夏のある長い一日〜昼〜
キミの隣にはカレがいて、ボクじゃない。
キミと再会したあの夜、ボクは偶然じゃなく、
運命的なものを感じたよ。
『明日から、夏休み。何してやろ〜か。』
なんてバカなこと言っている高校3年はボクぐらいだろうか?
高校3年といえば受験勉強で、大変な時期なのに、ボクは余裕だった。
進学校でもなかったけど、大学に行く人はもちろんいて、ボクの周りの友人も進学が希望だった。
しかし、ボクは余裕!なぜなら進路の事で担任に、迷惑をかけたことが無い為か、
すでに専門学校の推薦枠を貰い、クラスの中で一番最初に『自由』を獲得したのだ!!
だが、そんな自分も受験勉強なんかよりも大変な時期だった。
七夕祭りの帰りに、『ボクとキミとみんなで遊ぶ』と言うプレミアチケットを手に入れたのは、
いいけど、何をどうして遊んだらいいのかが解らない。そして出た答え!
『やっぱり、夏休みに入ってから遊ぼうよ!』
本当に、反吐が出るくらいのヘタレっぷり・・・。
この9年間、もちろんボクにもそれなりに『彼女』と言う人はいた。
でも、キミの事を嫌いになったわけでもなく、忘れたかった訳でもない。
今、思えばキミとの関係をいろいろな意味で発展したくなかったのだと思う。
『このままで・・・いい』
付き合ってきた彼女達の事は、もちろん好きだった。でも心の中では、
いつもキミは特別だった。
そのドレスも、指輪も、誓いのキスも、キミの笑顔も、全部ボクが与えてあげたかった。
ボクが9年かかっても、出来なかった事を1年半でキミの隣にいるカレが成し遂げた。
酒の席で交わした約束。
ボクに投げかけて来たキミのあの言葉。
『お嫁に貰ってよね!』
『お互いが余ってたらな。』
酔っていたとは言え、正直、嬉しかった。
キミは冗談だったかは解らない。けど、ボクは強がった言しか言えないくらいに、
照れていて、キミの顔を直視できなかった。
『眠れない・・・。』
もう自分から逃げる事は出来ない。嬉しいはずなのに、半年前の記憶が甦る。
7時間後には、キミと会えるのに、考える事は無様に終わったあの日の出来事。
遊ぶと言っても、キミと二人じゃない。ヘタレ2号もいる。
不安と喜びと期待が飛び交う中、
頭がオーバーヒートしたのか、気がついたら朝10時。
いつの間にか寝ていた。
高校生の脳会議はあまり長い時間は向いていないようだ・・・。
お昼過ぎにミツルがボクの家に迎えに来る。
『ミツル』はヘタレ2号。こいつは定時制の高校のため、車の免許を持っている。
『・・・便利なヤツ』
まだ冷房が効いてないクソ暑い車に乗り込み、『ユキ』の家に向かう。
キミとユキは家が隣同士で幼馴染だった。
キミとユキはもう家の外で僕たちを待っていてくれた。
『おまちぃ〜』
ミツルが言うと、
『遅いよー!!』
ユキが冗談交じりに言うと、ミツルのおでこを『ペッシ!』
ここは関東でも田舎の県で都会のように遊ぶ場所が少ないので、
行く場所なんて、いくつも無いので大体決まっている。
ボク達は昼間から、カラオケに行く事にした。
5時間コース。
ボクはこの後どーするのかが、非常に気になっていたその時、
『メシは?』
バカな聞き方でミツルが、突破口を開いた。こんなときはバカで助かった。
『まだ、キミと一緒に時間が過ごせる。』