表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

婚約破棄された令嬢が執事の俺の妻になった件について

作者: 白百合千里

俺はとある公爵家で働いている。

この公爵家は先代当主が王弟だったらしく、俺の主にも王族の血が流れているらしい。

そんな格式の高い主を持つ俺は幼い頃子爵だった我が家が色々あって取り潰しになり、何やかんや今に至るっていうわけだ。


「おいアルト!お嬢様がお前をお呼びだぞ!」

「わかった。すぐ行く!」


アルトって言うのは俺の名前だ。

昔は違う名前だったんだが、養子になる時前の名前を完全に捨てなきゃならなくてお嬢様に決めてもらったんだ!


「失礼します。お嬢様お呼びで『ねぇ聞いてよアルト!』お嬢様中に入るまで待ってくださいよ…」


この方が俺の主、アリス様だ。


「いいの!私とアルトしかいない時の約束は?」

「…はいはいお嬢。んで、今日は何があったんだ?今日はクラブ活動の日だったんだろう?」

「そうよ!クラブ活動だったの!なんでアルト先に帰っちゃうかな…」


俺とお嬢が通う学園はこの大陸1の有名な学園だ。

お嬢が通う普通科、俺が通う執事科の他に騎士科ってのがある。

普通科の生徒は週に1回クラブ活動に必ず参加しなければならないから俺は先に帰ってお嬢を迎える準備をしてたんだが…


「それがさ、マリアと一緒に文芸クラブの部室でお茶してたの。そしたらまたあの女と第2王子達が邪魔してきてさ!」


マリアって言うのはお嬢と1番仲の良い侯爵家のご令嬢だ。そしてこの国の第2王子の婚約時でもある。


「またマリアがあの女をいじめたとか言うのよ?ありえないわ!今日はずっと一緒にいたのに!それに私の他にもリリオーネ様やサラン様もいたんだよ?それをあのバカたちが…もうむしゃくしゃする!」

「はいはい、ほらお嬢お茶入ったからこれ飲めよ。それからこれ今回の新作できたから確認してくれ!」

「あれ?これもうできたの?パステルカラーのワンピース!色のバリエーションを増やしたからマリアとリリオーネ様にそしてサラン様に早速来てもらわないと!それから靴は…」


俺の主は公爵家の令嬢で、第2王子の婚約者の友人で、隣国の第1王女で我が国の第1王子の婚約者候補であるサラン様、この国の第1王女のリリオーネ様の友人である。









そして…

大の綺麗(びじん)好きだ!



事の発端は俺がお嬢に使える前、お嬢の執事を決める時

…あれは今から10年前だ。



父親がギャンブル狂で母親は愛人を連れ込んで金を使ってばかりで働かない両親がいた俺はいつも金欠だった。

食べるものはほとんど無く、いつ死ぬか分からない状態だった。

そんなある日、俺は週に1度ある教会での炊き出しを貰いに街に出かけた。

その時たまたま教会に来ていた人から公爵家が執事を募集している。

5歳のお嬢様と年が近い子どもで1から指導するから応募はどんなやつでもできるらしい。

そう聞いた俺は急いで家に帰り水浴びをして、持っている服で一番綺麗で動きやすそうな物に着替えて公爵家まで走った。



到着するとまだ選考が始まっていなかったみたいで中に案内された。

流石公爵家、家の中が金ピカ金だしとても広い。

案内された部屋には50人近くの子どもと付き添いらしい親が数人いた。

部屋に入るとじろじろ見られたが俺を知っていそうな人はいなかったから端の方でこじんまりと座っていた。

そこに何人か男の子が来て俺を見てニヤニヤしながら話しかけてきたが、家で母親と愛人の邪魔をした時(俺が風邪をひいて愛人を連れ込めなかった時)よりマシだと思い無視をしていた。

無視をしてから数分も経たないうちに入ってきた時とは違う扉が開いてメイドに並ぶように指示され俺は2列中2列目の1番右端にたっていた。


「我が娘のために集まってくれてどうもありがとう。こちらが我が娘のアリスだ。娘が納得いくような者を見つけたいのでな…」


すごく可愛い子だ…


「おとうさま、はなしがながいです」

「すまないね、アリス。さぁこの中から1人かな?今日決められなかったらまた呼べばいいしね。とりあえず候補でもいい。気にいる子を見つけなさい」

「はい」


お嬢様が一人一人顔を見ていくけど誰の前でも止まらなかった。


…俺以外では


「…おとうさま、きめました。かれにします」

「そうか、じゃあ『納得いきませんわ!』ん?どなたかな?」

「私なんとか男爵の(なんて言ってたか忘れた)でございますわ。なぜうちの息子では無くてあの子なんですの?」


ただの男爵夫人が公爵に文句を言ってる。あの人命知らずか?


「うちの娘が決めたわけだし…」

「失礼ながらあの子のうちは父親はギャンブルに母親は愛人にとあの子の教育はなっていません!それに比べうちの子は…」

「だってかれがいちばんかおがきれいだもん」

「はいっ?」

「あなたのこどもはじゃがいもみたいなかおをしているから。わたしきれいなものがいちばんすきなの」

「なっなっなっ」

「あなたはりんごみたいにまっかですね」


えっと…俺顔で選ばれたの?


「うちの娘の執事は彼に決まりだ。セバス他のものにはお帰り頂くように。あぁ君はそこで待っててくれ」


え?俺執事になれんの?


「さぁ、お茶を用意致しましたわ。どうぞお座りになって?」

「…すごく綺麗な人が来た」

「ふふ、あらあら」

「私の妻を口説くなんて君中々やるね」


あれ?俺口に出てた?


「…君のことは知っているんだ。マニッシュ子爵の子だね。まさかアリスの執事になりに来るなんて思ってもいなかったよ」

「…公爵家の執事になればお腹いっぱいご飯貰えると思ったんです」

「こんなに小さい子が…」

「アイリーン泣かないでくれ…子爵の件は私に任せてくれ。まず君にはうちに住み込みで執事見習いとして働いてもらう。その為に1つ条件がある」

「俺、何でもやります!」


本で読んだんだ。

異国では働かざるもの食うべからずって言うって!

それなら俺の両親も飯食えないはずなんだけどな…


「…そうか。…君にやってもらいたいことはセドリックの養子になってもらう」

「へっ?」

「妻のアイリーン付きの執事夫妻にはね子どもが出来なくてね…養子を取ろうって話をしていたらしい。そこでだ!うちのアリスの執事になるには完璧になってもらわなければならない。セドリックの側にいればいつでも教えて貰えるしね!」

「俺その人達が俺で良いって言ってくれるなら養子になります!」

「そうかそうか!」


その後セドリック…父さん達は俺の事を気に入ってくれて養子にしてくれることが決まった。

でも養子になるためにはあいつらの許可を取らなければならないし執事になるにもあいつらの許可がいる。

公爵様はあいつらに全部話したら養子にはやらないが執事にはならせてやるから金をよこせとか言い出したらしく…

(俺の両親も命知らずだった)


それに怒った奥様が従兄弟(現王様)に話して取り潰すと脅して手切れ金とともに俺は養子になった。

ただし大人になってから家を頼らないように名前を全部捨てろっていう条件付きで。

そんなんで離れられるなら捨ててやるって言って俺は養子になった。


「わたしがなまえをきめてあげる!いいでしょ?あなたのなまえはアル…アルトよ!おじいさまにきいたの!アルトーチェっていうかみさまはしあわせにしてくれるんだって!わたしアルトにあえてしあわせだからアルトなの!」

「はいっ!はい!俺の名前はアルトです!」


あの時から俺はお嬢に使えているが…まぁ顔が綺麗で良かったよ。

俺はクソ女と愛人の子らしいから…愛人の方に似たらしくて…本当に顔が綺麗で良かった。

受かってなかったら今頃どうなっていたか…


「ちょっとアルト!話聞いてるの?」

「はいはい聞いてますよ…今週末サロンでお茶会をする時に新作のワンピースをご用意すればいいんでしょう?」

「それから学期末のパーティに着ていくドレスも見たいから!お父様に選んで貰ったらゲームの通りになっちゃうもん!」

「…だからそのゲームってのはなんなんだ……サロンは貸し切りにしてありますよ」

「ゲームはゲームなの!それより流石私のアルト!今日も顔が良い」

「顔は関係無いでしょ!…お嬢はいつまで経っても変わんないな」

「へっ」


それでいいんです。俺の主は




 


―――――――――――――

週末になり、約束の時間より1時間早くサロンに着いた。


「お待ちしておりましたオーナー」

「出迎えありがとう。今日は助かりましたわ」

「いえ!オーナーのためなら何なりと!」


そうこのサロンのオーナーは何とお嬢なのだ。

昔第1王子の誕生日パーティに行く時、旦那様が何人ものデザイナーを呼んでお嬢様が気に入ったデザイナーを公爵家お抱えにした。

その時美人が好きなお嬢は美人を着飾るためにデザイナー…パスカル夫人と手を組みこのサロンを立ち上げた。

1階は平民でも買えるようなリーズナブルを売りにした誰でも入れるブティックに。

2階はお嬢が招待した人のみ、つまり美人のみが入ることの許されたサロンになっている。

ここに入るにはお嬢の許可が必要なためお嬢が共に連れてきた人以外は入れない。


(例えばお嬢がA嬢と一緒にサロンにきて入店することは可能だがA嬢がB嬢を連れてきてもA嬢は入店できるがB嬢は入店できない仕組みとなっている)


つまりこのサロンに入店することは貴族令嬢たちの間では一種のステータスとなっているのだ。


「お嬢、私は御三方をお迎えする準備をしてきます。パスカル夫人少しの間お嬢をよろしくお願い致します。」

「かしこまりましたアルトさま。オーナーこちらにどうぞ」

「アルトそちらは頼みましたよ。あ、それからテーブルは長方形にしてくださる?椅子は5つお願いね?」

「?はい、かしこまりました」


いつもは丸いテーブルに椅子が4つなんだけどな?長方形で椅子5つってなんでだ?

まぁお嬢の言うとうりにしないとって言うことでフィッティングルームの隣の部屋に用意した。


「アルト様御三方が到着したようです。」

「分かりました、私がお出迎えしますのでお嬢様に伝えて下さい。」

「かしこまりました」


思ったより早い到着だな。

予定より早めに来ておいて良かった


「リリオーネ様、サラン様、マリア様ようこそおいで下さいました。お嬢様の元まで案内させて頂きますね。こちらにどうぞ」

「ありがとうございますアルト様」

「マリア様アルトとお呼びください。私は執事なのですから」

「…あのえっとその」

「アルト、マリアは年が近い殿方を呼び捨てできないくらい純情なのよ」

「…これは失礼致しました」


でも俺の方が身分が下なんだよ?

え、俺貴族に不敬で捕まる?

え、それは勘弁


ドアを叩くと中からお嬢の声が聞こえてきた


「お嬢様お連れ致しました」

「皆様ようこそいらっしゃいました」

「こちらこそ呼んでいただけて嬉しいですわ!」

「アルトーチェ・アリスイのサロンですもの!いつ来ても幸せになりますわ」

「ありがとうございます。今回新作をご用意致しましたの。それと…以前言っていたパステルカラーのワンピースの新作が出来まして…皆様にぜひ着て頂きたくて…あのプレゼントしたいんですが受け取って頂けますか?」

「そんなプレゼントなんて!私買いますわよ!」

「私も!買います!」

「いえ!お金は頂きませんわ!私たちの友情の証としてプレゼントさせて頂きたいのです!」

「でも…パステルカラー」


話が長い…これでは一生終わらなそうだな



「では、こういったのはどうでしょう?」

「アルト?」

「隣にあるコスメブティックに新作ができたそうで」

「まあ!とても気になりますわ!」

「そこで新作のワンピースを着ていただくのはどうでしょう?皆様はこの国の花でございます。我がサロンの商品を着ていただいたらこの上なく噂になります。評判が良ければブティックの方にも生地を変えて出品したいとお嬢様が仰っていらっしゃいましたし…よろしければお嬢様をお助け頂けないでしょうか?」

「アルト様に言われたら断れませんわね。皆様もそれで宜しくて?」

「ええ!」

「皆様とお揃いのワンピースを着てお出かけできるなんて!私幸せですわ!」

「まぁ、マリア様ったら!」


これで何とかなっただろう。

そしたら俺はここらで失礼しようかな


「お嬢様私は一旦失礼致します。何か御用がありましたお呼びください」

「ええ、ありがとうアルト」

「あっ、、あのアルト様!」

「どうかなさいましたかマリア様?」

「じっ、実は私クッキーを焼いてきましたの。それであの」

「今回もお茶の時間にお出ししてよろしいでしょうか?」

「えっ、ええ!よろしくお願いいたします!」

「かしこまりました。いつもありがとうございます」


マリア様はお嬢がお茶会を開く度にお菓子を作ってきてくれるし、普通科でのクラブ活動の時もお嬢達にお茶を入れてくれるらしい。

なんてできたご令嬢なんだろう


部屋を出てお嬢が書類を見る前に不備がないか最終チェックをしているところで従業員に呼ばれた。

何でも下で騒いでいる客がいるらしい

幸いお嬢がいるが友人と仲良くしている所を邪魔したくない

仕方ない俺が出るか


「俺はこの国の第2王子だぞ!言うことを聞かないか!」

「そうよ!アスラン様は偉いのよ!」


下に向かってる途中で例の迷惑令嬢…嫌ただの迷惑客どもがいた


「何事ですかお客様」

「お前は確かマリアの取り巻きの令嬢の執事だな!おいこれはどう言うことだ!何故エリーゼがこのサロンに入れないのだ!」

「…このサロンは我が主、アリス・シュタイン公爵令嬢がオーナーでございます。そのためオーナーが許可したもの以外を勝手に入れる訳にはまいりません」

「この無礼者この俺を誰だと思っている」

「我が国の第2王子様ですね。現在この国の第1王女リリオーネ様がオーナーと一緒にサロンにいらっしゃいます。第2王子様…この意味は分かりますね。どうぞお引取りを」

「リリオーネが…チッ」


リリオーネ様は正妃の娘で第2王子は側妃の息子

つまりリリオーネ様には勝てない


「エリーゼ帰ろう。こんなチンケな店よりもっと豪華で素晴らしい店で買ってあげるよ」

「アスラン様ありがとうございます!」


帰ってくれたのは嬉しいな…にしても疲れた…


「あら?アルト誰かいらしてたの?」


準備が終わったお嬢達が降りてきたみたいだ


「いいえ、お嬢様。人手が足りなかったらしく代わりに接客をしていただけですよ。にしてもさすがこの国の花の方々ですね。新作のワンピース良くお似合いです」

「でしょう!見てアルト!マリア様ライトグリーンがとてもよくお似合いじゃない?」

「ええ、とても良くお似合いです。先程着ていたホワイトのレースもお似合いでしたが今来ているライトグリーンのワンピースも華奢なマリア様にとても良くお似合いです」

「ピャッ、あ、あ、ありがとうございます」


マリア様が顔真っ赤になっちゃったけど暑かったか?


「本当にアルトは罪な男ね?」

「クスクス、そうね。ほらみんな行きましょう」


笑われた理由が分からないけどお嬢が行くので荷物持ちとしてついて行く


その後隣のコスメブティックで買い物をし、お茶することになった。

何故か俺がマリア様の隣でお茶することになったがそこは割愛する。

まぁ2人で楽しくお喋りしましたよ。

何をそんなにニヤニヤして見てるんですかお嬢?






ーーーーーーーーーーーーー

なんやかんやあり、とうとう学期末のパーティー当日となった。

執事科の俺はお嬢達より先に会場入りし、警備の騎士科の生徒と連携を取りながら会場準備に取りかかった。

マジで疲れたが準備も無事終わり、続々と普通科の生徒が会場入りする中事件が起こった。

まぁ誰がやらかしたのかは想像つくだろう…




まず会場入りについて説明しよう。

普通科の生徒でも平民がいるため会場入りの順番が違う。

平民の生徒が会場入りし、男爵、子爵、伯爵の生徒が会場入りをする。

次に国王様と正妃様が同時に会場入り次に第1王子、第1王女、第2王子と婚約者、公爵と侯爵の生徒が会場入りする予定だったのだがあのバカ第2王子がやらかしたのだ。


通常婚約者であるマリア様と共に入るのだが噂のエリーゼという男爵家の令嬢を連れている。



「これは一体どういうことだ」


国王様がバカ王子に問いかけるがニヤニヤしているだけ


「落ち着いて下さい父上、まだ会場入りしていない者もいるのですから。ほら次の者を入れろ」

「…続いては」



結局マリア様は1人で会場入りしていた。



「アスランこれは一体どういうことだ」

「父上、これは僕の未来いえ、この国の為なんです」

「1から説明しろ」


説明の内容はこうだった

マリア様が第1王子と浮気しているのをエリーゼが見た

マリア様に裏切られて悲しんでいる時にエリーゼが慰めた

そして恋に落ちた

そんなエリーゼをマリア様そしてその取り巻き達がいじめた

それが許せなかったからマリア様じゃなくてエリーゼと会場入りした


…意味わからん


「そんな訳で弟の婚約者に手をつける兄上と、僕がいながら不貞行為を働いたマリア、そしてエリーゼをいじめたマリアの取り巻き達に罰をお与え下さい」

「はぁ…」


あ、王様頭抱えちゃってる


「アスラン…この馬鹿者が!貴様一体何を見てきたのだ」

「しかし父上!マリアは兄上と不貞行為をしていたのですよ!エリーゼとそれに母上も見たと言っています!」

「…この1年間ライオネルは隣国に留学していたのだぞ…それにマリア嬢はココ最近王室どころか王宮にも来ていない。そんな記録はどこにもないぞ!あったらこの私が声をかけないはずがない」

「えっ」


確かにここ1年はお嬢が休みの度マリア様を誘っていたな…

ニコニコしながらずっと可愛い可愛い言ってたな…

アイフォン?スマホ?が欲しいって言ってたけど何だそれ?

まあいつもの如くはぐらかしてはいたが…

まぁそれは置いといて凄く殺気を放っている人がいるが…


「あの女狐め…ライオネルを陥れようとするとはね…」


うっわ、王妃様しちゃいけない顔してる…

確かに正妃と側妃の不仲は国中に知れ渡ってるもんな…

確かどっかの国の王女だった側妃が国を攻められたくなければ自分を王妃にしろって脅迫したんだっけ?

んでそのうち王に興味がなくなってそこら辺の男を愛人にしたって噂だ



「どうしますか貴方?私が手を下しても?」

「君がやったら大変なことになるだろう…」

「あら、残念」


優雅に笑う王妃様だけどなんか怖い



「皆に告ぐ、第2王子アスランを廃嫡とし、側妃アメリアと共に王宮から追放する。尚辺境にある塔で生涯幽閉してもらう。また男爵家は国外追放とし我が国に足を入れることを禁止とする」



皆が呆然としている間になんか終わっちゃった…

え、呆気な…


「マリア!!」

「お父様?…っ」


え、何でマリア様が叩かれるわけ?


「第2王子様の心を射止めきれなかったお前が悪い!お前は私の娘ではない!」


ルーベンス侯爵は第2王子派閥ってのは本当だったのか


「ルーベンス侯爵!これはどういうことだ!」

「我らが王よ、この件に関しての書類は後日王宮にお持ちします」


あ、侯爵出ていった…


「…はぁ。済まないマリアよ…」

「いえ、大丈夫です。こうなるのは前々からわかっていました。…私はこれから貴族の身分を捨てて生きます。」

「マリア様…」


何て強い人なんだ…


「でっですから、その…私が好いた人と…あの結婚しても大丈夫ですもんね!」

「ああ、確かにそうだが…マリア君に好きな人がいたとはな…一体どこの誰だい?私が口添えしてあげよう」



王様の口添え=結ばれるのは確定だな

まぁ、マリア様は美しいし相手のやつは誇らしいだろうな


「私が好きなのはアルト様です!」


へぇ、俺と同じ名前の貴族様がいたのか


「ほらアルト呼ばれてるわよ?」

「…?誰がですかお嬢様?」

「だから貴方よアルト!」

「俺は貴族じゃ無いですよ?」

「いいから行きなさい!」


ドンと押されてマリア様の隣に立っちまった

やべぇ本当の相手に怒られるぞ…


「あっ、あの…私あの、ずっとアルト様のことお慕いしてますたっ…何で今噛むの…」

「えっ、マリア様俺の事好きだったんですか!?全然気づきませんでした…」

「そっ、そんなぁ」


うっわなんか、(へこ)んでる…

ちょっと申し訳ないが…小動物みたいだな


「クスクス、マリア様。私は身分が違うマリア様をそういう目で見たことはございません」

「っ…でっですよね…」

「ですが…これから貴方を知っていけたらと思います」

「へっ」


今まで可愛らしい方とは思っていたが…こんなに可愛かっただろうか

まぁこれから知っていけばいいだろう

俺はきっとこの人を好きになる

そうと決まればやる事は決まってる


「私はアリス様の執事ですからね。まずはお嬢様と旦那様と奥様に許可貰いに行きましょうか」

「えっ、、あの、、アルト様」

「俺の妻になるということはアリス様にお仕えすることになりますからね。これから大変ですよ」

「はいっ!はい!私頑張ります!」



ってな訳でこの後パーティなんてする感じじゃなかったからお開きとなった。

置いてけぼりだった王様はマリア様が他の貴族に巻き込まれないように手を回してくれたようだ。


家に帰ってまず報告すると旦那様と奥様はマリア様のことは昔から知っていたみたいだったから許してくれた。

うちの父さんと母さんは俺が可愛い子を連れて帰ったもんだからびっくりしていた。

俺もこんな可愛い人と結婚しようなんて思ってもなかったよ…



皆も何となく気づいていると思うが1番喜んだのはお嬢だ。

なんてったってマリア様…マリアの顔はとても綺麗だからな



「でもゲームの通りになんなくて良かったわ」

「お嬢…そろそろ教えてくれないかそのゲームってやつを」

「…ん、良いわよ。但し誰にも言っちゃダメよ」

「へいへい」

「あのね、乙女ゲームってのがあって。その攻略対象には第1王子と第2王子、それから騎士団のどっかの団長とシークレットの4人のキャラクターがいてどのルートに行っても悪役令嬢はみんな死んでしまうの!それで1番攻略しやすい第2王子に行くとは思ってたけど…まさか本当に行くとは」

「…お嬢よくわかんねぇ…もっと分かりやすく説明してくれ…」

「良いのよアルトはわかんなくって!でも困った顔のアルトも良いわね!」



うちのお嬢は何があっても変わんねぇ…








ーーーーーーーーーーーーー

あれから何年たったのだろうか…

あの後留学が終わったライオネル第1王子はサラン様に一目惚れし婚約してサラン様が卒業してすぐ結婚した

リリオーネ様は騎士団の子爵家の三男の強さ(第2騎士団の団長)に惚れたらしく王族の身分を捨て子爵家の分家の1人として生活しているらしい。

王族の血を引いていると言っても身分を捨てたから王位継承権は持たない子供が生まれるらしい

うちのお嬢はと言うと…


「アリス様!何度言ったら分かるのですか!身重で走ってはなりません!」

「だって暇なんだもん!」

「落ち着けってお嬢。ほらマリアが身重でも大丈夫な紅茶とあとクッキー作ってくれたんだ。これでお茶してろ」

「流石私のアルト!今日も顔が良いわね!」

「それ旦那様の前で言うのは辞めろよ!俺いっつも睨まれてんだから」

「美形に睨まれると余計怖いって言うわよね…頑張れアルト!さぁマリアお茶に行くわよ!」

「はい!アリス様!」





結婚して第1子を妊娠中だ

相手は隣国の第1王子のカルスト様


馴れ初めは当時サラン様を迎えに来たカルスト様、基旦那様が親善会に参加された時だった。

仲の良いの友人としてサラン様がお嬢を紹介したのがきっかけだ


大陸一の美少年と噂されていた旦那様だったが、うちのお嬢は


「顔がいい、まぁアルトの次にだけどね」


なんて言って興味を持たれ、そのうちお嬢に惹かれた旦那様は秘密裏にお嬢と婚約したらしく卒業と同時に隣国に攫われて行った。

俺とマリアはお嬢の専属だったがお嫁に行ってしまったからお嬢の弟のホルン様の専属になるつもりだったが…


「助けて下さい!そちらのお嬢様がアルトとマリアを連れてこいと暴れていまして」


と隣国の王宮に助けに呼ばれてしまったのでお嬢専属としてマリア共々頑張っている

まぁあのジャジャ馬は並大抵の人間には使いこなせないだろう



「本当にゲームの通りにならなくてよかった!ゲームの通りになってたらこんなに幸せじゃなかったもん!」

「アリス様、私いつも気になっていたんですがゲームとは一体なんですか?」

「マリアは気にしなくていいの!にしても周りが美形だと心が洗われるわ…マリアとアルトが居ない時はどうしようかと思ったのよ…」

「そんなうちの奥さんは誰が1番好みなんだい?」


あっ、旦那様が来た

マリアがお茶を用意してる見たいだし俺は気づかれないように「顔の美人度で言うとアルト」

「あ?」


やっべ巻き込まれる


「でも好き度で言うとカルスト」

「俺の妻は世界一だ…」


ナイスだお嬢!

これで給料が下がることは無くなった!


「クスクス、顔に全部出てますよ貴方」

揶揄う(からかう)のはよしてくれマリア。そうだマリア君もお嬢みたいに俺の顔が美人とか言うのか?」

「…私は貴方の顔じゃなくて中身を好きになりましたから」

「…俺も奥さんには一生敵いませんよ」










俺の主が綺麗好きだったから俺にも綺麗な妻が出来ました

1/16

誤字報告ありがとうございます。

思ったより沢山誤字があったみたいですが自分では気づけませんでした…

直させて頂いたのでまた読んで頂けたら幸いです!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ