表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追憶の檻~禁じられた愛の行方~  作者: MCdragon


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/12

第一章:目覚めの波紋

目が覚めた瞬間、視界に飛び込んできたのは、見慣れたはずの自分の部屋の天井……ではなかった。

いや、場所は確かに実家の俺の部屋だ。だが、鼻腔をくすぐる香りが決定的に違っていた。

男所帯の埃っぽさと加齢臭が混じったような実家の匂いではない。もっと甘く、脳の奥を痺れさせるような、清潔な石鹸と微かな体温が混じった、女の匂い。


「……ん」


隣で、小さな吐息が聞こえた。 心臓が跳ね上がる。

ゆっくりと首を横に向けると、そこには信じられない光景があった。

知美がいた。

兄・和雄の妻であり、俺の高校時代の同級生。半年前に義姉となったはずの彼女が、あろうことか俺の布団の中で、薄い下着一枚の姿で眠っている。


(……なんで、こうなった?)


記憶を手繰り寄せる。 昨夜は、出張続きの兄に代わって、寝たきりの親父の介護を二人でこなした。

深夜、ようやく親父が眠りにつき、リビングで知美と二人、安ワインを空けた記憶はある。

仕事が上手くいかず、フリーランスとしての焦燥感を口にした俺に、彼女は「雄一くんは昔から頑張りすぎなんだよ」と優しく微笑んでくれた。

高校時代、サッカー部の部長だった俺に、マネージャーだった彼女が寄せてくれていた視線。

あの頃の淡い空気感が、酒の力で蘇ってしまったのだろうか。

知美の肩は白く、華奢だった。

兄さんは、この肌を毎晩抱いているのか。

そう思った瞬間、どろりとした暗い感情が胸の底から湧き上がる。


「……雄一くん?」


知美の睫毛が震え、瞳が開いた。

視線が絡み合う。

彼女は驚く風でもなく、ただ潤んだ瞳でじっと俺を見つめた。


「知美……これ、どういうことだよ。なんでここに……」


「覚えてないの?」


彼女の声は、かすかに震えていた。

彼女の手が、シーツの下で俺の腕に触れる。

熱い。火傷しそうなほどの熱量。


「……昨夜、あなたが泣きそうな顔で私の名前を呼んだの。知美、行かないでって」


「俺が……?」


「和雄さんは、もう私を見てくれない。出張ばかりで、帰ってきてもお義父さんの世話か、疲れて寝るだけ。私、この家で透明人間みたいになってた。でも、雄一くんだけは……」


知美が身を起こす。薄いレースの向こう側で、彼女の柔らかな曲線が露わになった。

彼女は俺の頬に手を添え、ゆっくりと顔を近づけてくる。


「和雄さんの弟だって、わかってる。でも……今だけは、同級生の私を見て」


禁断の境界線が、足元から崩れていく音が聞こえた。

俺は彼女の細い腰を引き寄せ、その唇を塞いだ。

兄への罪悪感よりも、目の前の飢えた獣のような渇望が勝った瞬間だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ