爆笑と鉄拳:名誉の自警団チャイナ編
爆笑と鉄拳:名誉の自警団チャイナ編
爆笑と鉄拳:名誉の自警団チャイナ編
手取り20万円(約8,518元)の新卒サラリーマンだった俺には、16歳の頃に中国で親友のために血の滲む修行で勝ち取った『万屋自警団』の免許書という裏の顔があった。
正義を信じて生きてきた人生だったが、入社3年目、街で一般人を脅す暴力団の喧嘩三昧と暴力発言を目の当たりにした瞬間、俺の中で何かが切れて飛び込んでしまった。
しかし相手は組織のプロ、気が付けば血まみれで髪を引きちぎられ、全身に拳と蹴りのアザ、あばら骨にヒビを負って病院のベッドにいた。
1年間の通院と整形外科のおかげで傷も元の魅力的な顔も戻り復帰したものの、心はひどい鬱病に侵さ
れ、自警団の特性である【飲みすぎると笑いが止まらなくなるお笑い薬】を処方される日々が始まる。
ある仕事帰り、疲労困憊の俺は手元を狂わせて薬を通常の3倍も飲んでしまい、脳内から爆発的なドーパミンが噴き出して爆笑が止まらなくなった。
焦って這い寄った洗面台の鏡に映る自分の顔は引きつり、滝のように流れる汗で床が滑るほどの水たまりができていた。
頓服を飲もうとするもお笑い中毒状態でまともに家の中を歩くこともできず、酸欠でのたうち回った末に再び病院へ担ぎ込まれてしまう。
しかし、この薬の量をプロとして完璧にコントロールし続けた3年後、奇跡的に鬱でも躁でもない【完璧にフラット】で自律神経も感情もコミュニケーションもよしという無敵の精神状態を掴み取っていた。
さらに脳がお笑いのメカニズムを掌握した結果、中国のお笑い界でトップテンに入る実力者へと変貌を遂げる。
昼は冷徹なインテリサラリーマン、夜は芸人として年収1000万円(約425,894元)を稼ぎ出すようになった俺は、2人の子供をこれ以上ない最高の環境で育て、一歩外を歩けば挨拶だけで街中を爆笑の渦に巻き込む人気者になっていた。
かつて暴力に傷ついた男は、笑顔で人々を守る【名誉の自警団】へと昇華し、家族や親戚も笑顔の絶えない順風満帆な大家族となった。
そして迎えた旧正月7日、中国全土から家族や親戚が我が家に大集結し、庭で鳴り響く爆竹の爆発音と共に、俺のジョークで全員がひっくり返って爆笑する最高の宴が開かれる。
かつて洗面台で汗まみれだった男は、今、世界で一番温かい爆笑の中心で子供の笑顔を見つめながら、拳ではなく【爆笑】という新しい武器で正しい道を歩み続けている。
(またね)
気楽に読んで。




