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受付で出会った人は、ふしぎであたたかい

 薄いピンク色の、波のようにゆれる長い髪。


 白っぽいシフォンのワンピースが、ふわりと風をまとっている。


 大きな、ぱっちりとした二重の瞳に見つめられると、女の私ですら思わず見とれてしまいそうだった。


「あっ、いえ……! 私のほうこそ、気づかずにすみませんでした……」


 少しあわてながら、私はぺこりと頭を下げた。


 すると彼女は、ふんわりとやさしく笑ってこう言った。


「さっきここに来たばかりだから、気づかないのも当然よ~」


 ……さっき、来たばかり?


 でもこの部屋に入ったとき、彼女の姿なんてなかったし、物音ひとつしなかったはずなのに。


「あなた、冒険者養成所に入所しに来たのよね~?

 女の子の希望者さんって、久しぶりでうれしいわ~」


 その言葉を聞いたとたん、胸の奥がふっとあたたかくなった。


 ふしぎな人だけど……この人が受付にいてくれて、なんだかほっとした。


「はい」


 私がうなずくと、彼女はにっこり笑って、


「じゃあ今から書類を発行するから、そのイスに座って待っててね~」


 そう言った。

 ふと見ると、いつのまにかカウンターのすぐ横にイスが置かれていた。


(……さっきまではなかった気がするけど)


 少し首をかしげながらも、私はそのイスに腰を下ろす。


 ここ――冒険者養成所は、創設者の強い考えのもとで運営されているらしい。


 年齢、性別、人種、そしてどんな経歴の人でも。


「冒険者になりたい」と願う者を、すべて受け入れるのがこの場所の方針だという。


 きっと、この受付の女性も、これまでにたくさんの人と向き合ってきたのだろう。


 その笑顔には、なれたような落ちついた雰囲気があった。


「おまたせしちゃったわね~。……あっ、自己紹介がまだだったわね」


 ふわっとした口調で彼女は微笑む。


「私の名前はマリア・ウィンゼル。好きなように呼んでね。私はこの冒険者養成所で働いてるの。あなたのお名前は?」


 その問いかけに、私は――



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