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【書籍化】神の審判でやり直しさせられています  作者: gacchi(がっち)


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127/158

127.危機

「あ、来たわ。」


ビクトリア様が令嬢を何人か引き連れて広間に入ってくる。

すっきりとした形の緑色のドレス。両肩が出ている大胆なもので、

長身で細身のビクトリア様の魅力を良く引き出している。

金色の髪は片側にまとめ、緩い縦巻きにして流してあった。


そのビクトリア様がライニードを見つけ近づいていく。

優雅に微笑んでいるが、どこか敵対しているような雰囲気もある。

…ビクトリア様はライニードに惚れているわけではなさそうだ。


「ねぇ、ビクトリア様のライニードを見る目がちょっとおかしくない?」


「少なくとも友好的には見えないよな…?」


「だよねぇ。」


婚約を申し込んで断られたことで腹が立っているのかもしれない。

もしかして、その八つ当たりでエリザベスたちに何かしようとしている?

今もライニードに話しかけてはいるが、腕を組んでいて挑発的に見える。

それに対してライニードはいつも通りのんびりと応えているようで、

それがよけいにイラつかせているように見えた。

後ろの令嬢たちも口をはさめず、ただじっと二人の会話を聞いているだけだった。

…あれ。令嬢たち、だけ?


「…ビクトリア様の取り巻きって、令息のほうが多かったわよね?」


「そのはずだが、一人もいないな。

 …もしかしてもう動いているのか?」


「ライニードも心配ではあるけど、どうしよう。」


ライニードとビクトリア様の周りにはたくさんの人がいる。

この場で何かするとは思えない。

むしろ、この場にいない二人のほうが心配になった。


動くべきか悩んでいるとすぐ後ろから女性の声が聞こえた。


「休憩室付近で何か起きたようです。」


人の気配はなかったはずなのにと驚いて振り向くと、そこには誰もいなかった。


「レイニード、今の?」


「リグレッド魔術師長の監視からの連絡かもしれない。

 行ってみよう!」


そっとその場を離れ、広間から外に出る。

まだ夜会の中盤に差し掛かったところで、休憩室に行く人は少ない。

この先の廊下を曲がったら休憩室というところで、一人の令息がいるのに気が付いた。

きょろきょろと辺りを見渡して、何か焦っているように見える。


茶色の髪と目…知らない令息なはずだけど、見たことのある令息?

あれはもしかして!レイニードも気が付いたようで、令息に声をかけた。


「もしかしてジルレッド王子ですか?

 ジングラッド先輩の魔術師科の後輩でレイニードと申します。」


「ああ!兄さんから聞いている!

 どうしよう!俺、見てしまって!」


ジングラッド先輩と同じ顔だが、幼い感じの声だった。

まだ貴族科二年、16歳になったばかりなはず。

卒業したジングラッド先輩と比べて幼く感じるのも無理はない。


「何かあったのですか?」


「令嬢が二人、令息たちに連れていかれたんだ!別々のほうに!

 一人はこの奥の休憩室に。ジュリアって令嬢だ。

 もう一人は途中で手を振りほどいて逃げたけど、追いかけられてた。

 エリザベスって伯爵家の令嬢!

 俺が直接助けに行くわけにもいかなくて、でもこの辺に護衛騎士がいないんだ。

 誰に助けを求めたらいいのかわからなくて!」


「…っ!わかりました!

 とりあえず、ジュリアのほうはどこの部屋かわかりますか!?」


「入って左、奥から二番目の部屋!

 令息三人に引きずられていったんだ!」


「わかりました!

 私たちで救出に行きます。

 王子は護衛騎士か女官を探してもらえますか!?」


「わかった!」


急がなければ!

もう部屋に連れて行かれたのなら、止めてもいいはず。

そう思ってレイニードを見ると、確認するから少し待ってと言われる。

部屋の前でレイニードが中の気配を探ると、眉をひそめる。


「…中に入ったら俺が令息を拘束する。

 その間、エミリアはジュリアのほうに助けに行って。」


「わかった!」

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