尋問
ラッキーデカ長襲撃事件以来、ラッキーデカ長には護衛がつく事になった。
ユオは持ち前の体力で、順調に回復して中毒患者の入院施設に移された。
ユオを拉致した男、モリリンとアイスマンも、誘拐と監禁の罪で逮捕された。
川口警察署第1取り調べ室
机を挟んで向かい合って座るラッキーデカ長とすず。
すずはポケットに両手を突っ込んでふんぞり返って座っている。
ラッキーデカ長は言った。
「“辻斬りのすず”。裏の世界じゃあ名の知れた殺し屋が、とんだヘマをやらかしたもんだな」
「ヘマ神に言われたくないね」
「うるせ―!」
思わず立ち上がるラッキーデカ長。
「俺を殺れって誰に頼まれた?」
「あ~?何の事だ?」
「とぼけんな!俺に恨みがあるわけじゃね~だろ?」
座りながらタバコに火をつけるラッキーデカ長。
「さあな。俺よりモリリンに聞いた方がいいぜ。奴も逮捕したんだろ?あいつならヘマして何か喋るかもよ。ヘマ神さん」
「うるせ―!!」
また立ち上がるラッキーデカ長。
第2取り調べ室
机を挟んで向かい合って座るボッサンとアイスマン。
足を組んで座るアイスマン。
ボッサンは言った。
「久し振りだな。アイスマン」
「またせたな!」
「いやいや、待ってね~し」
「あれ?自慢のアフロと黒のコートは?」
「いつの話してんだよ、まったく」
「そろそろ寝る。乙カレー」
「お~い、寝るな~」
第3取り調べ室
机を挟んで向かい合って座るモリモリとモリリン。
落ち着きが無くソワソワしているモリリン。
モリモリは言った。
「いい加減はいたらどうだ」
「え?何をッスか?」
「何をって決まってるでしょ~が」
「あ~、あれね」
「そう、それよ」
「う~んと、中1の時ッスかね」
「え?何が?」
「何がって、初恋に決まってるじゃないスか!」
「へ~、奇遇ッスね。僕も中1の時ッスよ。隣の席のナオミちゃん、可愛いかったな~、って違うでしょ!」
「じゃああっちッスね」
「そう、そっちよ~」
「たしか高3の夏ッスね」
「え?何が?」
「何がって、初体験に決まってるじゃないスか!」
「高3?早いッスね。僕は20歳になってからッスよ~。4つ年上のおねえさんと‥ムフフ、ってなんでこんな事まで言わなきゃなんないんスか?」
「自分から喋ったじゃないスか」
「違う違う。僕が聞きたいのはラッキー刑事長の殺人依頼は誰から受けたのかって事ッスよ」
「それは~、言えないッスね」
「え?何が?」
「何がって、“愛國者”から殺人依頼を受けたって事に決まってるじゃないスか」
「なるほど、そう言う事ッスね」
「あ、しまった!」
「ムフフフ」
モリモリはモリリンの尋問? を終えた。
ラッキーデカ長の殺人依頼を出したのは“愛國者”。そして、ユオを拉致してシャブ漬けにさせたのも、“愛國者”と言う事が判明した。
「‥て事なんスよ。」
ホヘトはガッツポーズをしながら言った。
「よっしゃ~!。これで“愛國者”を潰せるぞ」
「証言だけじゃ、しらを切られたら終わりだ。確実な証拠が欲しいな」
ラッキーデカ長、バンディット、ボッサン、ホヘト、モリモリの5人は、作戦会議を始めた‥