善と悪
「きゃ―!助けて―!」
悲鳴をあげながら逃げる女の子!
「ポーテポテポテ!お前の手を油まみれにしてやるゾ~!ポーテポテポテ!」
変な動きをしながら女の子を追いかける怪人!
「ちょっと待ちなさいよ~♪」
「だ~れだ、きさま!」
声に振り返る怪人。
テレッテッテッテ~♪
「私の後ろに立たないで。0.5秒で地獄行き!
必殺技はカマカマ旋風脚!
色気ムンムン、オカマレッド♪」
シャキーン!
「蝶のように舞い、蜂のように刺す
必殺技はおっぱいパンチ!
おっぱいパフパフ、オカマブルー♪」
ボョ~ン!
「アナタはすでに死んでいる!
なぜならヒコウをついたのよ、ンフッ♪
必殺技は北斗チン拳!
筋肉ムキムキ、オカマピンク♪」
アタ―ッ!
「チョッチョッチョッチョッ!
待って待って待って待って!
必殺技はシドロモドロアタック!
身長バカデカ、オカマグリーン♪」
ズド―ン!
「そのままジッとしていてね。
アナタのハートを撃ち抜くわ♪
必殺技はロングレンジライフル!
遠方スナイプ、オカマイエロー♪」
ズキュ―ン!
「5人そろって!
オカマ戦隊、カマレンジャー♪」
オカマレッドが一歩前に出て言った。
「ちょっと!うすしおポテトマン!これ以上、人々の手を油まみれにさせないわよ
♪」
うすしおポテトマンが挑発的に言った。
「ポーテポテポテ。笑わせるぜ!お前みたいなオカマ野郎に、この俺様が倒せるワケ
ね~だろ!ポーテポテポテ!」
「言ったわね~!じゃあ行くわよ~!カマカマ旋風脚~!」
「あっ!パンツ見えた!」
「いやん♪」
「スキあり!」
ベタ~!
「いや~!手が油まみれになっちゃった~!」
オカマブルーが、倒れているオカマレッドをかばいながら言った。
「オカマレッド!しっかりするのよ♪こうなったら、あれいきましょう」
「それしか手は無さそうね。みんな!合体よ♪」
せ~つめいしよう!カマレンジャー5人がぁ~、合体する事によりぃ~、身長20m
のスーパースペシャルカマレンジャーグレートに変身するのだったぁ~!
「合体!」
シャキーン!
「スーパースペシャルカマレンジャーグレート見参!」
うすしおポテトマンは見上げながら叫んだ!
「きったね~ぞ!そんなにデカくなりやがって~!」
「うるさいわね!ごちゃごちゃ言ってないで、逝っちまいな!」
「成敗!」
「ぐわっ!」
か~くして、うすしおポテトマンはぁ~、スーパースペシャルカマレンジャーグレー
トにぃ~、踏みつぶされて逝っちまったのだったぁ~!
監督「カット!」
「はいお疲れさまでしたー。次!第7話『ギター怪人ホヘトマン!夜中に大声で歌
う!の巻』。セットチェンジしま~す!」
ボッサンはスタジオの隅で、撮影を見ながら呟いた。
「今はこんな戦隊ものがウケるんかね」
ボッサンは今、お台場のフジテレビに来ている。
スタジオ見学に来たのではなく、知り合いの番組プロデューサーに会いに来たのだ。
向こうから、セーターを肩に羽織って頭にサングラスを掛けた、時代遅れの格好の男
が歩いてきて声を掛けた。
「やあ、ボッサン。お久しぶ~り~ね~♪」
「かれこれ1年振りか?忙しそうだな」
「お陰様でね♪」
「今撮影してたやつ、お前のプロデュースなのか?『オカマ変態、噛まれんぞ~!』
だっけ?」
「『オカマ戦隊、カマレンジャー!』視聴率30%の大ヒットだよ」
伊呂波 剛。今や飛ぶ鳥も落とす勢いの、売れっ子プロデューサーである。
伊呂派はタバコに火をつけながら聞いた。
「電話で言ってた頼みって?」
「実はな、‥」
話を聞いた伊呂派は目を輝かせて言った。
「ほほ~!そいつは面白そうだ!喜んで協力させて貰うよ」
ボッサンは、親指で首を切る真似をして言った。
「もしかしたら、クビが飛ぶかもしれんぞ」
「その位のスリルがあった方が面白い!最近マンネリでね。刺激が欲しかったところ
よ」
「ありがたい!じゃあまた連絡するよ」
さてさて、ボッサンは一体何を企んでいるのだろうか‥