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20.ひとまず安心

「雪蜂の蜜とは…思いもよらなかったな。

 こんな貴重な高級食材で毒殺とは…。

 伯爵もそうだったのだろうか…もう一度調べるか。」


「そうだな。もし伯爵の死も同じだとしたら、より重い罪で処罰できる。

 今回の件だけでは未遂だし、平民にして追放くらいにしかならないだろう。

 それだとまた何かありそうで嫌だしなぁ…。」


「父上、騎士団の方も厳罰にしておいてください。

 どうやら、修練場の方から夫人とエリザベスが入り込んだようです。

 おそらく騎士たちを騙して同情を買ったのでしょう。

 エミリアをその女呼ばわりしてましたし、見過ごせないです。」


「あぁ、そうだな。

 リンクス、すまなかった。

 騎士たちのせいで危険を増やすことになってしまって…。」


「確かに今回の件、騎士が規律違反をしなければ防げたな。

 修練場を借りている屋敷に、騎士以外を連れ込むとは…。

 許せることではない。きちんと処罰しておいてくれよ。

 うちのエミリアをその女呼ばわりしたものは、特にな。」


「もちろんだ。

 大事なエミリアちゃんに辛い思いをさせてしまって申し訳ない。

 きっちり処罰を与えた上で、がっつり締め上げておくからね。」


「…私のことはいいですけど、

 お母様が怖い思いをしたと思うので、処罰はお願いします。

 あんな怖い思いをさせるなんて…ひどいです。」


「ああ、わかった。任せておいてくれ。」


「ユリアナは軽く熱を出しているが、雪蜂の蜜の影響は無いそうだ。

 怖い思いをしたせいだろう。

 しばらくはゆっくりと休ませる。

 エミリア、レイニード、ユリアナを助けてくれて、本当にありがとう。」


私とレイニードは一緒にお父様に抱きしめられ、

ようやくお母様を助けられたのだと実感した。

あぁ良かった。やっぱり毒殺だったんだ。

前回の時に亡くなったのが本当に病死だったとしたら、

私たちには助けられないんじゃないかって、心のどこかで思ってた。

夜におやすみなさいを言うたびに不安になって、

毎朝おはようを言うまで安心できなかった。



精神的な疲れからか、お母様は一週間は微熱が続いたようだけど、

その後は元気になって、いつもの笑顔に戻っていた。

優しいお母様の笑顔が無いと、お父様も私も使用人達もどことなく暗くて。

お母様が元気になると、侯爵家もいつも通りの雰囲気へと戻っていた。

私もようやく安心して、ぐっすり眠れるようになった。



ヘルメス夫人はリンデ伯爵の事件も関与が疑われ、

調べが終わるまで一般牢に繋がれることになった。

伯爵家の使用人の話によれば、伯爵も雪蜂に刺されたことがあるという。

これから亡くなった伯爵の血を鑑定する予定になっていて、

その結果がでればまず間違いなくその件でも処罰できるそうだ。

おそらく鉱山で強制労働の刑になるだろうと聞かされた。


エリザベスは侯爵家への無断侵入の件で注意を受けたが、

まだ子どもだし夫人が連れて入ったということで罪にはならなかった。

だが夫人が牢に入ったことで、生家の侯爵家は引き取りを拒否した。

侯爵家は実姉に毒を盛るようなヘルメス夫人とは一切かかわりたくない、

その娘のエリザベスを育てる気など無いと言っている。

結果、エリザベスはリンデ伯爵の弟夫妻に引き取られることになった。

弟夫妻はヘルメス夫人とは仲が悪かったそうだが、

自分たちに子どもが無いことからエリザベスを引き取ることにしたそうだ。

ヘルメス夫人のことは嫌いでも、エリザベスは亡き兄の子どもだということで、

養女として伯爵家を継がせることしたらしい。



ヘルメス夫人とはもう会うことは無いだろうが、

エリザベスは伯爵令嬢として夜会などで会うことになるだろう。


どうしてかわからないが、エリザベスには昔から嫌われている。

前回とは関係が変わることにはなるが、従姉妹だということに変わりはない。

出来る限り関わりたくはないが、その願いが叶うとは思えなかった。

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