カット!!
ラッキーデカ長は、しゃがんで小さくなっている園田総監に、銃口を向けて言った。
「年貢の納め時だな。言い残す事は‥ないな。せめて楽に逝けるように祈ってな。いい夢見ろよ。あばよ!」
園田総監が小さくなって目をつぶった!
ラッキーデカ長が引き金を引いた!
カチッ
「あれ?」
カチッカチッ
園田総監が薄目を開けて、ラッキーデカ長の銃に弾が入っていない事が分かると、
目の前に落ちているボッサンの銃を拾って立ち上がった!
「ブハハハハッ。神は私に味方をしたようだな!」
銃口をラッキーデカ長に向けて、急に態度がデカくなった園田総監。
「刑事ともあろうものが、自分の撃った弾を数えて無いなんて笑わせるぜ!」
「くそ!」
両手を上げるラッキーデカ長。
「この銃でお前を殺せば、同士撃ちで死んだと言い訳出来るんだよ。さっきの言葉、そっくり返してやるぜ!」
腕を伸ばして引き金に力を入れる園田総監!
「ちょっとまった!最後に聞いていいか?」
「あ~?まぁいいだろ。なんだ!」
「お前は本当に“愛國者”の黒幕なんだな?」
「何をいまさらそんな事を。あぁそうさ、俺が“愛國者”を造った。俺が黒幕さ。
お陰で大分稼がせて貰ったよ。じゃあな。逝っちまいな!」
腕を伸ばして引き金に力を入れる園田総監!
「あ~!もうひとつ聞いていいか?」
「あ~?ん~なんだ!早く言え!」
「北川刑事の親父さんを殺させたのは、お前か?」
「あ~、あいつか。俺が殺させたよ。あいつもお前と同じで、裏帳簿持って俺の所にやって来た。
お前ほど運がなかったみたいだけどな。もういいだろ。じゃあな!」
「あ~っと、それから~‥なんだっけ?」
「俺に聞くな!時間稼ぎはもういい!死ね!!」
園田総監が引き金を引いた!
ズギュ―ン!
ラッキーデカ長は腰に手を当てて、仁王立ちしたまま倒れない!
「え!?」
ズギュ―ン!ズギュ―ン!
「カキ―ン!カキ―ン!俺の体は鋼鉄製なのさ!」
銃口を覗き込んで、首を傾げる園田総監。
「まだ分かんないの~?空砲だよ」
「何?じゃあお前の銃は?」
「もちろん空砲さ」
「じゃあ、お前が撃った刑事は?」
ラッキーデカ長の後ろから、血だらけのホヘトが歩いて来た。
「この通りピンピンしてるよ」
園田総監の後ろから手を伸ばして銃を取り上げる、これまた血だらけのボッサン。
「まんまと引っ掛かったな」
「俺をハメやがったな!」
ラッキーデカ長が、テレビカメラを構えて戻って来た。
「このカメラで一部始終を撮っていたのさ」
「な、なんだと!」
「このカメラの映像は、生放送で全国に流れている。
お前は全国の視聴者の前で、“愛國者”の黒幕である事、北川刑事の親父さんを殺させた事を自供したんだ!
そしてお前は銃の弾が空砲だとは知らなかった。その銃で俺を殺すつもりで撃った。
だから、殺人未遂の現行犯、その他諸々の容疑で逮捕する!証人は全国の視聴者だ!」
ラッキーデカ長は、園田総監に手錠を掛けた!
その後、“愛國者”のメンバーは全員逮捕された。
ラッキーデカ長もメンバーであったが、今回の逮捕劇の功績が評価され、おとがめ無しとなった。
オカマバー
マリリンの部屋♪
ボッサンは立ち上がって言った。
「ラッキーデカ長!今日はお疲れ様でした~!」
「みんなもありがとな。みんなのお陰で“愛國者”を潰す事が出来たよ」
ホヘトは言った。
「でもラッキーデカ長、演技上手いわ~!」
「ホヘトもやられ方うまかったよ」
「ほんとすか?」
「お世辞だよ」
ボッサンが大笑い!
「ハハハハハッ」
バンは言った。
「でも、テレビ見ててみんな上手かったよ~」
ラッキーデカ長は、隣のモリモリの肩を叩いて言った。
「モリモリも頑張ってくれたよな」
「僕は鍵締めただけッスから。指しか使ってないッスよ」
ボッサンは残念そうに言った。
「後は、ここにユオがいればな」
ホヘトが聞いた。
「ユオはどうなんすか?」
「元々体力だけは人一倍ある奴だから、きっと復帰出来る!俺は信じてる!」
ラッキーデカ長は、ウーロン茶のグラスを持って言った。(ラッキーデカ長はお酒が飲めない)
「よし!乾杯だ!モリモリ、乾杯の音頭とって」
「え!?僕ッスか?やった事ないッスよ」
「いいからやれ」
「え~、では、ご紹介に預けまして~‥」
ボッサンがつっこむ。
「預けてどうする!」
「だって~、こうゆう時って何て言っていいんだか‥」
「いいから!早くやれ!」
ホヘトが言った。
「乾杯~!でいいんだよ」
「あ~、はい、では~、なんだかんだで、かんぱ~い!」
「乾杯!」
ゴクッゴクッゴクッ!
ラッキーデカ長は、ウーロン茶を一気に飲み干して言った。
「やっぱり仕事の後のウーロン茶は旨い!」
ボッサンは周りを見渡して言った。
「そう言えば、オカマ野郎たちの姿が見えないけど、何やってんだ?」
ホヘトはカラのビールジョッキーを振り上げて言った。
「客をほっぽらかして!おっぱいの野郎、トッチメてやる!」
「ショウタイム!」
「ん?なんだ?」
テレッテッテッテ~♪
「なんか、聞いた事ある曲だな~。イヤな予感が‥」
正面の舞台にスポットライトが当たって、色とりどりの5人組が出て来た!
「私をじっと見つめてて♪
直ぐに逝かせてあげるから♪
必殺技はカマーソルトキック!
太ももムッチリ、オカマレッド♪」
ズバーン!
「出たよ」
「私の自慢はシリコンバレー♪
最終兵器のGカップ♪
必殺技はおっぱいビーム!
ストロングパイパイ、オカマブルー♪」
ブル~ン!
「ありゃりゃ」
「あなたの死亡は5秒後よ♪
ナンマイダ~でも唱えてて、ンフッ♪
必殺技は北斗チン風連撃!
腹筋ワレワレ、オカマピンク♪」
オワッタ―ッ!
「おいおい!」
「何で何で何で何で!
痛い痛い痛い痛い!
必殺技はアタフタチョップ!
タラコクチビル、オカマグリーン♪」
ベロ~ン!
「なるほどね~」
「アナタの背中に抱きついて、
首をナイフでかっ切るわ♪
必殺技はステルスキル!
ナイフザクザク、オカマイエロー♪」
ブシュッ!
「いよ!待ってたッスよ♪」
「5人そろって!オカマ戦隊、カマレンジャー♪」
ボッサンは呆れ顔で言った。
「5人揃っちゃったよ~」
オカマレッドは言った。
「みんな揃ったわね~!じゃあ合体よ♪」
「おい!こんな所で合体して大丈夫か?」
「合体!」
シャキ―ン!
「おいおい!デッカくなってるぞ!」
「わー!天井突き破るぞー!」
バリバリバリバリッ!
天井を突き破って、でっかいカマレンジャーが現れた!
「スーパースペシャルカマレンジャーグレート‥見‥参‥ (汗)」
「お~い!」
6ヵ月後
川口警察署捜査1課
「しかし何だな、こう事件が無いと退屈だな」
と言いながらゴルフクラブを磨いているラッキーデカ長。
「平和でいいじゃないスか」
と言いながら新聞を読んでいるボッサン。
「そうですよ。平和が一番、電話が二番、三時のおやつはなんとかってね♪」
と言いながら『ロッキンオン』を読んでいるホヘト。
「今日の晩ご飯なんだろな~♪」
と言いながら、デスクに飾ってある『なおなお』の写真を眺めているモリモリ。
その時、ドアが開いた!
「なんだ!事件か!」
椅子から立ち上がるラッキーデカ長。
ドアの隙間からユオが顔を出した。
「うぃ~っす!」
ラッキーデカ長!
「あ~!」
ボッサン!
「その顔は~!」
ホヘト!
「たしか~!」
モリモリ!
「誰だっけ?」
「ひで~な~、モリモリ先輩」
部屋に入って来て、モリモリの肩をこずくユオ。
ボッサンは思い出したように言った。
「あれ?ユオはたしか、交通課勤務になったんすよね?」
ラッキーデカ長も乗っかった。
「そうそう。今月は駐禁の強化月間だから、取り締まり行って来て」
「え~!いきなりそりゃないよ~!やっと退院できたのに~。しばらくは自宅療養だから仕事はまだ出来ないよ」
「冗談はさておき、ユオ、よく帰って来たな」
「お帰り~、ユオ!」
「おかえりなさい~」
「じゃあ、復帰の儀式だな」
「儀式?」
ボッサンはユオに飛びかかり、コブラツイストをかけた!
「イタタタタッ!」
ユオが復帰すれば、また騒がしくなるであろう捜査1課であった。
END