か。

 魔術師科じゃなかったら、俺の婚約者候補になってただろうな。

 地味だって噂を聞いてたけど、あれは地味って言うんじゃなく、清楚だ。

 あのさらさらの銀髪や透き通るような白い肌、

 ちょっと見ただけでもわかるくらい綺麗だろう。

 おおかたレイニードをねらってた令嬢が言い始めたんじゃないか?」


「そうでしょうね。

 まぁ、その噂もエミリアが夜会に出るようになれば消えるでしょう。

 エミリアは侯爵家の令嬢として教養もあるし、

 礼儀作法もきちんと身に着けています。

 その上…魔術師になれるほどの魔力と才能。

 魔術師協会の所属じゃなかったら、

 魔術師科だったとしても婚約者候補になったのでは?」


「かもしれないな。

 だけど、どうせそうならないために12歳で婚約させたんだろう?」


「よくわかりましたね…そうですよ。

 レイニードがエミリア以外とは結婚しないというので、

 両家で話し合った結果、早めに婚約させることになりました。

 王子の婚約者候補になる可能性がなかったら、15歳まで待ったでしょうね。」

 

「…やっぱりか。

 まぁ、あれはあきらめるよ。

 下手に手を出したらこっちが危ない。

 …ビクトリアが手を出す前に気が付いて良かったよ。」


「ビクトリア王女、ですか?」


「ああ。去年の話なんだが、銀髪の騎士を護衛騎士として欲しがってな。

 だけど、今の騎士団に銀髪の騎士はいない。

 その時にお前たち兄弟の話が出たんだ。

 本当ならジョランド公爵家の兄弟が騎士団に入る予定になっていたって。

 それで騎士団長にも聞いてみた。

 今からでもいいから子どもを騎士団に入れるつもりは無いかって。」


「…え~。俺はもう騎士団に入るつもりなんてないですよ。

 せっかく入らなくていいって言われたんですからやめてください。」


「わかってるよ。お前が騎士に向いてないのはな。

 だけど、レイニードは違うんだろう?

 騎士団の奴が何人も言うんだ。レイニードは天才だって。

 あいつが騎士にならないなんてもったいないってな。」


「ああ…そうですね。

 レイニードは幼いころからうちで騎士団に混ざって訓練してました。

 12歳になる頃にはもう普通の騎士よりも強かったですよ。

 俺とレイニード、二人で騎士団に入る予定になってましたし。」


「それだよ、急に二人とも辞めたっていう話じゃないか。

 もう入団する日も決まってたっていうのに。

 騎士団長からあいつらは騎士にしないことにしたって言われても、

 騎士たちは納得してないみたいだったぞ。」


「その辺は俺も知らないんですよね。

 急にレイニードが帰ってこなくなったと思ったら侯爵家に婿に行ってて。

 俺も騎士団に入らなくていいって父上に言われて驚きました。

 でも、うれしかったので、それ以上は聞かなかったです。

 下手にどうしてですかって聞いて、

 やっぱり騎士になれって言われても嫌なので。」


「まぁ、自分に都合が良ければそれ以上は聞かないよな。

 で、レイニードに一度会ってみたかったんだよ。

 本当に騎士になる気はないのか確認したかったから。」


「どう思いました?」


「わからないな。

 あの筋肉の付き方…どうみても騎士なんだよな。

 今も騎士としての訓練を続けているんじゃないのか?

 でも、少なくとも、エミリア嬢が魔術師になるのなら、

 レイニードも魔術師になるつもりなんだろう。

 離れたくないって感じだったから、そういうことなんだと思う。」


「それって、エミリアが魔術師を目指したから、

 心配でレイニードも魔術師になるってことですか?

 …いや、ありえますね。

 それだけあいつはエミリアじゃないとダメなんですよ。」


「そういうことだよなぁ。

 じゃあ、エミリア嬢が普通の令嬢に戻って貴族科に入ったら、

 レイニードは騎士になるかもしれないよな。」


「今更じゃないですか?」


「お前、知らないのか?

 魔術師科が13歳から入学できる理由は、

 半分くらいは一学年から上にあがれないからだぞ。

 二回留年すると退学になるんだ。

 それでも15歳だから、退学した後で貴族科に入学できるだろう。」


「そうなんですか…。知りませんでした…。」


「だから、考えが変わったらって言っておいたんだよ。

 二人とも留年せずに魔術師科を卒業するのは難しいだろうからな。」


「はぁぁぁ。二人の兄としては無事に卒業してくれるのを祈りますよ。」


「側近としては優秀なレイニードを手に入れる方を願ってほしいものだな。」



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