12.叡智の塔
俺たちは、叡智の塔へ向かう道中にいた。
途中、不思議に思っていることがあったのでソフィアさんに聞いてみる。
「叡智の塔って何です?」
「叡智の塔というのは、塔の魔女が住んでいると言われている世界で最も高い建物だ。」
「塔の魔女?」
「そうか、まずコウスケには、魔女から説明する必要があるな。」
「魔女というものは人知の及ばないレベルで魔力が高い者達の総称だ。その強大な魔力は年々膨張しているとさえ言われている。なかには、人への被害が確認されている者もいる。」
「塔の魔女は大丈夫なんですか?」
「安心しろ、塔の魔女による被害は今のところ確認されていない。」
「人への被害をもたらす魔女ってどんなものなんですか?」
「そうだな…代表的なものとして薔薇の魔女や氷結の魔女がいるな。」
関わりたくないなその二人には。
「・・・ところでみなさん、もうすぐ叡智の塔の麓の村に着きますよ。」
叡智の塔、伝承によると、かつて世界で一番の賢者がいたためこのように名付けられたらしい。
今では、塔の魔女が住んでいる塔として有名だ。
「叡智の塔は、塔の魔女が作り出したダンジョンといっても言い。前情報がない状態でダンジョンに挑む事は危険極まりない。だから今日はこの村に一泊して、村の人からどのようなダンジョンなのか情報収集を行う。コウスケやスザンナにも協力してほしい。」
「わかりました。ソフィアさん。」
「……了解です。」
「それでは解散だ。各自情報収集にいそしんでくれ、日が暮れたらこの宿屋に集まろう。」
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日が暮れ俺たちは、宿屋へ戻り今日の成果を報告しあっていた。
「まずは、俺から、叡智の塔は”試練”って呼ばれるものがあるらしいです。」
「そうか、何なんだろうなその試練というのは。」
「残念ですけど、そこまでは聞けませんでした。」
「いやそれが聞けただけでも満足だ。次は私から。」
「叡智の塔は、魔人が棲みついているらしい。今コウスケから聞いた情報を基にすると試練というものに魔人がかかわっているのではないだろうか。あと、塔の魔女は大賢者のように博識で何でも知っているという伝説があるそうだ。」
「…次は、私ですね。」
スザンナさんは泣きそうな顔をしている。
「……すみません…何も聞けませんでした。」
スザンナさんは軽く泣きながらそう報告した。
「大丈夫だスザンナ。人には向き不向きというものがある。」
ソフィアさんがフォローの言葉を書けると。スザンナさんは本格的に泣き出してしまった。