6 ヤヘルファンの想い*
僕が鬱々としているのを見て、ヤヘルファンは花や小物などこまめに贈り物をしてきた。
一応受け取り、花は飾ってもらうけど、他の物は箱に入れっ放しで中も確かめず、衣装部屋の片隅に積んである。
やる事もなくて、図書室から適当に本を借りてきてもらい、眠くなるまで読んでいる。
すると、新しい本が増えた。
ヤヘルファンは本当に僕のことを微に入り細に入り報告させているのだろう。
僕はそのことを斟酌するでもなく、贈り物に関しても一切触れない。
庭に出た時に、庭師によって綺麗に整えられた花々を鑑賞した後にふと、畑を作りたくなった。
思い切って庭師に相談すると、少し離れたところの空き地ならとわざわざ土まで持ってきてくれた。
久々に鍬を振るって、肥料を漉き込み、畝を作る。
それだけで日頃の鬱屈した思いが紛れた。
いくつかの野菜の種を貰って丁寧に埋めた。
1週間ほどして芽が出た時は、感激して涙まで出てきた。
ああ、ミナハトと一緒に作った畑からできた野菜はおいしかったなあ。
芽が出た後は急激にやる気が失われてしまった。
支柱を立てて蔓系のものを巻き付かせ、雑草を抜くのと水やりは庭師にやってもらった。
その日の午後にはは婚約式が執り行われる予定だったが、わざと畑に出向いた。
僕は野菜を収穫して台所に行くと、料理長に渡した。
「お食事に使いますね」
料理長は嬉しそうに言ったが、僕は首を振った。
「皆さんで食べてください。陛下の口には入れない方がいいでしょう?」
「良いんですか?」
僕は頷くと台所から出た。風呂で泥と汗を落とそうと部屋へ戻ると、侍女達がほっとして僕を見つめた。
「お支度手伝います。ご入浴準備は整えてあります」
「うん、ありがとう」
僕は暗い気持ちで風呂場へ向かった。
ちゃぷんと肩まで使って足を伸ばすと気持ちよかったが、その後の記憶が無い。
「ジョゼルカ!」
僕の手を取って呼ぶ声に目を覚ました。額の上に乗せられていたタオルを取ると、ヤヘルファンだった。
いつのまにかベッドに寝かされている。
日向で水も飲まずに作業し続け、部屋に帰ってお茶も飲まずにいきなり風呂に入ったので、貧血を起こしたようだ。
「婚約式はまだ間に合いますか?」
「そんな様子では心許ない。延期することにしたから、今日はゆっくり休め」
「そんな!」
僕は起き上がったが目の前が暗くなって、ヤヘルファンが支えた。
「婚約式が多少遅れたところで、結婚を早めれば良いだけだ。気にするな」
「…こんな僕と結婚して夫婦になれるのでしょうか?」
「ジョゼルカ?どう言う意味だ?」
僕は額に乗せられた冷たいタオルで目も隠した。
ヤヘルファンは、部屋に居た侍女達を全て部屋から出した。
「僕はあなたを愛せません。僕の心の中には別の愛する人がいます。忘れることができません」
ヤヘルファンは目を見開いて少し身体を震わせた。
僕を見つめる目は暗い赤色だった。
「でも、僕はお前をどうしても手放せない。一目見た時から、ずっと囚われているんだ。お前が側にいないと駄目なんだ」
「そんな事はありません。ずっと離れてたでしょう?」
「お前と会うために生きてきたようなものだ。ジョゼ、愛しているんだ、どうしようもないくらい」
ヤヘルファンは僕に覆い被さると、唇を重ねた。何回もされ、だんだん深くなる。
反応できず、舌で口内を侵されるのを受け入れる。
『ごめん、ミナハト、僕はヤヘルから逃げられない』
ヤヘルファンのキスは首筋へと移り、僕の小さな乳首へ辿り着くと入念に舌で舐られ、甘噛みされる。
最初はくすぐったかったけど、段々感じて腹の奥が変な感じがしてきた。
熱いような痺れるような、よくわからない感じは、手で僕の陰茎を優しく包まれ、勃ち上がっていたことに気付いた時は快感に変わっていた。
「やあ」
「大丈夫、気持ちよくしかさせない」
ヤヘルファンはそれを口に含んだ。
「駄目だ、ヤヘル、そんな事しちゃ、ひぃっ」
先を吸われて悲鳴が出る。
あっと言う間に高みに登らされて、我慢できずにヤヘルファンの口内に出してしまった。
「ごめん、なさい。我慢できなかった」
泣き出した僕をヤヘルファンは抱き寄せた。いつの間にか服を脱がされ、2人とも裸になっている。
「もう止めて。こんなの」
「どうして?気持ちよかっただろう?もっと愛させて」
ヤヘルファンはサイドチェストの上に置かれていた水差しからコップに水を注ぎ、飲み干した。
一番下の引き出しを開けると、小瓶を取り出した。
手に中身を開けるとふうわりと花のような香りが立つ。
「いい匂い」
ヤヘルファンは小声で笑うと、それを僕の股間に塗りつけた。
「え?何?」
「お前と繋がる為だ」
ヤヘルファンの指があらぬ所へ入っていく。
入り口を広げたり、抜き差しするので、小刻みに声が出てしまう。
「ヤヘル、ヤヘル、嫌だ、やめて」
「大丈夫、ほら2本目。ここはどう?」
中のある一点を擦られた。
「ああっそこ、だめ、ヤヘル!」
僕はヤヘルファンの手を押さえたがズブズブと激しく出し入れされ、目の前が白くなった。
萎えていた僕のはまた勃ち上がり、先から雫が垂れている。
僕が悶える様子を見ていたが、静かに指を抜くと軽くキスした。
「さあ、僕をジョゼの奥へ」
熱くて硬いモノが解された穴へ当てられ、中へ入っていく。ゾクゾクっと背筋が寒くなってお腹に圧迫感を感じる。指より全然中が充実している。
「ヤヘル、ああ、ゆっくりして」
僕はこれがヤヘルに全てを差し出した行為とは思っていなかった。愛撫の延長だと。
「うん、いいぞ、そのまま」
ヤヘルファンがほうっと息を吐き出した。
「ああ、良い眺めだ。私のモノがジョゼを貫いている。根元まで入ったぞ。お前は完全に私のものだ」
「え?どういう」
思わず締め付けていた。貫くヤヘルファンの形と熱さがわかる。
「さあ、堪能させてくれ」
ずるっと半ばまで抜ける。
「あ、駄目、動かさないで」
指で感じていた所を擦られると、直ぐにイってしまいそうだ。
ぐっと突き入れられ、さらに奥に押し込まれる。
「止め、て、奥、」
「気持ち良すぎる、ジョゼ、ずっとこうしたかった」
抽送が始まり、僕は間も無くイってしまったが、止まってくれず、絶頂が続き、堪らず啼き声をあげ続けた。
ようやく激しくなった抽送が終わり、中に熱いモノが出され、安堵と疲れで気絶してしまった。
ようやく目を覚ますと、ヤヘルファンは僕を抱きしめて背中をさすっていた。
「あ、ヤヘル」言ってからケホっと咳が出た。喉奥がカラカラだった。
ヤヘルファンは起き上がると僕に水の入ったコップを渡した。
僕は一気に飲み干した。
2人とも裸のままだ。
「もしかして、これは婚姻後にすることでは?」
僕はヤヘルファンを睨んだ。
「知らなかったのか?でも、私達は結婚するのだから、構わないだろう?」
「僕は、貴方とは結婚したくない」
「もう遅い。ジョゼも素直に身体を差し出したのに、今更何を言うのだ?」
ヤヘルファンはコップを取り上げてチェストに乱暴に置くと、僕を押し倒した。
「ヤヘル!」
「わからないなら何回も抱いてやる。お前は私のものだ!」
「嫌だ、もう止めて!」
僕の言葉は深まるキスに飲み込まれ、身体は簡単にヤヘルファンを受け入れた。
涙が止まらなかったのに、いつの間にか枯れていた。
僕はヤヘルファンに全てを蹂躙され、食い尽くされたのだ。
それから僕は部屋に篭り、ヤヘルファンを拒んだ。
無理矢理抱かれても、何も感じず、嫌悪感が増すばかりの僕に、ヤヘルファンもついに手を出さなくなった。




