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【書籍化】神の審判でやり直しさせられています  作者: gacchi(がっち)


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100.お茶会の誘い

「え?お茶会を?」


「ああ、そうだ。ライニードからの情報だから確かだ。

 ジョージア様も許可を出した。

 ビクトリア王女の主催で中庭でするそうだ。」


「お茶会はいいけど…どうして今の時期に中庭で?」


王宮の中庭でのお茶会自体はめずらしいことではないが、時期が違う。

薔薇が見ごろな時期はとうに過ぎているし、まだ外は暑さも厳しい。


ビクトリア様主催のお茶会というのも、どうして今ごろになって。

学園に入学する前に令嬢たちを顔合わせするというのならわかるのだが…。

もうすでに入学して半年が過ぎようとしていた。


アヤヒメ様とジングラッド先輩からの情報だと、

貴族科の一学年は相変わらず三つ巴の状態が続いているという。


ただ二か月後にある夜会を前に少し状況が変わってきているそうだ。

王宮で行われる夜会は年四回あるが、

全貴族が集まるのは新年を祝う夜会の時だけで、

残りの三回のうち二回は貴族当主たちの集まりになっている。

二か月後にある収穫を祝う夜会は当主以外の貴族も出席するが、

出席は自由で伯爵家以上の集まりになっている。



次の夜会には伯爵家のエリザベスは出席する可能性が高い。

15歳になっても一年は夜会に出席しない予定のビクトリア様は、

この夜会にも出席することは無いだろう。

男爵家のジュリアはこの夜会には身分が足りず出席することができない。

やり直し前の夜会では出席していたそうだが、

それは第二王子のパートナーとして来ていた。

フレデリック様が留学されている今は出席することはないだろう。


三つ巴の中でただ一人エリザベスだけ夜会に出席する。

出席は自由だとしてもジョージア様は当然出られるだろうし、

その側近であるライニードももちろん出ることになる。

貴族科内でも学年が違えばなかなか会うことは無いそうなので、

この夜会で何か動きがあるだろうという話だった。


その夜会の一月前にビクトリア様主催のお茶会を開くというのだから…。

何か考えがあってのことだとは思うのだけど、

ジョージア様まで認めていると言うのはどういうことなんだろう。


「ビクトリア王女に婚約者がいないのは仕方ないことだが、

 それ以前に高位貴族の令嬢と知り合いになってもいないのは問題だと。

 降嫁するにしても知り合いもいない状態では無理ではないかと…。

 そうビクトリア王女から言われたらしい。」


「それは確かに…。」


やり直し前は入学前のお茶会も行われたし、

お気に入りの令嬢たちを呼んでは度々お茶会を開いていたはず。

それが悪評がひどいためにビクトリア様は離宮へと行かされ、結果、一度もお茶会を開くことなく学園に入学してしまった。


ビクトリア様と同じ学年には高位貴族の令嬢はいない。

ジョージア様の婚約者であるリリーナ様とはお会いになっているとは思うが、

隣国に嫁ぐ可能性が少なくなってしまったのに、

この国の高位貴族令嬢と顔合わせすらしていないという状況は確かにまずい。


ビクトリア様のお相手となる令息としても、

社交界から締め出されているような王女を娶りたくはないだろう。

そういう意味ではビクトリア様のお茶会を開きたいという話も納得できる。


だけど…この暑さが厳しい今の時期に中庭で…?


「場所などはビクトリア様の希望なの?」


「多分ね。ジョージア様もそこまでは指示しないだろう。

 お茶会だし、ビクトリア王女に任せているみたいだ。

 今回は学園に通ってる公爵家と侯爵家の令嬢のみ。

 もちろんエミリアは招待されるだろう。

 …どうやらアヤヒメ先輩も招待するという話だけど…。」


「初めてのお茶会でジンガ国の王女をお呼びするの?

 それって大丈夫なのかしら。」


「うん。ライニードもそれを心配していたみたいだ。

 だから、何かあったら頼むってエミリアに…。」


「…頼まれてもどうしていいかわからないけれど…。」


外交問題になりかねないことを頼まれても自信はない。

いくらアヤヒメ先輩と仲が良いと言っても、

だからビクトリア様の無礼を許してほしいということは言えない。


「大丈夫、わかっているよ。

 ライニードだって無茶を言いたいわけじゃない。

 ビクトリア王女のサポートをしてほしいということじゃなくて、

 アヤヒメ先輩のそばにいてほしいんだって。」


「え?ビクトリア様が失礼なことをしないように見ててってことじゃないの?」


「王女相手に侯爵令嬢のエミリアができることなんて限られているだろう?

 何かあった時にアヤヒメ先輩に危害が加えられないように守ってほしいって。

 アヤヒメ先輩なら自分で守りそうだけど、

 この国の貴族がジンガ国の王女を守るって姿勢が大事なんだろう。」


「そういうことなら引き受けるけど…。

 何かありそうってライニードは思ってるってことなのね。」


「何も無いといいけど、俺も何かありそうだとは思ってるから。

 …ついていきたいところだけど、令息は参加できないらしい。

 一人で大丈夫か?」


「身を守るのは得意だから大丈夫よ。」


「くれぐれも…油断しないで。」


「わかったわ。」


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