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e-Sportsは君と共に  作者: むじく
1章 始まりの時
15/22

始めての共同作業

「もうこんなに集まってるのか!?」


「あ、成瀬さん。おはようございますっ」


ゲーマージャム2日目の朝。

スケジュールにて設定された開始時間に間に合うよう準備してきたのだが、開始10分前にして会場は既に人で埋めつくされており、動き出しているチームも多く初めから置いて行かれたような感覚になってしまう。


人が集まって好きなことに全力で取り組むというのは自然とパワーを感じるものだ。


「もう成瀬さん以外みんな集まってますよ。さ、行きましょう!」


決して明人が遅刻したわけではないのだが、空見を見るに単純に楽しみだったのだろうなと思う。


「あ、来たわね。」


五鈴が最後のメンバー登場をチラ見したところで今日の流れを説明してくれる。


「どのチームもそうだけど、遊んで慣れてゲームを楽しめるレベルまでもっていくのが今日の目的かな。私たちも同じよ。空見さんと咲宮さんはまずチュートリアルからやってみましょうか。で、成瀬君は夕凪さんの指示を受けてね」


「わかった」


皆が同意し、明人たちのチームもまた開始時間関係なく動き始める。

テキパキ進める五鈴に改めて経験者の有難みを覚えつつ周りを見渡すと情報共有だろうか5人集まって打ち合わせしているところもあれば、支給されたヘッドセットのマイクで会話をするといった各チームの特色が垣間見える。


きっとそれに答えはなくて、色んな形があって良いということだろう。


「成瀬先輩」


横から話しかけてきた夕凪。そういえば指示をうけるのが明人のミッションだ。


「まずは普通に遊んでください、後はヘッドセットで会話します」


それだけ告げた夕凪は明人のPC画面に注目する。

明人としても久しぶりなので昔の感触を思い出すようにしてゲームを起動した。


『Legend Of Tanks』


同時接続数で世界ギネス記録を持つ世界的有名な対戦ゲーム。戦車戦の表現力は世界屈指で右にでるものはいないだろう。


三人称視点、迫力あるリスポーンなしのスタイルでe-Sports界隈でも人数を増やし続ける人気タイトルだ。

リアルタイムで進行するものの、個人の技量と同じほど綿密な意思疎通と連携が勝利のカギを握ると言われている。


「好きな戦車はありますか?」


突然の質問に驚きながら思案する明人。

ゲームを遊び始める理由は人それぞれだが明人としてはTPS、迫力のある演出、プレイ人数といったキーワードにつられたために戦車にも特に親しみがあるわけではないのだ。とはいっても遊びながら戦車選びをしていたのは事実で、


「うーん、単純に見た目で選んで使っていたのは..これだな」


「A-20ですか。快速ですしスマートなのが良いと思います」


「そ、そうか」


「はい。それに...」といいつつ食い入るようにして他車両との比較、弱点、強みを語ってくれる夕凪。


いつもより饒舌になっているのはやはりこのゲームに愛着があるからだろう。誰だって好きなものを話すときは楽しくなってしまうもの。

そして戦闘開始。建物が密集したマップで始まった。

その一角にある開けた場所を拠点として味方が移動を始める。


「プレイは好きにして問題ないか?」との質問に頷く夕凪を見てとりあえず一戦、戦ってみることに。


「──。」


以前何度かプレイをした経験はあるものの、そんなのはいくつ遊んだゲームの中の一つに過ぎない。

知っているのはいくつかのシステムが朧気に頭の中にあるだけ。

そんな明人の開始直後の動き方。それは


「動き方は分からないから近い系統の戦車見つけてストーカー。これに限る」


このゲームで重要なことは最後まで生き残ることだが、明人の使う軽快な戦車はダメージを受けやすい。

快速を活かして索敵しようにもどこに向かうのか効果的か分からないわけで。


それゆえにチームから離れての行動はなるべく避け、生存率を上げつつ味方の支援に回る作戦だ。与えるダメージこそ少ないが、足と視界の広さを持つ戦車が最後の局面まで生き残る重要度は経験の浅い明人でも理解しているつもりだった。


その作戦のお陰か、戦闘は難航することなく進行し、たまに夕凪から来るゲームテクニックへの質問に回答しつつ明人自身忘れていた知識を補完しながら何度か戦闘を繰り返した。


何度か一機も倒せず落ちる回もあったので、意外と忘れてるものだなと苦笑する明人。夕凪の合図でヘッドセットを外すと肩の力を抜くようにして椅子にもたれかかる。


「負けた...。でも段々思い出してきた気がする。ありがとな夕凪。」


「いえ、驚きました。成瀬先輩。」


夕凪が人を真っすぐ見つめているのは初めて見たかもしれない。それが良い意味だったら良かったのにと思いつつ自嘲気味に言う。


「下手過ぎたか」


「えっ!?違います逆です。えっと、逆というか下手ではないです」


「フォローになってるのかそれは」


夕凪は一度五鈴に報告することがあるとのことだったので暫し一人になると、チュートリアルが終わったらしい二人の声が飛び交うのが聞こえてきた。


「咲宮さん、これ面白いです!全部やられちゃいましたけど、相手を倒した時の気持ちよさ...たまりません」


「だねー。迫力あってあたしも好きかな。リスポーン出来ないっていうのは知ってたけど、実際やってみると凄い緊張する。」


「音が凄くリアルなんです!それに..」


それぞれが感じた体験を共有しあう。咲宮の言葉に空見が共感して盛り上がって。

ゲームを通じて誰かと知り合いになっていつの間にか仲良くなる。

そういう力がゲームにあるんだということを再認識出来る光景だ。


「あ、成瀬さんも休憩ですか」


空見の横で椅子にもたれかかっていたことに気づいたらしい。


「ああ、監視の目が取れたんだ」


「夕凪さんはそんなことしません。成瀬さんそんなこと言ってはダメですよ?」


さすがの空見の切り替えしに悪い、と断りつつ明人は話題を変える。


「ところで聞いてた感じ高評価みたいだな?兵器系が好きだって話は聞いたことがないから正直合うのか不安だったんだが」


「盗み聞きしてたんだ?」


「いや、たまたま聞こえてきたんだ。誓って他意はない」


ツーンとした態度の咲宮に勘違いされないよう答える。あの時以来から会話らしい会話をしていないので学校で会うときもこんな感じだ。


「はい、凄ーく面白いですこのゲーム。聞こえてくる音もリアルで本当にその世界に飛び込んだみたいです。」


なにより、と続けて


「英語でわからなかったんですがチャットが流れてて。協力して戦ってるんだなーって。そこまで連携出来ればもっと楽しいんだろうなって思いました」


「そっか。」


空見は力を合わせて戦うことに面白さを感じているのかもしれない。チーム戦なら全部そうだと言われればその通りなのだが、ゲームによってテンポや一戦辺りの時間、リスポーン有り無しのような要素1つ1つで自分との相性は大きく変わってくるものだ。


大まかにでも好きなジャンルが決まってしまえば自ずと自分に合うタイトルが見えてくるだろう。

そんなこんな話をしていると夕凪が五鈴を連れて再び明人たちの元へと戻って来る。そのまま明人の前まで来た五鈴は開口一番、


「さすがというべきかしらね、成瀬君」


いきなり褒められてしまう。ポカンと口を開けた明人をよそに、五鈴は理解できるよう結論に至った経緯をかいつまむ。


「確か経験値的に言えば150試合前後ほど、と言っていたわね?」


「それぐらいだったと思う。一旦離れてからは何カ月かに一度起動するかどうかぐらいだ」


確認としてはそれで充分だったらしく、なるほどね、と納得するように頷いてから


「あなたの常識が一般人離れしているってこと、私の間違いじゃなくて安心したわ」


常識とはどんな常識だろうか。ゲームを遊ぶのに常識なんてあるのか。というか間違っているのか俺は、と考えても思い当たる節はなく、質問にあったプレイ回数はやり込みにしては程遠い数字なので明人が気づく点はない。


成瀬君には分からないでしょうね、と言わんばかりの表情を浮かべると、


「あなた多分、10,20戦ぐらいから情報収集しながらプレイしてたでしょ」


「夕凪から聞かされた内容にため息すら出たわよ。経験で身につく技術、戦車毎の細かい知識が無いのは当然として、ネットで知ることができる戦術、テクニックは頭に入ってる。初心者から中級者までに必要な知識を調べてよくそこから辞めれたわね。逆に。そのまま続けていれば早い段階で高いレベルまで上がれたはずよ。」


「そうなんですか!?成瀬さん。信じられないです...」


空見に続いて咲宮まで信じられない、といった表情で明人を見つめる。

もはや何に驚いているのか分からず、明人は会話の主導権を握ろうとするものの、


「え?ちょっと待ってくれ。そんなにおかしなことか?空見ならどうする」


「そうですね...私なら100戦ぐらいは軽く一気にやります。うわーーってやります。最初は楽しいって感情でいっぱいなので、やりながら次はこうしよう、ああしようって感じでしょうか」


その答えに「うん」と頷いて見せた五鈴を見て、明人は負けまいと別回答を求めるようにして咲宮を視線を向ける。


「え?あたし?あたしは音ゲーメインで直感的なものが多いから序盤で調べたりすることはほとんどないかなー。譜面も遊びながら覚えるし。対戦ゲームは友達と通話しながらやるんだけど、ほとんどは友達との会話が楽しいからやるんだよね。ああでもない、こうでもないっていいながら。だから少し遊んで調べ倒す!っていうのはやらないかも」


なんだと...と驚愕の顔を浮かべた明人はもはや抜け殻のようになっていた。


明人のそれは一種の習慣みたいなものだろう。

既に先人たちが見つけた情報を取り込んでプレイに生かすことは上手くなるための第一歩。


それが明人の場合他の人よりも早かったというだけで。


「楽しみ方は人ぞれぞれってことよ。私としては明人の常識が間違ってるって言いたいわけじゃなくて、というかむしろ褒めに来たのにどうしてこうなるの」


この先が思いやられるわね、とでも言いたげな五鈴だが用件は別で、チームとして次のステップに入る。


「次はペアを組んで遊びながら慣れる方向で行きましょう。ペアは...」


淡々と流れを進める五鈴は大変頼りになる人物である。

しかし細かな事情まではカバーしきれるはずはない。


「五鈴さんちょっといい?ペアを組む利点ってあるのかなって」


「重要よ。短い期間でステップアップできるし、息が合えばそれなりに楽しいわ」


「...成瀬君とあたし」


「成瀬君とペアだと嫌かしら?それなら夕凪さんを充てるけど...」


「我慢します」


「...隣にいるんだよな、本人が」


「ま、悪態つけるなら問題ないわ。始めるタイミングは任せるから」


不満そうな表情を浮かべつつ成瀬が隣に座るまでに次の試合の準備を進める咲宮。


「よろしくな」


「ん」


今日初めて交わした簡素な挨拶は明人にとってこれ以上ないやりづらさではあるが、教える方が下手に距離を作るのは本末転倒である。

任された以上はしっかりやろうと決めた明人だった。


それぞれが配置についたところで、思い出したように五鈴が明人と夕凪を離れた場所へと呼び出す。


「教えると言ってもガチガチにプレイを教えるわけじゃないわ。そんなの明人には出来ないし、受ける方も嫌だと思う。ただ楽しみ方、所々でコツや有利になる要素を教えてあげればいいの。それを本人が動かして初めて経験となって、それが結果に結びつけば面白いと思うはずだから。お願いね」


正直どう教えるべきかと悩んでいたので、こういう形で言ってもらえると明人としても気が軽くなる。


「何の話だった?」


「とても有難い話だった、やるぞ」


両者ともにヘッドセットを装着し咲宮のゲーム画面を明人が見るという形だ。


「始めようにも最初からいくつか戦車が配られてて、うーんどれがいいかな」


その呟きがヘッドセットを通して明人の耳に伝う。咲宮の初見プレイを盗み見ているようで悪いことをしているようだが大義名分があるのでそこは問題ない。


ふと咲宮の方を見やると真剣な表情で画面に集中しているのがわかる。その横顔から伺える長いまつげに肩上で切りそろえられた髪がさらさらと揺れる。

近づいてみて気付くコロンのような優しい香りは圧倒的なセンスの良さを感じられた。


「うん、これに決めた!可愛いし速そうだし」


ハッと見とれていた視線を画面に戻し、咲宮のプレイを見やる。


咲宮が選択した戦車のランクはTier1、RPGで言うLv1と考えるとわかりやすいかもしれない。始まってすぐのプレイヤーはまずこのTier1戦車を乗りこなすところから物語は始まる。

動かす戦車自身も低いパラメータで設定されているため、初心者でも乗りこなしやすいよう設計がなされている。


「戦闘開始っと」


画面がマッチング状態を抜けて戦闘開始画面に切り替わる。この戦場で要求されるスキルは十字キーとクリックのみあれば十分だろう。


咲宮だけでなく他のプレイヤーも比較的同じ力量になるようマッチングがなされているので一方的に負けるということは基本的にない。


「とりあえず敵のいるところは..っと。発見した。少し遠いなー」


開始場所となる中央から移動して視界が広い左通路で敵とらえた咲宮は、射撃精度を上げるために一旦停止。安全のため遠くから敵を狙うことを選択したようだ。


「あれ?ごめん、成瀬君あのスコープのやつどうするんだっけ?」


「マウスホイールを引くんだ」


「お!出来た。ありがとね。これで倒せるかも...」


ぎこちない操作ではあるが実践を通して着実に戦い方を覚えていく。

このゲームは敵を狙う際2つの視界モードから選ぶことができる。


一つはTPSモード。自戦車を俯瞰して見ることで視界が広くとれる状態でこれは移動中に使うことが多い。


もう一つはスナイパーモードと言って砲手視点、いわばカメラのレンズを覗いている状態となりその倍率を調整しながら狙うというもの。

視界は狭まるが命中率は格段に上昇する。今咲宮が使ったのは後者だ。


「よっし、倒せた!向こうの人こっちに気づかなかったみたい」


咲宮の画面の撃破数マークが0から1へと切り替わる。最初のうちは一機倒すだけでも中々遠いのだが軽々とクリア出来たのは幸先が良い。

勢いそのままに敵陣に突っ込もうとした咲宮だが、前方遠くから複数の戦車が押し寄せてくるのが見える。


「やばっ...」


慌てて後退する咲宮だがそのままだと押し切られてしまう可能性が高い。


マップを見れば味方側の分布として咲宮のいる左半分は薄く、右半分に厚いといった形となっておりここで咲宮が粘ったとしてもフォローがなければ数の前では瞬殺されてしまうだろう。咲宮は逃げるでもなく、じりじりと追いつめられる一方だ。


「ちょっといいか」


「無理、返事する余裕ない」


「してんじゃねぇか...。方法は二つ、味方のところまで下がって支援を受けるか、その網を掻い潜って特攻するか、だ」


「攻めたい」


「じゃ一旦敵の視界が届かないところまで一気に後退だ、説明する」


素直に明人の言葉に従うまま返事の代わりに自戦車が出来る限りの速度で後退させる。

咲宮はその間集中力を切らさない。


「よし、合図したら今いる地点からもっと左。マップのギリギリまで一直線で突っきれ」


「わかった」


明人の合図で敵から十分離れた場所から90度直角に曲がりつつ次の指示を待つ咲宮。


「そこから左際を真っすぐ走ってさっきの敵をやり過ごす。正直今進んでる方向に複数的がいたらまずい、が居なければ奇襲になる」


まっすぐ進む戦車の速度が遅いことが逆に緊張を増幅させる。

動かす戦車の音と、右側から聞こえる爆撃音だけが鳴り響いていた。


「大丈夫そう...だな。敵味方半分程度は減ってるし守りは右に集中してる。攻めるなら今がチャンスだ」


「次は?」


「咲宮はどうしたい?敵陣を占領して勝つか、敵戦車を破壊するか、だな選ぶなら」


「今は勝ち負けより倒したい」


「なら、右下にいる味方が...」


五鈴に言われた指示を思い出し、出来る限り咲宮がやりたいように遊んでもらう。

あくまで明人は助力する立場。

何より大切なのは自ら遊んで面白さを知ってもらうことだ。


知識不足で中々出ない答えを直ぐにペアが対応することで純粋にゲームを楽しむ環境を作り、明人としても咲宮のプレイを俯瞰して全体を見ることで新たな発見も有る。

それに他人のサポートをして上手くプレイしてもらうことで何故か自分まで何かを成し遂げたように嬉しくなるのは明人自身不思議な感覚だった。


「成瀬君!」


上手く敵陣近くまで移動出来た咲宮が敵と真正面から遭遇、だが幸い1vs1。対応さえ間違えなければ勝てる戦いだ。


お互い睨みあっている状態でお互いに砲撃を繰り返す。咲宮の攻撃も当たっているものの敵の方が1枚上手らしく弱点を狙ってきているのでこのままだと不利になっていく一方だ。また隔離されている場所ならまだしもここは敵陣の傍。


敵側に援護でも来ようものなら数の差であっという間に倒されてしまうだろう。


「とりあえず前に動く。そのまま敵戦車の右側から入り込んで移動しながら戦う。止まっていたら的になるだけだ」


「わかった」


「この至近距離だとスナイパーモードは使えない。ターゲットカーソルを敵戦車に合わせて右クリック」


砲弾を受けながら咲宮の戦車は敵戦車の右肩口から器用に回り込み、多少合わせるのに苦労したものの右クリックによって自動照準が走る。


「これで勝手にロックオンが走るから何処を狙うかは気にしなくて良い。後は装填が終わったら即発射だ」


動きながら戦うことで敵の砲撃が外れ、不利だった体力差も段々と縮まる。だが


「まずい。合図したら急ブレーキ」


「え?」


「...今だ」


同時に発射音が聞こえ、その砲弾は何に当たることなく空を切り、その直後に聞こえた爆破音は咲宮が敵車両を倒したことを告げていた。

「おお...危なかった」と画面に向かって呆然とする咲宮に明人は苦笑いで状況を説明する。


「相手が咲宮の移動に慣れ始めてたんだ。そのまま移動し続けてたらやられてた」


「そっか。移動と攻撃に集中してて気づかなかったよ」


「おい、まだ終わってない...」


ヘッドセットを取った咲宮は気持ちよい運動をした直後のような晴れ晴れとした表情。


「勝てたー!」


「味方は勝ったな。咲宮はあの後速攻倒されたけど」


「もー。いいの、私の戦車がみんなの勝利に貢献したんだから」


その返事にフッと笑みを浮かべる上げる明人もヘッドセットを頭から取り外して一息ついた。


「でもすごいぞ咲宮。初めてで2機も倒すなんて。ああいうのは普通最初の敵を倒すのに苦労するんだ」


「でしょー?才能あるかもね」


「ああ、俺なんて5,6試合ぐらい誰も倒せなくて、思い出すなあの頃」


「えー。成瀬君下手すぎなんだけど」


「いいんだよ、最初はみな下手から始まるんだ。今では一応経験者だし」


「どうだろーねー?今の私ならビギナーズラックで勝てる気がする」


「ほら次行くぞ、とりあえずTier1繰り返して基本を叩き込む」


「はいはい、ちょっと待ってて」


咲宮は先ほどの戦いで調子を良くしたのか、再び同じ戦車を選択して新たな戦場に入っていく。


「どこが我慢する、よ。全然仲いいじゃない。心配して損した。」


そのやりとりを遠目で見つめ五鈴はどこか楽し気に呟いた。




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