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【書籍化】神の審判でやり直しさせられています  作者: gacchi(がっち)


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152/158

152.二人の新居

ルリナとファルカの新しい家が完成したからと招待され、

訪れることになった血の一族が住む場所は…何もない山だった。


「ここ?」


「うん、近づいたらわかるから…見てて?」


ルリナにそう言われ、しばらくすると何もない山だった場所に無数の家が見えた。

すべての家が赤い屋根に白い壁で…全部が同じ家のように見える。

それが山肌に沿うようにびっしりと並んでいた。


「うわ…すごいな。」


「え?もしかして結界か何かで隠されているの?」


「そうだよ。この山の全体に結界が張られているんだ。

 血の一族のものが一緒じゃなかったら、中に入れないようになっている。

 ほら、俺たちの血は狙われやすいから。

 魔力が弱いものたちはこの結界の外に出ることなく一生を終える。」


「…出られないの?」


「出てはいけないと無理強いしているわけじゃない。

 ただ、力のない者が外に出ると…どうなるかは想像できるだろう?

 男ならまだしも、女が外に出ていくことは無いな…。」


「そっか…。」



そういえばリグレット魔術師長も話していた。

一族の中の力のない者を人質に取られたと。

それに…本人の魔力が弱くても、その子どもは魔術師になる可能性がある。

そういう意味で女性が利用されることもあるのだろう。



「だからこそ、俺たちみたいなものは魔術師になって守る側に立つ。

 …血の一族はずっとそうやって生き残ってきたんだ。


 さぁ、着いたよ。ここが俺たちの家。入って。」


そう言われて一軒の家の前に着いた。

まだ新しい家だから、屋根の赤色が他の家よりも濃く見えた。

玄関から中に入ると思ったよりも広く、可愛らしい白い家具で統一されていて、

清潔感があって過ごしやすそうだ。



「素敵ね。新しい家…ここが二人の家なのね。」


「そう。まだ暮らし始めて二週間だけどね。

 …二人は一週間後だよね、結婚式。」


「うん、招待できなくてごめんね。」


勧められてソファに座るとお茶が出された。ファルカが入れてくれたようだ。

一口飲むと、ふんわりと花の香りがした。

砂糖やハチミツは入っていないようだけど、ほんのり甘い。


「呼べないことを知っていて招待しなかったんでしょう?」


「ええ。魔術師は貴族の家のパーティーに行くことは無いのでしょう?

 …それは知ってるけど、友達として呼びたかったの。」


「ふふ。仕方ないわ。

 行けないけど、めいっぱい祝福はするわ。」



本当は数少ない友人の二人には来てほしかった。

だが、こじんまりとした結婚式であっても、貴族の集まりに変わりはない。

そのうちの誰かがルリナやファルカに近づこうとするかもしれなかった。

そのことを指摘され、泣く泣く招待するのをあきらめたのだ。


「今日は招待してくれてありがとう。

 実は二人にお願いもあって。」


「エミリアが俺たちにお願い?めずらしいな。どうした?」


「うん、私がというか、私たちのお願い?

 うちにエミーレ様の図書室があるの覚えているよね?」


「もちろん!忘れるわけないじゃない!」


「あの図書室、私が生まれた半年後から12歳まで閉じていたの。

 お祖父さまが封印したって聞いているけど、それにはちゃんと理由があったの。」


「封印した理由?」


「…定期的に魔力を与えないと維持できないんだって。

 誰かがあの図書室に入って、魔術書を読まないと…

 すべての魔術書が逃げてしまうそうなの。」


「「ええ??」」


お父様に聞くまで知らなかったけれど、そうらしい。

だから私が大きくなって魔術書を読むと言い出すまで封印していたのだという。

封印している間は眠っている状態らしく、魔術書が逃げることは無いそうだけど…。


「実は…俺たち、しばらくジンガ国に行こうと思っているんだ。」


「「え!」」


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