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高校生と騎士の異世界周遊記  作者: 来京
序章:旅立ち
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08.故郷はどこだ

 ウルカヌス公国からソフィアさんの屋敷へスザンナさんと一緒に帰ってきた。


 「屋敷について早々だがスザンナに一つ頼みごとがある」

 「…はい……なんですか?」

 「この男の故郷を占ってほしいのだ。できれば帰る道筋を提示してもらえると嬉しい。」

 「……わかりました。」


 そういうとスザンナさんは水晶玉を取り出し何やら唱え始めた。

 水晶玉が光りそれをスザンナさんはずっと見ている。多分水晶玉に何か映っているのだろう。ただ、スザンナさんは時間がたつほど眉間にしわを寄せていく。


 「………?……?…えっどこなの?」


 とても不安な言葉が聞こえたのだが


 「…すいません。…わかりませんでした。」


 スザンナさんがとても申し訳なさそうにつぶやく。


 「そんなに気にしなくても大丈夫だ。水晶に何も映らなかったのか?」

 「いえ、…映ったのですが、…見たことのない景色が広がっていて。」

 「どんな景色だったのだ?」

 「…城や宮殿より高い建物に人がたくさん住んでいて。」


 多分、マンションだな


 「…夜でも明るく。」


 電球だな


 「…手帳のようなものから光があふれ」


 スマホだな


 「…すいません。なんでもないです。」


 何見たんだ


 「…えっと、とにかく見たことないです。」

 「そうか…ありがとうご苦労だった。コウスケ、話があるから私の部屋に来い。今日はもう疲れただろう。スザンナは休んでくれ。」

「…わかりました。ソフィア様。」



 ***


 スザンナさんが自分の部屋に戻り、俺はソフィアさんの部屋へと向かった。


 「ソフィアさん。話って何です。」

 「非常に困ったことになった。占いによって少しは手掛かりがつかめると思ったが…。」 

 「まあ、途中から何となく、わからなかったのかなとは思ってました。」

 「そこで話は変わるんだが一緒に故郷を探さないか?」


 提案はものすごく嬉しかった。ただ


 「提案はものすごくうれしいです。でも、いいんですか?大丈夫なんです?そんな」


 俺の言葉は途中で遮られる。


 「大丈夫だ。私も、世界を回る任務がある。もしコウスケが良ければだが一緒に旅に出ないか?」

 「その任務って何です?」

 「心臓の時計台を探す事だ。スザンナも同行する。」


 心臓の時計台?なんだそれ?


 「あのすいません心臓の時計台って何ですか?」


 ソフィアさんは驚いたような顔をしていた。



 ***


 あれから一週間がたった。説明を受け俺は、旅に同行することにした。まあ、ここでじっとしていても家には帰れないし。一週間の間、旅に出る準備のためソフィアさんに稽古をつけもらった。さらに今、スザンナさんの魔法講義を受けている


 「…このように魔法には火、水、空気、土の4属性に分かれています。人によって得意な属性がわかれていて、基本的に一人一つずつです。」

 「先生、質問いいですか。」

 「何でしょう?」

 「俺の属性は何なんですか?」


 「今から調べますね。」


 そういうとまた例の水晶を取り出し俺の手を上に置くように促した。


 「…空気ですね。」


 空気か何に使えるんだろ?


 「…空気属性は、魔法の属性の中で最も多くの人が有しています。主に風を起こしたりすることで相手の妨害を主目的としますが、突風で自らを加速させたりすることもできます。こんな感じで…。」


 するとスザンナさんは窓を開けて風を放って見せた。暴風のような音を発し庭の木々を揺らした。確かにこんな風だったら自分の体も吹き飛ばされる。


 「すごいですね。これ。」

 「…コウスケ君の魔力量だとこれくらいの力になると思います。簡単な方法でできると思うので、明日からやってみましょう。」


 

 「先生。もう一つ質問いいですか。」

 「いいですよ。」

 「先生の属性は何なんですか?」


 スザンナさんはすごく小さな声で言う。


 「…私は、すべての属性の魔法が使えます。」


 チートがいた。



 講義が終われば次は稽古だ。


 「お前の武器はこれにした。武器を使う中でこれが一番使いこなせているように感じた。前言っていたリクジョウブとやらで使っていたのか?」


 そういうとソフィアさんから棍棒を渡された。小中と野球やってたから振り回すのは得意なんだけど人に向けるとなるとなんだか気が引ける。


 「使ってませんでしたよ。棍棒は。では今日も修行お願いします。」

 「今日は手加減しないぞ。思い切って来い!」


 10分後、傷だらけになりスザンナさんに回復魔法をかけてもらうことを俺はまだ知らない。



 ***



 遂に旅立ちの時がやってきた。朝日が少し顔を出したとき、赤い光を全身に浴び、出発を迎える。準備は万端、行先はソフィアさんに決めてもらう。


 「今日から、心臓の時計台を探しに旅に出る。お前ら忘れ物はないか。」


 大きな荷物を持ったソフィアさんが俺たちに尋ねる。


 「…大丈夫です。…杖も忘れてません。」

 「大丈夫です。棍棒も持ちました。

 「よし、では出立するまず行き先はグライフ教皇領の首都グリフィスだ。」

 

 かくして、前途多難であろう旅が始まった。

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